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どんなに時代が変化しても、人が生活するうえで食は必要不可欠なもの。
世界の人口が急速に増えていくなかで、食のニーズはますます高まっています。
そうした食の生産に欠かせない「農業」は人と自然との接点であり、地球環境への意識も育んでくれる、魅力的な職業の1つです。
そんな”農業”にいつか取り組めたらと、憧れを持つ方もいるかもしれません。
だからといって、いきなり農業に関わることはハードルが高いというイメージがあるでしょう。
たとえ今、知識や経験が無くても、誰もが農業に関われる未来を叶えるために、デンソーは農業事業に取り組み、研究・開発を進めています。
この記事の目次
自分らしい働き方に「農業」という選択肢
近年、新型コロナウイルス感染症や働き方改革の影響により、働くことに対する人々の価値観が大きく変わってきました。
デジタルテクノロジーの後押しもあり、勤務場所や時間を柔軟に変えることができるようになり、これまで以上に自由な形で働ける可能性が高まってきました。
社会の変化が進む中、私たち自身はどんな働き方を実現したいでしょうか。
例えば、
「通勤先に近い場所に住みながらも、自然と関わりながら働きたい」
「自由な時間を有意義に使った働き方をしたい」
そうした様々な希望や選択肢の中に、もしかしたら農業に関わることも含まれてくるかもしれません。
自分の暮らしに合わせて農業に関わる、そんな未来が次のキャリアに繋がる可能性があります。
一方で、農業に関わることはそんなに簡単ではないことも、容易に想像がつくのではないでしょうか。
農業の「働き方」に革命を
土を耕すことから収穫まで、農作業には数多くの作業があり、それに伴う必要な知識も膨大です。
また、知識だけではなく、夏の暑さや冬の寒さに耐えて、毎日作物をケアしなければなりません。
さらに、気候変動や台風、洪水、病害虫などが収穫量に大きく影響することも。
それでも、立派な作物を多く育てたい、作物を食べて美味しいと言ってもらいたい。
そんな思いから、農業をやってみたいと考える方もいるのではないでしょうか。
さらに、せっかく農業を始めるなら、より大きなスケールで取り組みたいと考える方もいるかもしれません。
そうした情熱を支えるために、デンソーは「農業をもっと働きやすい場にしていく」未来を目指して、挑戦を始めました。
これまでデンソーは工業分野において、多様な文化や価値観を持つ世界各地の従業員とともに、安定した品質の製品をつくってきました。その中で培った、モノづくりのノウハウを農業にも活かそうと考えたのです。
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未経験でも、安定した品質のモノづくりができる仕組み
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工程や量の無駄なく、効率的に生産していく方法
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機械で人をサポートしつつも、人が主体のモノづくりによって生産性を高め続ける考え方
これらを農業に取り入れることで、農業の働き方に革命を起こしたい。そう考え、デンソーは挑戦を始めました。
「モノづくりの考え方」で農業の現場に変化を
未経験者でも、安定して作物の栽培ができるように
―作る環境を整えるー
農業は天候の影響を受けやすいため、栽培環境を整えることが重要です。
農業ハウスを活用して雨風から作物を守る方法がありますが、農業ハウスは内部に熱がこもりやすいため、環境作りは容易ではありません。
その場合、天井や壁に窓を付けて、ハウス内の気温を見ながら窓を開けて通気させ温度を調整しますが、作物が育つように逐一温度を確認し、窓を開閉し続けるのは大変な作業です。
デンソーは、そうした環境作りを楽にするために、環境制御装置「プロファーム コントローラー」を開発しました。ハウスの状態をセンサーで読み取り、必要に応じて窓の開閉をするなど、ハウス内設備を自動制御することで、調整作業の手間が少なくなりました。
また、窓を開けて温度を調整することは、時によっては風がなかったり強かったり、その窓から虫が進入してしまって作物が病気になったりといった課題もかかえていました。
デンソーは、安心して栽培できる環境作りのために、ハウスの天窓をなくすなどより閉鎖型に近づけ、気流技術を使って換気ファンでハウス内温度を制御する「プロファーム T-キューブⓇ」を開発しました。
これによって、風や虫の影響を受けにくくなり、作物をより安定して栽培できるようになりました。
―人の作り方から学べるようにするー
一般的な農業ハウスは、建てる土地に合わせた一品一葉の形をしており、ハウスごとに栽培環境が異なっていました。
そのため、「他のハウスの環境を参考にできない」という問題があり、自身のハウスに合った栽培環境を整えるのに長い時間が必要でした。
デンソーが開発した農業ハウス(プロファーム T-キューブⓇ)は、標準パッケージとしてハウスの形を決めて提供しています。その結果として、他の農家の栽培環境を効率よく学べるようになったのです。
計画的な農業生産を可能に
―売る量から作る量を考えるー
農業において、豊作も不作も最終的には作物や天候次第。そのため、作物は獲れれば獲れるほど良い、という考え方があります。
しかしながら、豊作の時期は売値が下がり、不作の時期は売値が上がる。生産量が需要を大きく超えた場合、獲れれば獲れるほど在庫を抱えることになってしまいます。
そのような場合、「豊作であれば儲かる」とは必ずしも言えないのではないでしょうか。
安定して儲けるためには、同じ品質で「着実に売れる量」を出荷することが必要です。
そこで、需要量を先に見積もり、無駄なく作れる量を計算する、という工業的な考え方を農業に応用。
計画した生産量に応じ、生産の仕組み全体をコントロールするシステムを作りました。
たとえ売る量が変化しても、生産、在庫、出荷の量を順次調整し、それに応じて人や作業を柔軟に割り当てることで、売れ残りや労力のムダがなく、効率的な農場運営につなげています。
人の働き方に合わせたモノづくりができる
―人の苦手な作業を代行するー
「やりがいのある仕事をして成長したい」と思って働いていても、無理な働き方をすれば疲れてしまいます。
農業では、重たい収穫物を運んだり、夜遅くまで働いたり。大きな農場ならば毎日トン単位で収穫される作物を出荷場まで運び、重量を計測し、獲れた順番に揃える必要があります。しかし、そうした肉体的に過酷な労働を極力減らすことで、人がやりがいある仕事に専念できると考えています。
それらの運ぶ・計る・並べるといった過酷な作業を代わりに行ってくれるロボットを開発。ロボットなら何往復運搬しても疲れ知らずで、自動で計測や順番の整理ができるためミスなく安心です。人が苦手な作業の削減にもつながります。
また、収穫作業も同様です。長時間・夜通し作業をしても疲れることのない、自動収穫ロボットを開発しました。
人であれば、作業者の経験によって収穫の判断がばらついたり、判断ミスが起こったりします。
そこで、ロボットを使用することで、予め収穫に適した成熟度を決めておけば、ミスなく同じ品質の作物を収穫できるようになります。
―働く時間を柔軟にするー
また、人が働きたい時間も様々です。長く働きたい人、空き時間で働きたい人、よりフレキシブルな働き方になれば、農業にもっと関わりやすくなるのではないでしょうか。
そこで、従業員の希望に合わせて働けるように、柔軟な勤務管理の仕組みを開発しました。働きたい時間をシフト登録すれば、勤務時間や当日の作業内容がタブレットで分かります。
そうしたシステムを作ることで、さまざまなグラデーションで農業に関わることが可能になっていくはずです。
農業が誰でも安定して働ける場になる。そんな理想がいま実現しようとしています。
作り手の創造力を活かし、農業に新しい価値を生む
農業を安定して働ける場にするだけではなく、デンソーは、農業に関わる人達の創造力を大切にしたいと考えています。
作物をもっと甘く作りたい。形のキレイな作物を作りたい。そうした作り手の想いは、食べてもらう人の喜ぶ顔が見たいからこそ、湧き上がってくるのではないでしょうか。
人が作りたい作物になるよう栽培条件を調整するため、前述のプロファームコントローラーでハウス環境のデータを集約。そのデータを分析に活用することで、自分の理想的な味や形の作物を追い求めることに、より専念できるようになります。
人がこだわりたい部分以外、栽培に最低限必要となる部分は機器やシステムでサポートすることで、
作り手の想いを大切にしながら農業に関わることができるー
そうすれば、農業分野の人の知識だけでなく、いままで農業に関わらなかった他分野の人も専門性や価値観を活かすことができ、様々な特長を持った作物が生まれていくかもしれません。
それらを活用した新たな食文化が生まれることで、農業に新しい価値が生まれる可能性を秘めているのです。
“やってみたい”を叶える理想の農業を目指して
これまでデンソーはモノづくりの分野において、「こんなものを作りたい」という人の創造力を中心に考え、それをサポートするロボットと協働するシステムを作ってきました。
また、世界各地に工場を展開しモノづくりをする中で、デンソーはグローカルの視点を大切にしながら、その地域・ニーズに合う生産体制をつくってきました。
今後、農業においてもデンソーのモノづくり技術を活かすことで、年代・体力・経験のあるなしに関わらず、柔軟な働き方を実践できる。いつでも・どこでも・誰でも農業が始められて、いつまでも働き続けられる。
そうしたあらゆる人の「やってみたい」を叶える農業を実現したい。
そんな「サステナブルな農業」を実現するために、
デンソーはこれからも挑戦していきます。
デンソーの公式WEBサイトでは、
他にもさまざまな農業に関する情報が掲載されています。
「できてない」 を 「できる」に。
知と人が集まる場所。