デンソー、2重管式内部熱交換器を用いたカーエアコンシステムを開発 ―冷房能力を最大12%向上―
2重管式内部熱交換器
(カットモデル)
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:深谷 紘一)は、2重管式内部熱交換器を用いることで冷房能力を向上したカーエアコンシステムを開発しました。同じ動力で駆動した場合、冷房能力を5~12%向上することが可能であり、2重管式内部熱交換器としては初めてフロントエアコンに用いられています。
このエアコンシステムは2006年1月からトヨタ自動車株式会社の中近東・北米向けランドクルーザープラドに搭載されています。
2重管式内部熱交換器は、従来は別々の2本の冷媒配管で構成されていたものを、内管と外管から構成される1本の2重管にし、冷凍サイクル中の冷媒の温度差を利用して内部熱交換することで、冷房能力の向上を図るものです。
今回開発した2重管式内部熱交換器は、内管の壁に独自の「らせん溝」を形成することで、内管の内側を流れる低温ガス冷媒と、内管と外管との隙間を流れる高温液冷媒の熱交換を効率よく行うことができます。このらせん溝を最適設計することで、わずか約40cmの熱交換器で必要な熱交換を行い、冷房能力を5~12%向上させることができます。
エアコンシステムを車両に搭載する際には、エンジンルーム内の部品レイアウトに応じて配管を曲げることが必要ですが、内管を外管に差し込むだけで簡単に製造できる2重管構造は曲げることにより冷媒の通路がつぶされてしまう可能性があります。今回開発した2重管は、らせん溝により、曲げても冷媒の通路は確保されるため、従来のエアコンシステムと同一の空間に搭載することができます。このことにより、冷房能力を向上させたフロントエアコンシステムを実現しました。
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