第3章 南米事業拡大期

1. サーマルビジネスの拡大

(3) DENSO DO BRASIL LTDA.(DNBR)への社名変更

1996年6月、NDBCは社名を「DENSO DO BRASIL LTDA.(DNBR)」に変更。きっかけは欧州での商標問題である。
創立以来使用していた「DENSO」の商標と英文社名「NIPPONDENSO」をめぐって、欧州地域で「Denso」の商標権を保有するドイツ企業Denso Shemie GmbHからクレームを受けたのである。同社は建設用シーリング材などを製造販売する化学工業製品メーカーだが、デンソーに商標侵害であるとの申し出を行った。この問題は1995年に同社との間に合意が得られるまで続いた。
一方、当時のデンソーは本社内にCI委員会を発足させ、グローバル・カンパニーとしての新しいイメージ創造に着手した時期であった。21世紀を前に、世界企業として飛躍するデンソーにふさわしい社名を検討した結果、1996年10月より旧社名である「NIPPONDENSO」を改め「DENSO」として新たなスタートを切ることになる。このことを踏まえつつ、デンソー本社に先行する形でブラジルにおける社名変更が実施された。
また社名から「COMPRESSORES」の文言を削除したのは、すでにコンプレッサーのみならず、幅広くエアコンコンポーネントを扱うシステムサプライヤーとなっていたためである。社名変更後も、乗用車からトラック、バスなどブラジルのほぼすべてのカーメーカーと取引を成功させ、エアコン部門ではトップシェアを確保するに至った。