3. 地域ごとの経営のかじ取り
(6)2021年MTPの主柱
地域ごとの経営のかじ取り
デンソーが2021年中期方針(MTP)を詳細に検討する中で、持続的な成功の青写真が浮かび上がった。それを支えるのは、成長とイノベーションを促進する戦略的な柱だった。主要な重点分野が未来への道を照らし出した。そこでは拡販が市場成長を上回り、野心的な目標を達成するためにすべての組織機能が強化されるのだ。
販売の勝利
2021年のMTPの中心にあったのは、極めて重要な柱、拡販だった。その使命は市場成長を上回ることだ。最重要ポイントは極めて明白だった。マルチ・スズキ・インディア社内におけるデンソーのパワートレイン製品の優勢を確保し、高い市場シェアを約束してくれる強力な提携関係を作り上げるのだ。この戦略的な取り組みの目的は、自動車業界におけるデンソーの牙城を維持するだけでなく、強化することだった。
研究開発の強化
第2の柱である研究開発の強化では、デンソーの現地開発体制への努力が明確に示された。ここでの重要ポイントは、常に変化し続ける規制状況に応え、顧客のためのシステムサプライヤーへと変貌することだった。新たな規制によって自動車を取り巻く事情が変化してゆく中で、デンソーはインド国内と世界の舞台の両方で競争力の強化に努めた。現地開発の重視は、変わり続ける市場のニーズに合わせて自らも変化する戦略的な一手だった。
人材の獲得と維持
デンソーの経営理念の中核には、事業変革を促進する優秀な技術者の獲得・維持(第3の柱)という重要課題がある。最重要ポイントは、特に着実な研究開発機能の強化に不可欠な優れた人材を確保・維持することだった。イノベーションと優れた技術力が成功を決定付ける世界において、一流の人材の育成と維持に注力してきたデンソーの努力は、戦略的ビジョンの土台であった。
管理の効率性
第4の柱は、シェアードサービスによる管理機能の効率化を目的とするものであり、事業拡大によってもたらされる実際的な課題に対応するものだった。最重要ポイントは、固定費の上昇を最小限に抑えることだった。これは事業拡大を前にしての戦略的な至上命題であった。デンソーが構想していたのは、不要な財政負担に屈することなく成長軌道をシームレスに支える、無駄がなく効率的な管理体制だった。
この4本の柱を組み上げて、デンソーは2021年の戦略ロードマップの全体像を描いた。それぞれの柱は孤立した活動ではなく同期化された取り組みとして、持続的な成長、イノベーション、市場におけるリーダーシップという包括的目標に貢献した。この章では、デンソーの2021年MTPの主要な柱が明らかにされた。これは自動車業界を取り巻く複雑な状況を乗り切るための、先見性と未来を見据えたアプローチの証しである。