デンソー、2007年ユニバーサル技能五輪国際大会で、出場した全職種で入賞 第39回技能五輪国際大会 抜き型、移動式ロボットで金メダル 第7回国際アビリンピック 電子機器組立及びテスト、電子回路接続で金賞
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:深谷 紘一)と、デンソーの技術・技能研修を担当する株式会社デンソー技研センター(本社:愛知県安城市、社長:萩野 幸一)は、11月14日から11月21日まで静岡県で開催された2007年ユニバーサル技能五輪国際大会で、出場した全職種で入賞しました。
第39回技能五輪国際大会に、日本代表として「抜き型」、「製造チームチャレンジ(MTC)」、「移動式ロボット」に出場し、抜き型と移動式ロボットで金メダル、MTCで銀メダルを獲得しました。海外拠点からはタイ代表として「CNC旋盤」とインドネシア代表として「工場電気設備」に出場し、CNC旋盤で銀メダルを獲得し、工場電気設備は敢闘賞を受賞しました。
また、第7回国際アビリンピックに初出場し、「電子機器組立及びテスト」で金賞・銀賞を、「電子回路接続」で金賞・銀賞・銅賞を受賞しました。
出場職種の概要、金メダルの職種に対する評価と選手のコメント( 技能五輪国際大会 , 国際アビリンピック )は次の通りです。
デンソーは、技術を形にする高度熟練技能とノウハウを、技術開発とともにものづくりの両輪と考え、デンソー技研センターの技能者育成部門の前身となる技能養成所を1954年に開設して以来、技能者育成と技能の伝承に力を入れています。
技能五輪の参加目的は、優秀な成績を挙げるだけでなく、技能五輪の訓練を通じて、若い技能者の心・技・体を磨き、将来の高度熟練技能者になりうる人材の計画的な特別訓練により、技能を伝承することです。
また、アビリンピック参加の目的は、国際大会参加という大きな目標を掲げ、練習を通じて「モノづくりへのこだわり・挑戦する心」、「基礎技能の確実な習得により、できないことができるようになる喜び」を学ぶことです。この活動が、障がいを持つ従業員の励みになり、能力伸展の契機になることを期待しています。
デンソーは今後も、技能五輪への取り組みを通じて、若手技能者育成と技能の伝承を継続していきます。
第39回技能五輪国際大会
1.抜き型
- 出場選手
- 安達 裕喜(あだち ひろき)
- 職種の概要
- 抜き型は、自動車や電気製品などの部品の量産に必要な金型を製作する技能を競う職種です。競技では、フライス盤、研磨用の電動工具、各種ヤスリなどを使って金属材料を加工し、寸法精度や加工面の仕上がりを競います。機械加工、ヤスリを使った手仕上げとも1000分の1mmの精度で加工する技能が求められます。
- 評価
- 安達選手は、国内外のメディア・観客の注目を集める中、終始落ち着いて競技し、日頃の練習の成果を十分発揮することができました。また、競技課題の作成や成績審査など大会を運営するエキスパートからは、作品は加工面の仕上げが丁寧で、製品の出来栄えが素晴らしいと高く評価されました。
- 選手コメント
- 「金メダルを取ることができて、本当に嬉しいです。国際大会の競技内容は、国内大会から大幅に変わり、経験のないことに取り組むことになったため、できる限りの訓練を実施したが、大会直前まで不安で一杯でした。開会式後は気持ちを切り替え、前向きな気持ちで競技に臨みました。これまで、コーチや職場の方々の励ましに支えられた結果だと思い、感謝しています。」
「抜き型」安達裕喜選手の競技風景
2.移動式ロボット
- 出場選手
- 萩野 幸弘(はぎの ゆきひろ)、山本 哲也(やまもと てつや)
- 職種の概要
- 移動式ロボットは、ロボット内部の機械システムの組立、ロボット制御システムのプログラミング、保守・管理(コスト含む)、トラブルシューティングといった技能と技術を競う職種です。ロボットのハード・ソフトウエアに関する幅広い知識や技能が求められます。
- 評価
- 今回初めて開催された職種のため、競技中にはトラブルが度々発生しましたが、常に冷静かつ的確に対応している姿が、他国のエキスパート・関係者からも好感を持たれました。また、作成したプログラムは、ロボットの動きに無駄が無く、正確で安定しており、ロボットメーカの技術者からも技術力の高さを評価されました。
- 選手コメント
- 「今の気分は最高です。選手に選ばれてからは、コーチや関係者の方々に指導を受け、考えられる限りの練習を積み重ねてきたので、自分なりの自信はありました。国際大会としては初めての職種のため、競技中には様々なトラブルがありましたが、山本君と励ましあい、落ち着いて対処できたことが、今回の成績につながったと思います。今まで応援していただいたコーチ・関係者の方々に感謝しています。」(萩野 幸弘)
- 「本当に嬉しいです。萩野君と協力しあって訓練を積み重ね、金メダルを獲得できたことは、コーチをはじめとする関係者の指導のおかげだと感謝しています。競技中は、萩野君の足を引っ張ってしまう場面もありましたが、技術面だけでなく、精神面でのサポートも心がけたチームワークの良さが今回の結果につながったと思います。」(山本 哲也)
「移動式ロボット」萩野幸弘選手と山本哲也選手の競技風景
3.製造チームチャレンジ(MTC:Manufacturing Team Challenge)
- 出場選手
- 濱口 覚(はまぐち さとる)、伴 雅広(ばん まさひろ)、加賀谷 一義(かがや かずよし)
- 職種の概要
- MTCは、3人のチームで構成され、仕様書を基に汎用機械を設計し、部品製作と組み付けを行い、併せて課題装置を動作させる制御プログラムや制御機器を製作するチーム競技です。今回の課題は、風力発電機ユニットと水をくみ上げるポンプを製作し、装置を仕様どおりに動作させることです。競技には、製作技能、設計技術、制御技術といった幅広い技能と技術が要求されます。
4.CNC(Computerized Numeric Control)旋盤
- 出場選手
- Korrakot Nitananchai(コラコット ニッアナンチャイ)
所属:DENSO INTERNATIONAL (THAILAND) CO., LTD. - 職種の概要
- CNC旋盤とは、加工する材料を機械の軸に固定して回転させながら、回転数や刃物の位置などをコンピュータで自動制御する工作機械です。この機械を使って、複雑な形状の部品を量産する際に必要な技能を競う職種です。競技では、図面をもとに加工方法・手順をイメージし、それをプログラミングして加工する技能を競います。
5.工場電気設備
- 出場選手
- Budi Bowo Leksono(ブディ ボウォ レクソノ)
所属:PT. DENSO INDONESIA - 職種の概要
- 工場電気設備は、工場の生産システムの構築に不可欠な配電盤・制御盤、PLC(プログラマブルコントローラ)などを施工する技能を競う職種です。電線やケーブルが配線された現場を模した制御装置を製作するメイン課題、それを動作させるプログラムの作成・入力、回路設計(変更)、ハードウエア故障発見(テスターを用いて障害を発見)などの課題で競います。
第7回国際アビリンピック
1.電子機器組立及びテスト
- 入賞選手
- 金賞:尾村 充子(おむら みつこ)、銀賞:飯田 一法(いいだ かずのり)
- 職種の概要
- 量産における電子機器の組立は、自動化されていますが、新製品の試作や改良には無くてはならない技能です。携帯電話などの通信機器も高い知識と技術・技能から生み出されたものです。競技では指定された部品を使用して、回路図、部品端子図、シャーシー組立図及びプリント板組立図に従って電子機器を製作し、仕様通りに正しく作動することを確認します。
- 尾村選手コメント
- 「アビリンピックでは、デンソーの選手が5個のメダルを獲得でき、すごく嬉しかったです。デンソーから一緒に出場した7人で練習して技能を磨き、いい結果が出せたと思います。仲間の選手と指導員に心から感謝しています。」
「電子機器組立及びテスト」尾村充子選手の競技風景
2.電子回路接続
- 入賞選手
- 金賞:山本 勝巳(やまもと かつみ)、銀賞:松藤 真美(まつふじ まみ)、 銅賞:橋本 真由美(はしもと まゆみ)
- 職種の概要
- 電子回路接続は、電子機器部品を接続し、回路として成立させるためのものです。一般的な接続方法としては「はんだ付け接続」「圧着接続」「圧接接続」「ワイヤーラッピング接続」等があります。その中でも一般的な「はんだ付け接続」は、電子・電気・通信機器などを製造する上で最も重要な作業です。競技では、支給された部品を使用して、仕様書に基づいた電子回路を製作します。
- 山本選手コメント
- 「すごく緊張しましたが、練習で指導を受けた通りに競技ができて良かったです。今回の入賞が、障がいを持つデンソーの社員の励みになってほしいと思います。」
「電子回路接続」山本勝巳選手の競技風景
<ご参考>2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の概要とデンソーの実績
2007年ユニバーサル技能五輪国際大会は、大会史上初めて、技能五輪国際大会と国際アビリンピックが同時に開催されたものです。
技能五輪国際大会は、参加国における職業訓練の振興と青年技能労働者の国際交流を図ることを目的に、1950年に第1回大会がスペインで開催されて以来、2年に1度開催されています。選手の出場資格は、多くの職種で大会開催年に満22歳以下であることで、主に直近の国内大会で優勝した選手に出場資格があります。今大会には、46の国と地域から47職種(正式職種:38、デモンストレーション職種:4、ホストメンバー職種:5)、813人の選手が参加しました。
デンソーは、1971年の第20回技能五輪国際大会に初めて出場して以来、今大会を含め56職種64人(海外グループ会社所属の選手3人を含む)が出場し、国際大会での通算成績は金メダル22個、銀メダル11個、銅メダル11個、合計44個で、メダル獲得率は78.6%です。
国際アビリンピックは、障がいのある人の職業的自立の促進と職業技能の向上、事業主と社会一般の理解を増進することを目的に、1981年の「国際障害者年」を記念して、第1回大会が東京で開催され、概ね4年に1度開催されています。代表選手は、直近の国内大会(今回は、過去3回の国内大会)で優秀な成績を修めた選手から選抜されます。今大会には、23の国と地域から30職種、360人の選手が参加しました。
以上