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CTO MESSAGE

幸福循環社会の実現に向けた「5つの流れをつなぐ」技術開発

CTO(Chief Technology Officer) 経営役員 加藤 良文

社会活動を止めない

デンソーは、人流・物流を支えるモビリティシステムサプライヤー、そしてモノづくり企業として、「社会活動を止めない」「地球の環境保護と持続的経済成長の両立」に応えることが責務です。

これまでの5年間で、環境領域では、電動化・カーボンニュートラルなど「エネルギー流」の技術開発に6,000億円、安心領域では、高度運転支援・自動運転など「人流・物流」の技術開発に1兆2,600億円、共通の基盤技術に1,990億円の経営資源を投入してきました。

その結果、環境領域では、エレクトリフィケーションシステム事業グループの売上収益が、9,100億円(2018年度)から1兆400億円(2022年度)に成長しました。また、BEV向けに消費電力の大幅低減を可能としたSiCインバータの量産を開始しました。安心領域では、高度運転支援(ADAS)とシステム制御ユニットを中心としたモビリティエレクトロニクス事業の売上収益が、1兆1,100億円(2018年度)から1兆6,100億円(2022年度)と大幅に成長、その間にはADAS用センサシステム(GSP : Global Safety Package)の事故カバーシーンを拡大したGSP2、GSP3を世に送り出しました。さらに既販車向けアクセル踏み間違い防止後付け装置による安全装置の普及も推進してきました。

2035年度「モノづくりにおけるカーボンニュートラル」「交通事故死亡者ゼロ」達成に向けて、さらなる技術開発と事業スケール化による社会への普及を加速させていきます。

5つの流れで幸福循環の輪をモビリティから社会全体に

カーボンニュートラルや資源枯渇への対応、交通事故死亡者ゼロ、移動弱者救済、ホワイト物流といった「ネガティブをゼロに」するだけでなく、「ゼロからポジティブに」できる新たな価値を提供することで、初めて幸福の循環が正のスパイラルで回り出します。そのためには、人流・物流・エネルギー流・資源流を、データで可視化しつなげる「データ流」で新たな価値が生み出され、モビリティから社会全体に循環が広がっていくのです。

例えば、クルマは走っている時は「人流」「物流」としての価値がありますが、電動車であれば駐車時には蓄電の価値として「エネルギー流」に組み込まれることになります。また、クルマとしての一生を終える時には再生資源価値として「資源流」に組み込まれます。これらの流れはすべて「データ流」で見える化され、異なる流れがつながることができるのです。

私たちの専門性は、モビリティ企業としての「ヒト、モノの移動」、製造業としての「エネルギー・資源の最適化」、そして世界で初めてQRコード®を生み出した「データ生成、管理」にあります。

これらの専門性を活かし、「交通事故死亡者ゼロ・移動弱者救済・ホワイト物流のための人間特性研究と自動運転技術」や「カーボンニュートラルのための触媒技術を活かした燃料電池やCO2回収システム」、「モビリティリサイクルのためのFA技術などを活かした廃車解体・材料選別システム」、「データ保護・流通・活用のためのQRコード®・量子コンピューティング技術」などの開発を通じて、モノと情報、製造者とお客様、ヒトとモビリティ、そして社会をつないだ新たな幸福価値の創出と循環に取り組んでいきます。