先端技術研究所
先端技術研究所(以下、本研究所)は、事業の「コア(核)」を創出する研究組織です。1991年の設立以来、常に世の中の潮流を見極め、次世代のコアとなる知識や技術を培ってきました。未来の不確実性が年々増しているなか、スピード感を持って複雑な課題の解決に取り組む、研究スタイルの変革がますます重要となっています。高度な専門性を持つデータの利活用や、領域横断的な知識と技術の融合をさらに強化し、パラダイムシフトの先端へ。デンソー先端技術研究所は、夢のある未来を切り拓く研究に挑戦しています。
研究方針
デンソーにおける研究開発のミッションは、「アカデミア・サイエンスの成果を産業に活用できる価値へと昇華させ、新たな事業として社会に届けていくこと」です。本研究所は、学理に最も近い立場から原理まで踏み込んで技術を捉え、社会課題の解決に向けた長期的な視点での価値創出に取り組んでいます。
先端技術研究所のブランドアイデンティティ
2026年、本研究所は、研究への向き合い方を表現するブランドアイデンティティ(タグライン・ボディコピー)を制定しました。ゼロから問いを立て、試行錯誤を繰り返しながら、まだ世界の誰もやっていないことに挑戦する。モノづくりで培った技術と研究者の純粋な好奇心を掛け合わせ、未来の社会のための価値を生み出す研究を進めています。
Pioneer a New Future
切り拓く。まだ名前のない課題を。
切り拓く。机上で終わらない世界を。
切り拓く。いくつもの「はじめて」を。
先端技術研究所は、
デンソーの新たな「コア」を生み出す知の拠点。
前例はなく問いすらない。
考え、つくり、やり直し、また考える。
その積み重ねが社会の当たり前を変えていく。
技術と好奇心で踏み出す。
まだ誰もたどりついていない新しい未来へ。
研究領域
本研究所は、開所当時からモビリティ社会の未来を見据え、自動車部品メーカーという枠にとらわれない、多様な領域に向き合ってきました。高度な分析などの基盤技術の研究から、現場の課題解決を支える実装技術の開発まで、一気通貫で追求しています。
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材料設計
自動車部品の性能の限界を突破するため、サイバー空間・フィジカル空間ともに原子レベルまで踏み込んで、新奇材料の発見や、機能発現のメカニズム解明を進めています。これまで蓄積してきた多様なデータにAIを掛け合わせ、次世代材料の創出を目指します。
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物理化学
内燃機関の排ガス浄化の研究で培った技術をもとに、合成・評価・解析のすべてに取り組む、一気通貫型の材料研究を行っています。次世代モビリティをはじめとする新領域のための、新しいエネルギーの技術開発を目指しています。
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バイオテクノロジー
生物研究が持つ可能性に着目しつつ環境制御や半導体などの技術を追求する、工学視点で生命の働きを引き出すバイオ研究を行っています。モビリティ領域にとどまらず、社会や生活環境の変化を先取りした価値創出に挑戦しています。
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機械学習
機械学習によって認知・判断・制御といった機能を実現することで、自動運転やロボットの開発を支え、予測困難な現実世界でも安心して行動できる社会基盤を築くことを目指します。最先端のアルゴリズムを、限られた計算資源と高い品質に落とし込んでいきます。
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最適化
実問題を数理モデルで定式化し、最適解を与えるアルゴリズムの社会実装に取り組んでいます。疑似量子の研究・開発や、量子コンピュータへの実装の研究を進め、効率化はもちろん、人間性を重要視したソリューションを提供することで、人が働く社会における実問題に向き合います。
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HMI
クルマが人の状態や振る舞いをセンシングし、理解することで、一人ひとりに合わせて最適な支援を届け、安心・安全で快適な移動を実現します。人に寄り添いながら成長する、頼れるパートナーのような存在を目指します。
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人間研究
脳活動や感情など、人の内面に深く向き合い、いきいきと暮らすために必要な心と体の状態と、その状態への導き方を研究します。ひとりでも多くの方がウェルビーイングに生きることができる社会の実現に貢献します。
研究人材
複雑化する社会課題の解決に向けて、高い専門性と広い視野を持つ人材の育成に力を入れています。1991年の設立から、本研究所の研究者が発表した論文の数は600件以上(※)。また、2021年度から2025年度の5年間で、大学の研究者と累計300件以上の共同研究を行っています。研究者の30%が博士号を取得しており、入社後の博士号取得も推奨しています。一部の研究者は、名古屋大学、産業技術総合研究所などのアカデミアにも籍を持っており、大学と企業の接点づくりに取り組んでいます。
※2026年1月時点において、先端技術研究所を所属とする研究者が著者として発表している論文の数(出典:Web of Science)
RX (Research Transformation) の取り組み
AI技術の進展が加速しているなか、研究活動の在り方にも迅速な変化が求められています。本研究所では、「データ駆動による研究の自律化」と、「多様な社外共創の推進」の2つの軸で研究スタイルの変革を進めており、私たちはこれを、「RX(Research Transformation)」と呼んでいます。
データ駆動による研究の自律化
蓄積したデータを管理・活用するDX(Digital Transformation)にとどまらず、研究オペレーションそのものを自律化させていくことを目指しています。例えば、サイバー空間でのシミュレーションに加え、フィジカル空間で自動実験システムを構築することで、質と量をともに満たしたデータを収集することができます。また、収集したデータに対して生成AIを活用することで、研究オペレーションを自律化させることができます。その際に鍵となるのは、各領域における高い専門性によってのみ収集可能なデータです。私たちは自社のデータだけでなく、アカデミアや産業界との共創を強化することで、多様かつ高い専門性を持ったデータを融合し、研究オペレーションの自律化と、それによる従来にはない切り口での発見や発想の拡大を進めていきます。
多様な社外共創の推進
従来の共同研究に加えて複数の大学に研究拠点を設置し、新たなニーズの発掘や社会実装を進めています。また、研究人材が組織の枠を越えて行き来できるよう、多様な働き方を推進する制度設計を構築しています。専門性・知見・価値観の多様性を重視し、社会や市場の変化に柔軟に対応することで、実効性の高いイノベーション創出を目指します。2026年夏には、RXを着実に進めていくための社外共創エリアを、本研究所の建屋内にオープン予定です。

