DRIVEN BASE

デンソー、四輪車用世界最軽量クラスのスターターを開発~従来製品から 約40%の軽量化を達成~

2011年1月31日

 株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:加藤 宣明)は、四輪車用としては世界最軽量クラスとなる重量1.9kgのスターターを開発しました。今回開発したスターターは、スズキ株式会社(本社:静岡県浜松市、会長兼社長:鈴木 修)から本年1月に発表されたMRワゴンに搭載されています。

 スターターは、エンジン始動の際にスターター内のクラッチを押し出し、その先端のピニオン(スターターの回転をエンジン側に伝えるためのギヤ)をエンジンのリングギヤに噛み合わせて動力を伝えます。エンジンの始動時のみに作動し、それ以外は作動することがないため、従来から小型軽量化がスターターに対する技術開発上の最大の課題でした。

 これまでスターターは、モーター部分を小型化することにより製品全体の小型軽量化を図ってきました。しかしながらそれ以外の部分については、駆動部分の内部にあるクラッチとピニオンが一体となっており、これらがエンジン始動時にスターター内で移動して車両側のリングギヤと噛み合う為、それを動かすためのスイッチ部分についてもある程度大きな力が必要となり、結果、駆動部分、スイッチ部分とも小型化が進んでいませんでした。

 今回、駆動部分にあるクラッチとピニオンを分離し、ピニオンのみでリングギヤに噛み合わせる「ピニオンシフト構造」を新開発しました。従来、駆動部分のクラッチとピニオンの両方を動かす必要があったものを、ピニオンだけを動かすことが可能となり、それにより移動部分が約70%軽量化され、噛み合いに必要な力も低減され、スイッチ部分の小型軽量化が可能となりました。その結果、全体で約40%の軽量化を達成しました。

 今回開発したスターターは、小型化軽量化を追求したコンパクトカー向けのものであり、軽自動車クラスから1.2Lクラスのガソリン車まで対応が可能となっています。また、同時に開発した、従来製品から約30%の軽量化を達成した重量2.1kgのタイプは、1.2~2.5Lクラスの車輌まで対応可能となっており、今後は、中国、タイ、ブラジル、インドなど、小型ガソリン車の市場である地域へも展開し、両モデル合わせて年間500万台の生産を目指していきます。

 デンソーは小型軽量化への取組みに加え、燃費向上への寄与が期待され、今後市場の拡大が見込まれるアイドルストップシステム用のスターターの開発・生産も行っており、これらを通じ、これからも車輌の燃費の向上に貢献していきます。

新型スターター

従来品

以上