第3章 南米事業拡大期

1. サーマルビジネスの拡大

(4) アルゼンチンへの進出、合弁会社設立

1995年1月、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国が交易の活発化を図るべく関税同盟を結び、「メルコスール(南米共同市場)」が成立した。これを受けて、フィアット社はコルドバ市にある工場の生産拡大を計画し、トヨタ自動車は「ハイラックス」の生産に向けて新たに工場進出を計画した。
デンソーも同年初めから市場調査を実施して、ブラジルに続く南米進出となるアルゼンチンへの工場進出を検討していた。同年4月にはフィアット社、トヨタ自動車からの正式な要請を受けて本格的な検討を開始し、1996年3月、マニェティ・マレッリ・クリマティザチオーネ社(以下、MMCL社)と共同でフィアット・アルゼンチンのあるコルドバ市に新会社「マニェティ・マレッリ・デンソー」を立ち上げた。
新会社の社長には南米で経験を積み重ねてきた大須賀正彦が就任した。年間生産台数はフィアット社向け10万台、トヨタ自動車向け2万台を見込んだ。
MMCL社はイタリアでカーエアコンを生産していた企業で、その親会社であるマニェティ・マレッリ社とデンソーは包括提携契約を結び、それぞれの欧州での子会社へ資本参加していた。この提携関係からデンソーはMMCL社へ25%を出資していた。