デンソー、インド向けに4つの熱交換器を開発 ~材料種類の7割以上削減や生産ラインの共通化などにより、大幅にコストを低減~
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:加藤 宣明)は、新興国市場向けに様々な製品の開発を進めており、今回、インド向けにラジエーター、ヒーターコア、コンデンサー、エバポレーターの4つの熱交換器を開発しました。これらの4つの熱交換器は、品質を維持しつつ、現地調達率を高め、同時に4製品の材料を共通化して種類を7割以上削減することなどにより、大幅なコスト低減を実現しました。
これら4つの熱交換器は、エンジン冷却水ないしエアコン冷媒と空気との熱交換という共通した働きをするため、構造は類似していますが、要求される耐食性・耐圧性などが異なります。また、従来は極寒・極暑など世界のあらゆる環境で使用できることを前提としてきたため、熱交換器ごとに種類の異なる高精度な材料や部品が使われてきました。
今回はインドの使用環境やニーズを精査して仕様を適正化し、更に現地で調達可能な汎用材の使用を前提に製品開発を進めました。その結果、現地調達率を高めると同時に、各製品を構成するチューブとフィンなどの材料・部品を大幅に共通化でき、材料種類を従来比で7割以上、部品種類も約4割削減することができました。
加えて、生産面においても様々な工夫・改良を施し、例えば、中空構造となっているラジエーターやヒーターコアのチューブと、内部が波型の耐圧構造となっているエバポレーターとコンデンサーのチューブの加工において、成形機を改良することにより、同一の設備で作ることに成功しました。
これら材料・部品の共通化および生産面における工夫などの結果、従来は別々のラインで生産していた4つの熱交換器を一本のラインで生産することが可能になり、少量でも効率的な熱交換器の生産が可能になりました。
今回開発した4つの熱交換器は、2010年12月に発売されたトヨタのエティオスに搭載されています。今後は他の車種での搭載に向けて拡販活動を行うと共に、今回の開発で培った低コスト化技術のノウハウを日本をはじめとする各国・地域で共有し、グローバルで製品競争力強化に取り組んでいきます。
参考:熱交換器について
熱交換器は、温度の異なる液体や気体間の熱を互いにやり取りする装置で、大別すると、冷却水や冷媒が流れるチューブ、滞留するタンク、そして熱交換を行うひだ状のフィンの3つで構成されています。自動車においては、エンジン冷却水を冷やすラジエーター、車室内を暖気するヒーターコア、エアコン冷媒を冷却するコンデンサー、車室内の空気を冷やすエバポレーターなど、複数の熱交換器が使われています。
これらの熱交換器は、燃費やエアコンの省動力に大きく影響するため、デンソーでは製品の低コスト化に取り組む一方、性能向上に向け、研究開発に取り組んでいます。
フィンとチューブについて
製品外観
(左上)ラジエーター、(右上)ヒーターコア、(左下)コンデンサー、(右下)エバポレーター
以上