DRIVEN BASE

CTO MESSAGE

環境・安心の価値最大化に向けた半導体戦略

    CTO(Chief Technology Officer) 経営役員 加藤 良文

時代の変化を捉え、新たな価値を創造し続けるために

100年に一度のパラダイムチェンジの時を迎えた今、デンソーがこの時代を乗り越え、さらには業界を牽引していくためには、改めて社是の精神「研究と創造に努め常に時流に先んず」の愚直な実践が肝要であると感じています。この社是の精神は、2025年中期方針にも継承され、「世界初・世界一の実現を目指す」というメッセージとして、社員全員が想いを新たにしました。

研究開発をはじめとする知的資本は当社の競争力の源泉であり、過去5年間の累計では環境・安心領域を中心に、約2.4兆円の研究開発を実施しました。その中でも、ソフトウェ ア技術とともに環境・安心の取り組みの基盤となる、半導体の重要性はますます増しており、ステークホルダーの皆様から高い関心をいただいています。一口に半導体といっても、使用される領域や技術によって、異なる対応が必要になります。そこでデンソーでは、半導体をマイコン(マイクロコントローラ)とSoC*、パワー&アナログ、そしてセンサの3つの領域に分け、開発・調達戦略を立案、推進していきます。

* SoC:System on a chip

マイコン & SoC戦略

高度なロジック半導体の安定調達を目指し、「開発・標準化、専業メーカとの連携進化」と「つなぐ活動」を推進

仕様・設計・製造の分業が進むマイコンやSoCは、より微細化が必要な分野であり、半導体の確保に向けては、専業メーカとの連携による安定調達網の確保が最重要です。当社は車載視点での戦略的な仕様の提示と標準化の推進、複数の生産拠点の確保、そして調達構造の変革に取り組みます。2025年を目標に、マイコンの標準化および半導体業界とのギャップ 解消を進め、サプライチェーンの強靭化を目指します。

パワー & アナログ半導体戦略

システム競争力の最大化を目指し、「デバイス&ウエハ」と「製造プロセス」を内製開発

デンソーは、タフな半導体の開発を目指し、約半世紀にわたり高電圧パワー半導体やアナログ半導体を生産してきました。高電圧パワー半導体では、戦略パートナーとSi大口径ウエハの生産や、BEVの電費向上に貢献するSiCの本格投入に取り組みます。アナログ半導体では、車載環境性能に耐えうるタフな半導体の開発や、お客様のニーズに徹底的に寄り添う ASICの開発を加速します。2025年には、内製半導体として、5,000億円相当の売上を目指します。

センサ戦略

競争力のある戦略パートナー連携を目指し、足元の「目利き力」と将来の「実現力」を強化

安全システム製品を支える環境認識センサ分野では、半導体ベンダの中でも特に、戦略的な連携をするパートナーとともに、変化が激しい技術トレンドを先読みし、車載センサのニーズを的確に戦略パートナーに発信し、Win-Winの関係を構築することで、強力に開発を推進します。また、将来のモビリティで必要となる半導体の企画力と、センサの性能を最大限引き出すシステム技術力のさらなる強化に取り組みます。2025年には、レベル3以上の高度運転支援機能を持つ小型かつ高性能な環境認識センサの開発を目指します。

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