DRIVEN BASE

CSwO MESSAGE

クルマ一台分の進化と未来のモビリティをリードするソフトウェア戦略

CSwO(Chief Software Officer) 林田 篤

デンソーのソフトウェア戦略3つの柱

デンソーが強みを持つソフトウェア(以下、ソフト)分野でさらなる競争力を獲得し、お客様の期待に応えるために、3つのソフト戦略を柱として活動を進めています。一つ目は、これまで培ったクルマのソフトのノウハウを活用し、クルマ一台分のソフト統合と最適化に注力すること。二つ目は、グローバルな開発体制の構築とパートナーシップ戦略を加速させ、地域ごとのニーズやトレンドを的確に捉えた価値提供につなげること。最後に、ソフトの標準化・共通化で業界全体の信頼性と効率化に貢献することです。これらの戦略で、ソフトの価値を高め、業界を力強くリードしていきます。

クルマ全体のソフトノウハウの活用

デンソーは、クルマにソフトが初めて搭載された1980年代より車載ソフト開発を手掛けており、パワトレインやボデー、シャーシ、空調、コックピット、先進安全と、クルマの全機能ドメインにおいてソフトのノウハウを蓄えてきました。車載制御システム全体がソフトリッチ化していく今後の開発において、これまで培ってきたノウハウを最大限に活用し、開発の質を高め、カーメーカや新たなお客様に、先進のソフトシステムとして提供していきます。また、今後クルマが高度なインテリジェント化を果たしていくために、クロスドメインでの価値を高めることに加え、ソリューションを提供することが重要です。異なるドメイン間の相互協調を、アーキテクチャ設計やインテグレーションなどのソリューションビジネスを提供することで実現します。

グローバル開発体制のさらなる強化

急速に大規模化、高難度化するソフト開発を推進するためには日本一極ではなく、グローバルで開発体制を強化していく必要があります。デンソーは、これまでも各地域にソフト開発会社を設立し、各地域の特徴や強みを活かした開発体制を整備してきました。さらに、ハードエンジニアからソフトエンジニアへのリスキリング活動を2020年から開始し、11,000人のソフト人財体制を構築してきました。今後はこの動きをさらに加速させ、2025年度には12,000人規模のソフト開発体制を実現します。さらに、 開発人員の「量」だけでなく人財の「質」も大幅に高めるべく、キャリアイノベーションプログラム(ソムリエ認定制度)により、世界中のソフト人財のスキルレベルを見える化し、質の高いグローバル開発を進めていきます。さらに、モビリティ社会全体の新たな価値提供には欠かせないAI、セキュリティ、データサイエンス技術などの先端技術を、開発パートナーとの共創で加速させます。

ソフトの標準化による業界貢献

ソフト開発はあらゆる業界で投資増大を招いており、開発量の抑制は全業界の喫緊の課題です。デンソーは、これまで築き上げてきたお客様との信頼関係に加え、セキュリティ技術やプラットフォームソフトなどを通じた様々な業界、標準化団体との活動実績を活かし、標準化・共通化を積極的にリードすることで、業界全体に協調型のエコシステムを構築していきます。

ソフトの価値創造からビジネスを生み出す

協調領域をリードする一方で、クルマの知能化を捉えたソフト事業を確立していきます。モビリティの価値向上のため、最新のアプリケーションソフトやSoCを、車載向けに要求される高品質でつくり上げるインテグレーションやアーキテクチャ設計などのソリューション提供や、ソフトアップデートを活用してモビリティのライフタイムバリューを訴求したサービス提供など、ソフトが本来持つ価値を訴求します。多様な品揃えにより、カーメーカのニーズに合う幅広いソリューションを提供し、システム・メカ・エレクトロニクスの事業成長にもつなげます。

林新社長から引き継いだ私の想い

前CSwOである林は、デンソー初となるソフト部門出身の社長です。ソフトは自動車産業の長い歴史の中では後発ですが、その若いソフトが今や、クルマの進化と価値向上のために、お客様も含む社内外のステークホルダーを束ね、良いクルマをつくり出すための技術とチームの調和を支えています。ソフトにはそういった「人と人」、「モノとモノ」、「クルマと社会」をつなぐ力があると信じています。モビリティ社会の進化に関わる多様な業界や企業との共創と競争を通じ、デンソーらしい未来志向の価値創造に向け、全力で取り組んでいきます。