DRIVEN BASE

デンソーとデルフィー、データ駆動型スマート農業推進に向けて基本合意

2025年4月24日

株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:林 新之助、以下、デンソー)とDELPHY GROEP BV (本社:オランダ・ワーヘニンゲン、社長:Jacco van der Wekken、以下、デルフィー)は、データ駆動型スマート農業*1の推進を目的とした基本合意書を締結しました。

近年、気候変動や就農人口の減少などによって引き起こされる農業生産の不安定化と、それによる食料不足が課題となっています。このような中、いつでも、どのような環境下においても、誰もが安定的で持続可能な農業生産を実現することが世界的に求められています。

デンソーは、自動車領域で培った技術を活用した農業事業に取り組んでおり、施設園芸における環境制御システムや農業ハウス、自動収穫ロボット*2の開発を通じて、ハウス内のIoTや収穫におけるセンシング技術を高めてきました。
また、デルフィーは、長期にわたる栽培支援の経験を持つ専門家が多数所属している栽培コンサルティングのリーディングカンパニーです。デルフィーが生産者に提供するQMS*3という栽培管理ソフトウェアは、気温や日射量などの気候データと果実の数や重さなどの作物データを植物の成長を数学的に表現した植物数理モデルに入力することで栽培計画を立案するもので、これによりデルフィーは生産者の安定的な栽培実現を支援してきました。

このたび、デンソーとデルフィーはそれぞれの強みを生かし、持続可能な農業生産を実現するため、作物の生育に必要なデータを集約し活用することで、栽培環境と栽培方法を最適化するデータ駆動型スマート農業に関する取り組みの検討を開始することに合意しました。具体的には、主に以下2つの取り組みです。

■安定的な計画栽培を実現するシステム開発
生産者が目視による観察や手作業で測定している作物データをデンソーのセンシング技術を活用し自動的に取得することで正確性が増し、当該作物データをデルフィーのQMSに入力することで栽培計画の精度を向上することが可能になります。そして、その栽培計画を活用し、ハウス内の環境制御や作業者・自動化機器への作業指示を行うことで、安定的で計画的な栽培が実現できます。両社は、これら安定的な計画栽培を実現するための一連のシステム開発を検討していきます。

■デジタルツイン*4環境での栽培シミュレーションを可能にするシステム開発
デルフィーのQMSで立案される栽培計画に基づいて栽培した場合に実現される樹姿を、デンソーのデジタルツイン技術を用いて3次元データで再現することが可能になります。それにより、実際に栽培を行う前に、デジタルツインの環境下で作物の生育状況を分析・予測することが可能になります。両社は、これら栽培シミュレーションを実現するための一連のシステム開発を検討していきます。

デンソーとデルフィーは、今回の基本合意を基に、2030年までに、上記2つのシステムを相互に連携させることで可能となるデータ駆動型スマート農業の実現を目指します。そして、世界中で安定的で持続可能な農業の実現に向けた取り組みを加速させていきます。

<各社コメント>
株式会社デンソー フードバリューチェーン事業推進部担当 上席執行幹部 向井 康
このたびのデルフィーとの協業により、私たちがこれまで培ってきた、センシング技術やデジタル技術に栽培ノウハウを統合することで、計画生産を可能とする革新的な栽培ソリューションの実現に向けて新たな一歩を踏み出しました。今後も、私たちは「いつでも・どこでも・だれでも」食の安心・安全を届けるために、挑戦を続けていきます。

DELPHY GROEP BV
Managing Partner Horticulture
Aad van den Berg

経済的で持続可能な施設園芸の新たな形態である自律型栽培への道のりには、新しい技術の導入が不可欠です。この道のりに、自動車産業の技術は大きく貢献するでしょう。デンソーの技術とデルフィーのQMSを統合することで、私たちは生産者の皆さまの栽培をより良くし、農業の発展に寄与していきます。

  • alt

    基本合意書への調印の様子

    左から DELPHY GROEP BV Managing Partner Horticulture Aad van den Berg氏、
    株式会社デンソー フードバリューチェーン事業推進部担当 上席執行幹部 向井 康

*1 データ駆動型スマート農業とは、センサーやIoTデバイスを活用して農業データを収集し、AIやビッグデータ解析を通じて農業における栽培プロセスを最適化する手法です。
*2 全自動収穫ロボットArtemy®に関する過去の発表は以下URLをご覧ください。
https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2024/20240513-01/
*3 QMSの紹介は、以下URL(英語サイト)をご覧ください。
https://delphy.nl/en/services/data-driven-crop-management/
*4 デジタルツインとは、現実世界をコンピューター上で再現する技術です。


株式会社デンソーについて
デンソーは、先進的な自動車技術、システム、製品を提供するグローバルな自動車部品メーカーです。デンソーは自動車部品の開発で培った技術をコアとして、工場の自動化、食流通、農業など、価値提供の範囲を拡大しています。中でも、人々の暮らしに欠かせない食の安心・安全を届けるために、デンソーは農業を重要な事業分野として位置付けています。デンソーは、センシング技術を活用したロボットによる収穫の自動化とデジタルを活用した栽培環境の制御技術を通じて農場の工場化に取り組んでいます。
https://www.denso.com/jp/ja/


DELPHY GROEP BVについて
デルフィーはRoyal Peterson Control Union Groupの一員です。このグループはTIC活動を提供し、80カ国以上で企業が複雑な課題を乗り越え、長期的に成功できるよう支援をしています。グループ内でデルフィーは、農業および施設園芸における研究開発、コンサルティング、プロジェクトなどの知識主導のサービスを通じて、作物および花の生産に関する世界的な専門知識を提供し、グローバルに生産向上へ取り組んでいます。
https://delphy.nl/