危機感をプラスの力に変え、未来に役立つ研究開発に挑む

人と人とのつながりが、大きなイノベーションを生み出す一歩になると信じて

仕事がバリバリできる憧れのあの人も、仕事中にはちょっと近寄りがたいあの人も、一歩オフサイトに出て、様々な壁を取りのぞいて話をしはじめると、すごく悩んでいたり、ピュアな願いが見えてきたりするもの。

社員インタビュー「実現力リレートーク」では、リラックスダイアログを通じて、多彩なプロフェッショナルたちの仕事の根幹にある原動力やwill(夢・志)に迫ります。

今回ご登場いただくのは、 電動車(EV)の普及を支援するプロジェクトに関わる先端技能開発部の塩崎 純平さん。EV化社会の実現に向けて、クルマや充電用設備などをデータで繋ぐための電子制御ユニット(ECU)やその心臓部となる車載SoC(System on Chip)、それらを搭載するハードウェアの設計や開発を担当しています。

『自動車産業が「100年に一度の変革期」と言われている今、危機感を持って、社会課題を解決に導くソリューションを見出さないといけない。そうなったときに、デンソーが世の中に提供できる価値は何か。組織としてどう変化を遂げていくべきなのか。まさに今、問われていると思うんです。』

デンソーの価値を再認識し、次の時代に立ち向かうための組織のあり方に情熱を持って語る塩崎さん。世界の動向と社会課題、そしてデンソーの未来を見据え、できることから一つずつ実行に移す姿勢には、デンソーの可能性を信じて突き進む信念が宿っていました。

塩崎さんが目指す未来の会社、社会、組織とはどのようなものなのでしょうか。
理想を現実に変えるため、走り続ける原動力について伺いました。

この記事の目次

    社内に散らばるソリューションの種を、芽吹かせることが私の仕事

    ───最初に、塩崎さんが取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。

    塩崎:社会課題解決に繋がるソリューションの種を、一つでも多く生み出すための研究開発に取り組んでいます。5年後、10年後の未来を見据えながら、クルマ・農業・環境・流通など分野を問わず、机上検証から実証実験まで幅広く関わっています。

    今回のEV普及支援プロジェクトでは、モーターをより効率よく動作させるためのインバーターや、高圧バッテリーからEVに必要な電源を安定して作り出すコンバーターの試作・評価を行ったり、クルマや周辺機器から得られたデータをどのように活用するかの検討を行ったりしています。最近だと、そのプロジェクトの主管部署から、急速充電のシステム開発やそのデータ活用に関する依頼を受け、「自分だったらこうするよ」という案を3つほど考案しました。

    また、別のプロジェクトで「カメラの画像、GPSの位置情報といったクルマのデータを簡単に取りたい」という依頼があった際は、依頼者から提供された仕様を自分なりに咀嚼(そしゃく)し、最適な設計プランを考え、「こんなシステムはどうですか?」と製品・サービスに落とし込んだ案を提案しました。

    そのように、依頼部署がやりたいことをどう実現させるか、を考えることが私の仕事です。

    ───なるほど...!EVの分野を含めジャンルを問わず、社会課題の解決に向けたプロジェクトに参画されているのですね。

    塩崎:そうですね。専門分野が決まっているわけではないため、多角的な視点で提案やアドバイスをできる点が自身の強みだと思っています。社会課題を解決するソリューションを「どう実現させるか」を考えるにあたっては、アルゴリズム的思考の「技術」と、具現化していく「技能」、これらをバランスよく組み合わせながら仕事を進めています。

    誰もが気軽に相談したくなる、そんな存在でありたい

    ───そうなると、デンソーの強みや方向性をインプットしながら、依頼部署の方々が求めているニーズに応えていく提案力が求められそうですね。

    塩崎:おっしゃる通り。分野を超えたあらゆる依頼が舞い込んでくる中で心がけていることは、最初の依頼に対してなるべく早く何かしらのリアクションを返すことです。

    他部署の人から「こんなことやりたいんですけど、できますか?」と相談を受けたら、その場で可能な範囲で「こういう形でしたらできますよ」といかに早く最適解を教えてあげられるかが、私が特に意識しているポイントです。スピーディーなワンアクションがあるだけで、相手にとっては安心感につながりますし、満足度も上がります。それが信頼に繋がったのか、結果として一度依頼をしてくれた人からはリピートで依頼を受けることが多いですね。

    たとえ、自分たちの部署ではできない内容だったとしても、相手がやりたいことを実現できるよう相手目線に立った提案をすることが、大切なことだと思っています。

    ───社内で気軽に相談できたり、自分たちに寄り添ったソリューションを提案してくれたりする人がいるのは心強いですよね。

    塩崎:そうですね。もちろん社外のビジネスパートナーに力を借りることもありますが、「デンソーの事業として何を目指すのか」というビジョンを一緒に考え、デンソーの可能性を最大限に引き出し、やりたいことを具現化できる存在であれるよう、価値発揮していきたいですね。

    生き残りをかけた戦い。「危機感」が自分の原動力

    ───塩崎さんのお話から、仕事への意識の高さや会社・社会に対しての熱い想いが伝わってきます。モチベーションの源は、どこから湧いてくるのでしょうか?

    塩崎:一番は、危機感ですね。現在、自動車産業は「100年に一度の変革期」を迎えています。変化のスピードや複雑性が増す時代の中でデンソーが生き残っていくためには、世界にインパクトを与えるような価値提供をする必要がある。

    そんな危機感を抱く中、自身の部署が所属する研究開発センターの今後のビジョンを策定するプロジェクトに参加させてもらう機会がありました。「デンソーはこれから、社会にどんな価値を提供していけるのだろう」というテーマを議論し言語化していくことが目的で、そのために過去の取り組みを振り返るなど、デンソーに真剣に向き合いながら議論を進めていました。その中で、デンソーは世界各地に拠点を持ち、クルマだけではなく農業・エネルギー・物流など多様な領域で挑戦をしていることを知り、「デンソーは社会を変えられるポジションにいる」と再認識しました。

    デンソーが持つ様々な技術やノウハウを結集させることで、デンソーにしか出来ないイノベーションを生み出したい。そんな想いをモチベーションとして仕事を進めています。

    ───なるほど…!EV普及支援のプロジェクトでは、どのような変革を起こそうとしているのですか?

    塩崎:デンソーがこれまで蓄積してきた技術や技能、ノウハウといった様々なデータを、社会課題を解決したい企業に提供し、各企業の右腕のような存在になりたいと思っています。デンソーの信頼できるデータを活用して社会課題を解決する企業が増えれば、デンソーの価値を十分に活かせ、カーボンニュートラルやゼロエミッション実現にも近づき、社会がより良い循環になっていきます。「イノベーションが起こるところにデンソーのデータあり!」と定評がつくくらい、「デンソーデータのブランド化」をしていけるといいなと思いますね。

    「シェアの文化」が、困難を乗り越える糸口となる

    ───とても素敵なビジョンですね!理想に向かうにあたり、どのようなことが必要だと考えますか?

    塩崎:まず、風通しをよくすることが重要だと思います。先述したように、デンソーがあらゆる企業に対してデータを提供できれば、これまでできなかったことができるようになる企業がたくさん出てきます。つまり、風通しをよくすることでイノベーションが生まれやすくなる。

    これは社内でも同様です。各部署や社員一人ひとりが持っている技術やノウハウを、自分の頭の中に留めておくのではなく、シェアをする。誰でも情報にアクセスができるようになれば、解決の糸口にしたり、参考事例として使用したりできる。各自が持つ情報をオープンにすることで、デンソーの持つ可能性をより広げることができると思うんです。

    ───なるほど。そのために実際に、塩崎さんが取り組まれていることがあれば教えてください。

    塩崎:まず、情報をシェアできる場所が必要だと思い、SNSのように気軽に学びや気づき、成功や失敗体験をつぶやけるプラットフォームを部内に作りました。「分からないことがあっても聞きづらい」「間違えたら恥ずかしい」と思う人を減らしたいという想いで運用しています。

    ───そうした想いが根底にあるのですね。

    塩崎:正直まだ苦戦中でして、日々模索しながら運用しています(笑)でも、徐々に投稿数が増えてきていますし、投稿がきっかけで「いつも見てるよ」「投稿、楽しみにしているよ」と話したことのないメンバーから声をかけられたりもするので、コミュニケーション面でもプラスの効果があることを実感しています。

    自分たちが汗水垂らして得た経験や知識は、誰かの困難を乗り越えるヒントや、やりたいことを実現する足がかりになると思っています。周囲に情報をシェアする価値を、一人でも多くの人たちに気づいてもらえたら嬉しいですね。

    ここでなら大きなことを成し遂げられる。そう信じて、走り続ける

    ───危機感を抱きながらも、前向きに物事を捉えて周りを巻き込みながらプラスになるアクションを起こしていく。なぜそのように走り続けられるのでしょうか。

    塩崎:デンソーの可能性をもっと広げられると信じているからです。世界にインパクトを与えられる規模感、70年以上の歴史をかけて築き上げたナレッジ。これらを上手く活用できれば、世界に大きなインパクトを与えられるソリューションを提供できると思っています。

    ───塩崎さんの話を聞いていて、すごくポジティブな方だと感じました。

    塩崎:そんなことないですよ。できない理由や諦める理由はたくさんあるので、ネガティブな気持ちになることもあります。でも、そこで留まっていては何も変わらないので、悔しさやもどかしさをプラスの力に変えることで行動し続けられているんだと思いますね。

    ───ありがとうございます。最後に、今抱いているwill(夢・志)についても教えてください!

    塩崎:今日、明日、すぐに世界を変えることは難しいですが、5年後、10年後、自分たちが手がけていたことが社会の中に組み込まれて、みなさんの生活が豊かになっていたり、地球環境が良くなっていたりしたら、こんなに嬉しいことはありません。「未来をより良くしたい」という想いを常に持って、仕事をしていきたいと思っています。

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