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デンソー、フィンランドのCanatuとカーボンナノチューブ技術の実用化に向けた覚書を締結

2024年12月4日

株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:林 新之助、以下デンソー)はこのほど、Canatu(本社:フィンランド、社長:Juha Kokkonen、以下カナツ)とカーボンナノチューブ技術の実用化に向けて覚書を締結しました。パートナーシップの強化を通じて、自動運転技術の進展やカーボンニュートラルの実現に貢献することを目指し、協力をさらに深めていきます。

自動運転技術の進化に伴い、クルマはカメラなどを使って周囲を正確に検知することが求められますが、曇りや霜が発生すると視界が遮られ、検知が難しくなるといった課題があります。これらの課題解決に向け、デンソーは透明で柔軟な素材を活用した透明導電膜を用いた製品開発に取り組んでおり、その鍵となるのがカーボンナノチューブ技術です。

カーボンナノチューブは、高い強度と軽量性および優れた電気・熱伝導性を持つ、非常に微細な構造を持った炭素素材で、多岐にわたる応用が期待されています。カナツは、独自の材料を使った高純度なカーボンナノチューブを高効率に生成する革新的な技術を保有しており、透明導電膜の形成技術に強みを持っています。

デンソーはこれまでも、カナツの持つ高度な透明導電膜形成技術と、デンソーが自動車分野で培った技術や量産に関する知見を組み合わせることで、カーボンナノチューブに関する共同研究に取り組んできました。これを受けて、具体的な共同開発に進み、本年4月にはフィンランドにあるカナツの工場で、カーボンナノチューブの生産性を大幅に向上させるリアクター*の開発に成功したほか、カーボンナノチューブを使ったクルマのカメラやフロントガラス用透明ヒーターの開発を進めてきました。

今般のカーボンナノチューブ技術の実用化に向けた覚書の締結を受けて、透明ヒーターの実用化に向けて開発を加速するとともに、新たに環境技術に応用し、カーボンニュートラルの実現に貢献する技術の確立を目指します。

■協業の主要分野
カーボンナノチューブ技術の実用化を目指し、以下の3つの領域において取り組みを加速させます。

1. 研究開発:
カーボンナノチューブを活用した透明ヒーターに加え、太陽光発電技術など新たな応用技術を開発します。
2. 量産技術:
カーボンナノチューブ製造設備やプロセスの改良を共同で進め、量産化に必要な品質の実現を目指します。
3. グローバルサプライチェーンの構築:
信頼性の高い製品の安定供給を実現するために、供給体制の構築に向けた検討を開始します。

今後もデンソーは、あらゆる分野のパートナーと協力しながら技術開発を進め、人と地球にやさしい移動の実現に貢献してまいります。

リアクター:カーボンナノチューブを製造する際に使用する装置。