カーエアコンが航続距離を延ばす!?

電気自動車(EV)でも、遠くまで快適にドライブしたい―。
そんな夢に近づくカーエアコンシステムを開発しました。

EVは、一回の充電で走行できる距離(航続距離)が短い上、
充電する時間も長いことから、まだまだ本格的な普及に至っていません。
そこでデンソーは、得意とする熱エネルギーマネジメント技術を活かして
EVの航続距離を延ばすためにヒートポンプエアコンシステムを
世界で初めて開発しました。

環境にやさしく
しかも快適に

環境に配慮するためにハイブリッド車(HV)、EVなどの普及が望まれていますが、環境のためとはいえ、快適性もしっかり確保したいもの。環境性能と快適性能の両立をかなえる技術のひとつがヒートポンプエアコンシステムです。

暖房だけで
車の全消費エネルギーの50%以上!

EVは他のエコカーに比べ、航続距離が短く、特に冬場ではガソリン車やディーゼル車のようにエンジンの廃熱を利用できないため、暖房にも電気を使用。電気ヒーターの電気消費によって、さらに走れる距離が短くなってしまいます。暖房で消費されるエネルギーは、車の全消費エネルギーの50%以上になることもあります。

節電と快適の両方をかなえる
新しいエアコンシステム

少ない電力で大きな熱エネルギーを得る
それがヒートポンプエアコンシステム

さまざまな方法を検証した結果、家庭用エアコンでも広く普及しているヒートポンプが最も効率的と判断しました。空気中の熱をポンプのようにくみあげて、車室を温めるのがその仕組み。自然界にある空気の熱を利用するので、少ない電力で大きな熱エネルギーを得ることができます。 

【ヒートポンプとは】

冷媒を圧縮すると高温になり、膨張させると低温になる原理と、高温から低温へ熱が自然に移動していく原理。この2つの原理を利用することで、冷媒を冷やしたり暖めたりして、熱を温度の低いところから高いところに運び、車室の暖房を実現します。

快適性を維持しながらも
従来のEVより
もっと遠くまで走れる!

従来、EVの暖房に使用されていたのは、電気ヒーター。これをヒートポンプエアコンシステムに置き換えることによって、冬場の暖房に使用する電気を大幅に節約。電気の消費を低減することで、これまでのEVよりも航続距離を延ばすことができました。

左から
谷畑 拓也 熱システム開発技術者
柳町 佳宣 エアコンシステム先行開発技術者

「デンソーのヒートポンプエアコンシステムを次世代自動車のスタンダードにしたい。」

過酷な使用環境に耐える製品の開発

車は空間が狭い上に窓ガラス部分が多く、外部環境の急変に敏感に影響します。そのため、車室内を快適に保つ温度制御に苦労しました。EVは車内が静かなので、電動コンプレッサーの音や振動をいかに抑えるかも注力した点です。
システム制御や、メーカーの要求に合わせたつくり込みなどを、トータルで提供できるのがデンソーの強み。まだ課題は残っていますが、10年後にはデンソーのヒートポンプエアコンシステムがスタンダードになるよう、今後も努力していきたいと思います。

ヒートポンプエアコンシステムの技術を広め ユーザーの笑顔をもっと増やしていきたい

今後、EV以外のクルマも、環境性能向上のために廃熱が少なくなる事が予想され、より高効率な暖房システムのニーズが高まっていくでしょう。デンソーはさまざまなクルマにもこの技術を広め、ユーザーの笑顔を増やしていきます。

社会のニーズを先取りして
先進性に満ちた価値と可能性を提供します

EVの航続距離をもっと延ばしたい。そんな思いで各カーメーカーがEVを開発しているなか、デンソーは「車載用ヒートポンプエアコンシステム」の量産化を実現しました。それはカーエアコンで世界一のシェアを持つデンソーだからこそ。今後もこれまでの実績を活かしながら、社会のニーズを敏感にキャッチし、新たな価値創造のために挑戦していきます。