DRIVEN BASE
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製品環境マネジメント(エコプロダクツ)

基本的な考え方

環境配慮と製品機能の効率向上

デンソーは、環境面から見た「先進的なクルマ社会」とは“環境に配慮したやさしさ”と“クルマ本来の性能を享受するうれしさ”を高度に両立させた製品開発と考えています。その実現に向け、クルマの一生を通じて環境負荷の低減を図ると同時に、安全性・操作性・走行性・快適性など機能の向上を追求しています。

具体例としては、
  1. BEV、PHEV、HEV、FCEV向け製品【注】など走行時のCO2排出削減に寄与する電動車向け製品の開発

  2. エンジンマネジメントシステム、アイドルストップシステムなど車両の燃費向上に寄与する製品開発

  3. カーナビなど社会インフラと協調して燃費向上に寄与する製品の開発

などです。

これらすべてのデンソー製品がめざすのは、温室効果ガス排出・資源消費・化学物質排出のリスクを最小化し、快適・利便の質を高めた新たな価値の創造です。この考え方は、1992年の地球サミットで提唱された「環境効率の追求」に基づいています。

またCO2排出量については、グローバル社会で加速するカーボンニュートラルに貢献していくため、モビリティ製品とエネルギー利用を通してカーボンニュートラルを目指します。具体的には、モビリティ製品についてはCO2排出量を可能な限り削減、またCO2を回収・再資源化、貯蔵、再利用する技術の確立などを通してCO2をマイナスにすることで、社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。

【注】BEV:Battery Electric Vehicle(電気自動車)、PHEV:Plug in Hybrid Electric Vehicle(プラグインハイブリッド車)、HEV:Hybrid Electric Vehicle(ハイブリッド車)、FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle(燃料電池車)

具体的な取り組み

ライフサイクルを見通した製品開発手法

デンソーは製品価値と環境負荷のバランスを「製品環境指標(ファクターデルタ)」で把握・運用しています。これは製品ごとにファクターデルタで目標値を設定し【P】、ライフサイクルにおける環境配慮・負荷の把握を行いつつ設計し【D】、目標達成度合いを設計の節目である品質保証会議でチェックし【C】、次期開発に反映させる【A】仕組みです。この仕組みを通じて、環境性能を確実に作り込んでいます。

自動車部品ライフサイクルの環境影響

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ファクターデルタの運用

基準製品に対する新製品の環境効率の向上倍率を「ファクター」と呼びます。
デンソーは、一般社団法人日本自動車部品工業会(JAPIA)と連携し、自動車部品のファクター算出法を構築して「製品環境指標ガイドライン」を策定しました。この指標は自動車部品の一生を通じたプラス側面(製品価値)と日本の環境基本法に基づいた「地球温暖化・資源枯渇・環境負荷物質の排出」に関するマイナス側面とを関連付けて算出するものです。
また上記指標と組み合わせて、さらに的確な評価を可能にするため、2010年度からJAPIAと連携し、非常に複雑な自動車部品業界のサプライチェーンにおける製造及び使用段階の環境負荷量を効率的に算出するための「JAPIA LCI算出ガイドライン」の策定、および算出ツールを開発してきました。この活動が評価され2018年3月にLCA日本フォーラム【注1】より「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞致しました。

【注1】 LCA日本フォーラムは、LCA(ライフサイクルアセスメント【注2.3】)と環境効率の考え方の普及と発展を図るとともに、持続可能経済社会の実現を目指すため、1995年度に創設されました。
表彰の詳細は以下のリンクをご参照ください。
http://lca-forum.org/commendation/2017.html
【注2】 LCI(ライフサイクルインベントリー):対象製品のライフサイクルを通じて排出される環境負荷量を計算する手法
【注3】 LCA(ライフサイクルアセスメント):LCIで算出した結果を用いて環境への影響を評価する手法

ファクターデルタの算出法

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【補足】指標算出には、多くの人々が納得できる客観性が求められます。
そこで考え方の基本として、1990年代から各国の研究者や世界経済人会議(WBCSD)などが提唱した「ファクター」という概念を参考にしました。
これは製品やサービスの「環境効率」を導き出し、その向上倍率によって環境配慮を前向きに評価するポジティブな指標の求め方です。

ファクターデルタの活用による環境性の向上
製品主要機能の概要

ハイブリッド自動車用パワーコントロールユニット

    • 製品主要機能の概要
ファクターデルタ
(環境性の向上)
    • ファクターデルタ(環境性の向上)
主な価値向上

冷却構造の改善や電子制御回路の集積化によって、従来のトヨタプリウス搭載品に比べて約33%の小型化を実現。

主な環境影響

IGBT(半導体パワー素子)におけるスイッチング損失や定常損失を従来のトヨタプリウス搭載品に比べて約20%削減。