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デンソー、エジェクタを搭載した世界初のカーエアコンシステムを開発~コンプレッサの消費動力を大幅に低減~

2009年5月19日

 株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:加藤 宣明)は、小型の冷媒噴射装置であるエジェクタを搭載したカーエアコンシステムを世界で初めて開発しました。今回開発したシステムは、従来のシステムと比べコンプレッサ(圧縮機)の消費動力を最大約25%低減させることができ、トヨタ自動車の新型プリウスに採用されました。

 カーエアコンで消費されるエネルギーの多くは、冷媒を圧縮するコンプレッサの動力として使用されています。従来のシステムでは、エバポレータ(蒸発器)で空気を冷やすために膨張弁(冷媒の絞り弁)が冷媒を減圧していましたが、エジェクタを搭載したシステムでは、エジェクタが膨張弁の代わりとなり、エジェクタ内のノズル部で減圧するとともに、その減圧する時の力が冷媒を昇圧させるポンプの役割を果たすことでコンプレッサの負荷を抑え、消費動力の低減を可能としました。

 デンソーは、既に冷凍車の冷凍機や家庭用CO2給湯機などにエジェクタを採用してきましたが、カーエアコンへ搭載するためには小型化など搭載性の向上が不可欠でした。今回開発したシステムでは、エジェクタを従来のエバポレータ上部の冷媒を通すタンクに内蔵し一体化することで、配管との接続部や耐圧のための肉厚な構造が不要となり、小型化を実現しました。このエジェクタ一体型エバポレータ(ECSエバポレータ【注】)は、従来のエバポレータと同等のサイズのため、従来のシステムへの適用が可能です。

 ECSエバポレータは、5月20日~22日にパシフィコ横浜で開催される「人とクルマのテクノロジー展」のデンソーブースにて展示します。

【注】 E jector C ycle S ystemエバポレータ

冷凍サイクルの比較

<従来のエアコンシステム>

<新開発のエアコンシステム>

ECSエバポレータの搭載図

※搭載イメージ

ECSエバポレータ搭載によるコンプレッサ消費動力の低減効果

ECSエバポレータ外観図

以上