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CO2ヒートポンプ式給湯システム、全国発明表彰「恩賜発明賞」を受賞

2010年6月18日

 株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長: 加藤 ( かとう ) 宣明 ( のぶあき ) )、東京電力株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長: 清水 ( しみず ) 正孝 ( まさたか ) )、および財団法人電力中央研究所(本部:東京都千代田区、理事長: 各務 ( かくむ ) 正博 ( まさひろ ) )の3者が共同開発した、CO2ヒートポンプ式給湯システム(通称:エコキュート)の高効率運転を実現するために必要なヒートポンプ内の高圧側の冷媒圧力の制御方法に関する発明が、このたび、全国発明表彰「 恩賜 ( おんし ) 発明賞(【注1】)」を受賞いたしました。

 本発明は、低炭素社会の実現に向けた流れの中で注目を集めるエコキュートの基本的な技術であり、お湯を沸かす際に、再生可能エネルギー源である大気中の熱を汲み上げることで大幅な省エネ化を図ることができるヒートポンプ技術に関するものです。CO2を冷媒とするヒートポンプは、従来のフロン系の冷媒を使用したシステムに比べ高い効率が得られることは従来から知られていました。しかし、このCO2を冷媒とするヒートポンプは冷媒の特性上、超臨界圧状態(【注2】)の冷媒を利用するため、従来のフロン系冷媒の給湯システムで使われていたように、所定の圧力にて冷媒の温度を一定に保ちながら気体から液体に変化する際に発生する熱を利用してお湯を沸かすということが出来ず、高効率なシステムを実現するためにはCO2から発生する熱を最大限に利用するための新たな制御方法を開発する必要がありました。
 具体的には、CO2冷媒と水の熱交換過程における水の入口と冷媒の出口との温度の差をヒートポンプ内の圧力の制御に利用し、CO2が持つ熱エネルギーを充分に引き出し、これを水に与えることを可能にするものです。これにより、一年を通じて様々な環境の下で使われるエコキュートを常に効率的な状態に維持することが可能になり、消費電力を従来の電気温水器と比較し1/3~1/4に低減することが可能となりました。

 「恩賜発明賞」の受賞者は以下の通りです。

株式会社デンソー 榊原 久介  伊藤 正彦  藤原 健一  西田 伸
東京電力株式会社 小早川 智明  草刈 和俊
財団法人電力中央研究所 斎川 路之

<注釈>

【注1】恩賜発明賞   : 社団法人発明協会が主催する全国発明表彰の賞で、皇室の御下賜金を拝受する同表彰の最高賞。 【注2】超臨界圧状態 : 高温、高圧の中で、気体と液体の境がなくなった状態。

以上