Episode2-1 顧客との信頼関係の構築

本気で相手のことを
想っているだろうか?

2008年秋。リーマン・ショックが発生。
アメリカの大手自動車メーカーGMも倒産の危機に瀕していた。
「ウチも危険じゃないか?」
「取引をすぐに縮小すべきだ」
製品をGMに納入していた当社でも、様々な意見が噴出した。

経営難の会社から、できるだけ早く債権を回収し、
精算したいと考えるのは当然だ。
しかし、ある営業マンは言った。

「顧客が苦しんでいるのを
見ながら、
自分たちは
さっさと逃げるのか?」

大きな決断だった。
「デンソーは、逃げない」
担当はGMに、自分たちのスタンスを告げた。
債権回収に躍起になる他のサプライヤーは、
支払い期限の短縮を要求し、納入は先に延ばしていく。
しかし、我々はGMに向き合い続けた。
入念なリスクヘッジはしながらも、従来の取り決めを尊重し、
通常ならサインを渋るような契約書も通した。
業績のいい時にだけ笑顔ですり寄り、
経営が傾いた途端に手を離す人間を、誰が信用するだろうか。
デンソーが守りたかったのは、利益でも、肩書でも、規模でもない。

人としての誇りだ。

相手が苦しんでいるときこそ肩を組み、前に進む。
そんな姿勢に応えるように、デンソーの債権は回収率100%を達成。
未回収が発生したサプライヤーも多発する中、
新生GMの発足まで、お互いに支え合うパートナーとして歩み続けた。
ある日のこと、献身的な対応を振り返り、GM担当者は営業に言った。

「デンソーは最高のサプライヤーだ。
未来もずっと、共に頑張りたい」


そこには、ビジネスを越えたつながりが、
確かに生まれていた。

このエピソードとつながるスピリット

Spirit 1

総智・総力コミュニケーション

互いに深く理解し合いたい

Spirit 2

総智・総力チームワーク

チームのために全力をつくしたい

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