Episode3-2 IC製品の内製化

信じる未来へ。
そこに道がなくても、
切り拓く意志はあるか?

1959年、デンソーの技術者たちは
購入したある部品の不具合に頭を抱えていた。
オルタネータにおいて整流を担うIC部品、レクチファイヤ。
もともと家電用の部品だったため、
動作条件の厳しい車載環境ではトラブルが多発。
車載用として改良するにはどうすればよいのか。
半導体の製造経験がないデンソーには見当もつかず、
世界中を見渡しても
ICを内製している自動車関連メーカーはなかった。
そこで、自分たちが経験を積もうと、レクチファイヤの試作に乗り出した。
ゼロから半導体の勉強会を始め、
必要な設備も自らの手でつくった。
積み上がっていく不良品の山。
しかし、失敗の数は、新たな知見の数。
ノウハウをため、ついに想定していた特性を示す
レクチファイヤが一つ完成した。
これが最初の一歩となり、
デンソーのIC開発が動き出す。
「ICは研究だけ続け、製造は他社に任せればいい」
そんな意見もあったが、当時のIC研究チームは違った。

自動車という特殊な環境で動くICは
車載部品メーカーである我々にしか実現できない。
顧客にとって、真に価値ある製品を提供すべきだ。

その一心で、険しい道でも進むと決めた。
1968年、自動車業界では初の製造まで含むIC開発が本格的にスタート。
とはいえ、製造に関するノウハウはまったくない。
まずは生産設備を手に入れなければと、アメリカの展示会に飛んだ。
取締役自ら、休む間も惜しみサンドイッチを食べながら歩いた。
同行した技術者も「何がなんでも成功させなければ」と感じたという。
並行して、専門家を迎えて体制を整えた。
大手メーカーにも教えを乞い、すぐにその学びを活かした。
社会の価値となる製品を生み出すために
とにかく必死に学び、行動し、道を切り拓いた。
そして、IC製品の量産に成功した後も、
難易度の高い開発に次々と挑戦し続け、それをやり遂げた。
難題を依頼しにきた顧客は、我々に言う。

「無理なことを実現するのがデンソーだろう?」
次の常識をつくり出すのは、私たちだ。

このエピソードとつながるスピリット

Spirit 1

先進先取

変化を先取りしたい

Spirit 2

先進創造

新しい価値を生み出したい

Spirit 3

先進挑戦

難しい壁を乗り越えたい

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