第3章(2011~2021年) 能力の向上を通じてデンソーに対するパートナー企業の信頼を強化

3. 地域ごとの経営のかじ取り

(7)デンソーの研究開発能力を強化してインドの顧客をサポート

DIIN-テクノロジーセンター-CDM施設
DIIN-テクノロジーセンター-CDM施設
インドテクニカルセンターの挑戦的な道のり

2011年を迎え、変革に向けた準備を整えたデンソーのインドテクノロジーセンター(T/Cセンター)は、常に変化するインドの顧客のニーズに応えるための設備と能力を段階的に拡張・強化しつつあった。DIIN(デンソー・インターナショナル・インド)研究開発テクニカルセンター内にパワートレイン・ガソリン部門とディーゼルパワートレインチームが設立された。研究開発能力の発展に関連する、新たな章の幕開けである。

ディーゼルの分野では2011年から2012年にかけて、ボルボ・アイシャー・コマーシャル・ビークルズ社やアメリカのジョンディア社のプロジェクトなど、有名企業との開発プロジェクトがスタートした。その後の数年間、2014年にVECV BS3とジョンディア社のプロジェクトのSOPが成功するなど、一連の画期的な出来事があった。2016年のボルボ・アイシャー・コマーシャル・ビークルズ社との輸出市場向けEuro3バイオディーゼル(B20)プロジェクト、2018年のアショック・レイランド社とのBS6開発の始動など、いくつかのイニシアチブで卓越の追求が続いた。デンソーのグローバルな展開力の証しとなったのが、2019年のボルボ社とのグローバル市場向けEuro5バイオディーゼル(B30)プロジェクトの始動であり、2022年にSOPが成功を収めた。さらに同じ年、ジョンディア社とのStage V(輸出)開発が始動し、この道のりはさらに拡張された。

ガソリン部門では、2012年にDIINでマルチ・スズキ・インディア社エンジンマネージメントシステム(EMS)開発プロジェクトが始動するなど、デンソーは複数の重要プロジェクトに着手した。また、2018年から2020年にかけて初めての快挙を成し遂げた。短いリードタイムでマルチ・スズキ・インディア BS6プロジェクトを開発し、デンソー本社からの現場サポートを得て複数の並行開発に初挑戦したのだ。この成功を足場として、もう一つの節目となった2021年から2022年には、マルチ・スズキ・インディア社のCAFE2/RDEプロジェクトの開発に成功し、独立した並行開発を行うDIINの能力が示された。

デンソーは2013年から小型モーター分野に進出し、最小バックグラウンドノイズ20dB(A) @ 200Hzで、デリー首都圏における最初の電波暗室の開発と設置に成功した。

DIIN-テクノロジーセンター-二輪車用デモ活動
DIIN-テクノロジーセンター-二輪車用デモ活動

電気・電子二輪車(EE2W)分野では、2013年にDIINに二輪テストラボが開設され、エンジン電子部品の基礎が築かれた。この道のりはその後も続き、2016年にはインドの顧客に対してACG-Sとライドアシストテクノロジーの実演が行われた。とりわけ、DIINは2018年までに日本のサポートを受けずに燃料噴射式(FI)車両(BS4)向けの最初のACGを独自に設計・開発した。その後の数年間にBS6車両向けACGの設計と開発が行われ、2020年にはヒーロー社と共同のACG-S R-Flowプロジェクトが完了した。

エアバッグ部門でも目覚ましい成果があった。2016年にインドのチームメンバーのみによるESC(Early-Stage Control、初期流動管理)ランクCの最初のプロジェクト立ち上げに成功したのだ。2018年、alpha2-e(4ch)をインド市場に投入し、その後現場の駐在員のサポートなしで8chのalpha2-eを投入したことで、イノベーションに対するデンソーの取り組みは新たな高みに到達した。

DIIN-テクノロジーセンター-エンジニアの仕事風景
DIIN-テクノロジーセンター-エンジニアの仕事風景

コネクテッドテクノロジー分野におけるデンソーの歩みは、DIINでの既存のテレマティクスの競合他社調査、市場調査からスタートした。2022年になると、DIINコネクテッド担当チームはトヨタ・キルロスカ・モーター社、マルチ・スズキ・インディア社、ホンダ・カーズ・インディア社の主要顧客3社のテレマティクス製品を独立して管理した。