DRIVEN BASE

CMzO MESSAGE

モノづくりの新たな価値を生み出すデンソー流次世代工場づくり

    CMzO(Chief Monozukuri Officer) 経営役員 下川 勝久

    ※2022年9月発行当時

これまでデンソーのモノづくりは高生産性、高品質を重点に取り組んできましたが、モノづくりの取り巻く環境は、DX、カーボンニュートラル、労働力不足、多様なリスク対応など過去にない不確実な時代に直面しています。私たちは、デンソー流デジタルツイン工場によって、お客様に良い製品をこれまで以上にタイムリーにお届けすること、そして、デジタルに強い新しい世代の人を中心に社会課題の解決に貢献したいと考えています。

一般的なデジタルツイン工場は、工場の情報をIoTなどのデジタル技術で収集し、仮想空間内にリアルな工場を再現、人の知恵や勘、コツに頼らず、シミュレーションによって最適な生産データで導き実行する工場のことを指します。それに対して、デンソー流デジタルツイン工場は『人が主役』です。私たちが、デジタルツイン工場の中で実現したいことは3つあります。

1つ目は「変化に柔軟に対応し、圧倒的なリードタイムで実行できる工場」。デジタルツイン工場では、生産準備から量産まで、一連の生産に関連するすべてのデジタルデータを、情報プラットフォームに蓄積。過去の類似ラインの情報や、F-IoTで取得された実績データも徹底活用し、新しい生産ラインの立ち上げや工程の変更などを圧倒的なスピードで実行できるようにします

2つ目は「働く人が創造的な仕事に従事しワクワクする工場」。これまで人に頼っていた作業はロボットや機械・AIに任せて、人は「人だけが持つ付加価値(ひらめきや創造的な仕事)」に注力します。これまでリアルな世界では安全や品質上の理由で簡単に試すことができなかったことを、デジタル環境では誰もが自由にとことん試してチャレンジできる。デジタルの力を借りながら、スピーディに様々なことが試行錯誤できる環境をつくり、今後、社会の中心となるデジタルネイティブなミレニアル世代・Z世代がワクワクして仕事ができる工場にします。

3つ目は「お客様やサプライヤーとつながり信頼感や安心感を与える工場」。デンソーの工場内でクローズした工場でなく、デジタルデータをお客様、サプライヤーも含めたサプライチェーン全体でつなげることで、急な増産や減産といった生産変動時の対応、品質とCO2のトレーサビリティ、自然災害や工場の火災などリスク発生時の復旧をより正確に素早く対応できるようにします。

2022年は、こうしたデジタルツイン工場のコンセプトをもとにした実証環境を本社に導入し、2025年以降全社への展開を目指して開発・検証を進めていきます。