デンソー、国際的なプラスチック技術者協会の自動車部会で「環境部門賞」を受賞
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:加藤 宣明)は、ラジエータタンクで使用されている植物由来樹脂の開発・実用化により、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男)とデュポン株式会社(本社:東京都千代田区、社長:天羽 稔)との3社共同で、プラスチック技術者協会 自動車部会の環境部門賞を受賞しました。
ラジエータタンクに使用される樹脂は、エンジンルーム内で使用され、高い耐熱性および耐久性が要求されるため、これまでは植物由来原料の比率が高いものでの製品化は困難でした。今回受賞した植物由来樹脂は、蓖麻(ヒマ)【注1】から抽出した有機化合物に石油を原材料とする有機化合物を加えて化学反応させ、ガラス繊維などの添加剤を加えた植物度【注2】40%の樹脂で、デンソーとデュポンが共同で開発し、トヨタ自動車のカムリの一部に7月から搭載されています。 更に、この樹脂は大気中のCO2を吸収した蓖麻から抽出した成分を主原材料とするため、使用後に燃やして熱エネルギーを回収する場合でも、化石燃料でできた従来製品と比べ、トータルの製品サイクルで見たときに大気中のCO2量の増加を抑制できるというメリットがあります。
国際的な団体であるプラスチック技術者協会(Society of Plastics Engineers)は、本拠がある米国と約70カ国のプラスチック専門家 約2万人を会員に持ち、60年以上にわたってプラスチック技術の発展に貢献してきた、プラスチック分野では世界有数の団体です。自動車部会(Automotive Department)は、同協会の中で自動車用プラスチック技術の発展に取り組む部会で、40年近くにわたり、革新的なプラスチック技術や製品に対し、毎年表彰を行なってきました。環境、ボディー外装、ボディー内装、パワトレインなどの部門で選考が行なわれ、11月12日(木曜日)に米国ミシガン州デトロイトで今年度の発表と表彰式が行なわれました。
デンソーは植物由来樹脂製ラジエータタンクの搭載車種拡大を目指すとともに、植物由来樹脂の使用製品の拡大を図ることにより、限りある石油資源の使用量を削減し、同時に製品のライフサイクルにおけるCO2排出量の削減と、地球温暖化の抑制に取り組んでいきます。
<注釈>
【注1】 蓖麻 :唐胡麻(トウゴマ)。トウダイグサ科の植物。種子は蓖麻子(ヒマシ)といい、ひまし油の原料
【注2】 植物度:原材料に占める植物由来成分の割合
植物由来樹脂の循環サイクル
ラジエータおよびラジエータタンク
※ラジエータタンクは、ラジエータの上下部分

以上