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DENSO DIALOG DAY(デンソーダイアログデー)2023 を開催

2023年11月15日

株式会社デンソーは、2023年11月15日に、「DENSO DIALOG DAY 2023」を開催しました。「自動車業界のTier1」から「モビリティ社会のTier1」へと進化するために、「環境」と「安心」の価値最大化を目指し、新経営体制の方針や、企業基盤強化に向けた企業価値向上戦略、基盤技術の強化や新価値創造における技術戦略について発表しました。

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    左より 経営役員・Chief Technology Officer 加藤 良文、代表取締役社長・Chief Operating Officer 林 新之助、
    代表取締役副社長・Chief Financial Officer 松井 靖


「自動車業界のTier1」から「モビリティ社会のTier1」へと進化し、スコープをモビリティ社会へ広げることを方針と掲げ、この方針を実現するため、デンソーは「モビリティの進化」「基盤技術の強化」「新価値創造」の3つのチャレンジに取り組みます。

1. 「モビリティの進化」
・電動化
「製品競争力」、「品揃え」、「モノづくり」の強化を通して、2025年度には売上1.2兆円、2030年度には1.7兆円への成長を目指します。
「製品競争力」の面では、基幹製品の機能や性能を磨き上げ、競争力を向上させるとともに、「品揃え」の面でお客さまの多様なニーズにお応えするため、コアとなる部品からエネルギーマネジメントシステムまで、幅広く商材を揃えていきます。また、「モノづくり」の面では、世界中のお客さまにスピーディーに製品をお届けできるよう、開発期間を半分に短縮、生産供給面では世界五極で量産体制を築いていきます。

・ADAS
「製品競争力」、「品揃え」、「技術開発」の強化を通して、2025年度には売上5,200億円、2030年度には1 兆円の実現を目指します。
「製品競争力」の面では、2022年より新たな世代の先進安全システムである「Global Safety Package 3」の量産を開始しており、ADAS製品をHMI(ヒューマンマシーンインターフェース)やインフラと連携させ、最適な運転支援を実現することで事故シーンカバー率を向上します。「品揃え」の面では、お客さまや地域のニーズに合わせた製品やシステムを揃えてクルマへの搭載率を高めることで、交通安全に貢献していくとともに、「技術開発」においては、システム、コンポーネントの進化を支える次世代技術開発を強化していきます。

2.「基盤技術の強化」
・半導体
2030年度までに累計で5,000億円の積極的な投資を行い、2035年度には事業規模を現状比3倍の7,000億円に拡大します。
BEVの電費向上に寄与するSiCパワー半導体に関しては、高品質ウエハーの実用化、低コスト化など技術面の取り組みを進めるとともに、パートナーとの連携で安定供給を実現することで、市場投入を加速します。アナログ半導体のASIC*¹に関してはニーズを先回りした内製開発で差別化を図り、SoC*²に関しては、チップレット技術の獲得など業界連携を進めることで、車載最適なSoCを構築します。

・ソフトウェア
開発力のさらなる向上に向け、人財面では2030年度にソフトウェア人財を現状から1.5倍の1.8万人体制とし、事業規模としても2035年度には現状から4倍の8,000億円に伸ばします。
車載ソフトはますます大規模化し、パワートレインやボデー、通信などドメインをまたいだ開発を求められる中、デンソーが長年積み重ねてきた多彩なソフトウェアIPと実装力を活用し、ECU搭載一体ソフトウェアで高品質で高精度な大規模統合ECUを実現します。また、ソフトウェアとハードウェアが分離され単独で流通し始めるSDV時代において、お客さまとも連携しビジネス化に取り組むとともに、お客さま間を横断した標準化や共通化をリードします。

3.「新価値創造」
新価値領域は、2030年度には売上3,000億円、2035年度には全社売上の20%を占めるレベルへの成長を目指します。
さまざまな領域で技術開発や事業化の検討を進めている中、エネルギー領域では水素ビジネスに参入します。セラミックやエジェクター、熱マネジメントといったクルマで培った技術を活かし、電気から水素をつくるSOEC*³と、水素をつかい電気にするSOFC*⁴を市場投入します。食農領域では、食料の安定供給に貢献するため、施設園芸に工業化技術を導入し農場の工場化を進めます。また、完全子会社化したセルトングループの強みとデンソーの強みを融合することで、グローバルな事業展開を加速していきます。

新経営体制での3つのチャレンジを通じて、環境と安心の理念に基づいた事業を進めることで、2030年度の売上目線として7.5兆円を掲げます。

「人を大切にする経営」
電動化とソフトウェア領域においては、社員採用および成熟領域からの人財シフトなどを推進することで、2022年から2025年までの4年間で計4,000名の人財を増強します。そして、すべての活動の原動力となる社員一人ひとりの「内発的な想い」を大切にし、「会社の理念」と「社員の働きがいや生きがい」を繋げていけるよう、「人を大切にする経営」を進めていきます。


説明資料はこちらからご覧ください。
https://www.denso.com/jp/ja/about-us/investors/business-briefing/


*¹ ASICとは、特定用途向け集積回路(Application Specific IC)のこと
*² SoCとは、複数の機能を集積し、システムとして機能させる集積回路 (System on a Chip)のこと
*³ SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell):セラミック膜を電解質として高温で動作し、水蒸気を電気分解して
水素を製造する装置
*⁴ SOFC(Solid Oxide Fuel Cell):水素をはじめとする燃料と酸素の化学反応によって電気と熱を発生させる燃料電池