DRIVEN BASE
5G

5Gによる産業用ロボット制御の実証試験を開始

~工場における高精度な3次元計測センサの大容量通信の実現を目指す~

2019年1月29日

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
KDDI株式会社
株式会社デンソー
九州工業大学

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(本社:京都府相楽郡(けいはんな学研都市)、代表取締役社長:浅見 徹、以下 ATR)、KDDI株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下 KDDI)、株式会社デンソー(本社: 愛知県刈谷市、社長:有馬 浩二、以下 デンソー)、九州工業大学(本部: 福岡県北九州市、学長:尾家 祐二)は、株式会社KDDI総合研究所および株式会社デンソー九州の協力のもと、ファクトリーオートメーションで次世代移動通信システム「5G」(以下 5G)を活用した産業用ロボット制御の実証(以下 本実証試験)を開始しました。

5Gイラスト

本実証試験は、2019年1月21日から九州工業大学(戸畑キャンパス)で実証を始め、2019年2月18日からデンソー九州の工場内で実施します。

産業用ロボット(以下 ロボット)を導入する工場では、製造工程の変更を行う際、ロボットの配置換えに加え、ロボットを制御する通信回線の敷設変更作業が伴います。また、配置換え後の製造ラインにてロボットを再稼働させるためには、事前にロボットの動作をきめ細かく教示する調整作業が発生します。これらの作業は、工場の稼働を長時間停止する原因となっています。

5Gを活用することで、工場内の有線回線をモバイル通信で代替可能となり、ロボットの配置換えに伴う回線敷設作業を省略することが可能となります。さらに、配置変え後のロボットの動作調整作業を省力化するための高精度な三次元計測センサーを導入した場合においても、5G経由で大量のセンサー情報の伝送が可能となり、新たな回線敷設作業が不要となります。これにより、工場内のレイアウトの柔軟性を向上させ、製造工程の変更に伴う工場の稼動停止時間を短縮することが可能となります。

本実証試験では、28GHz帯の5G基地局を用いた試験エリアを構築し、高精度の三次元計測センサーとロボットに5G対応端末を接続した上で、計測データや制御データを5Gで送受信することで産業用ロボットの高精度な制御を行います。

なお、本実証試験は、総務省の技術試験事務における5G総合実証試験 (注1) として実施しています。

(参考)各機関の役割

1.ATR
総務省の技術試験事務における5G総合実証試験の請負(注1)。
URL  :https://www.atr.jp/

2.KDDI
5Gのエリア設計・評価。
URL  :http://www.kddi.com/

3.デンソー
工場内検証の条件検討。実証試験場所の提供(デンソー九州)。
URL  :https://www.denso.com/jp/ja
(デンソー)

4.九州工業大学
3次元計測センサを用いた産業用ロボットによる部品搬送システムの構築、産業用ロボットの配置換えが可能な教示レスピックアンドプレースシステム(注2)の開発および評価。事前評価場所の提供と評価。
URL  :http://www.kyutech.ac.jp/

5.KDDI総合研究所
産業用ロボット・教示レスピックアンドプレースシステムと5Gの総合的なシステム検討。
URL  :http://www.kddi-research.jp/

(注1) 電波を有効に利用できる実現性の高い技術について技術的検討を行い、その技術の早期導入を図ることを目的として、総務省が「技術試験事務」を実施しています。詳細は下記をご覧ください。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/fees/purpose/tectest/

(注2) 産業用ロボットが部品をつまみ上げて指定位置まで移送するシステムにおいて、ロボットの作業空間をすべて計測して把握することにより、周辺環境が変化した場合でも、ロボットに再教示しなくても最適な動作をするもの。