世界中のバスに快適を グローバル市場でのバスエアコン事業の拡大に挑戦

2020年9月25日
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PROFILE 商用サーマルシステム技術部 太田 大輔


デンソーのサーマル事業では環境に配慮した省熱技術で、全世界に安全で快適な空間を提供することを目指しております。今回は、ある社員が語るグローバル市場でのバスエアコン普及に向けた取り組みをご紹介します。

品質最優先 バスエアコンの品質向上に向けた取り組み
私が担当するバスエアコンは、製品自体の品質が良いことはもちろん、車両にエアコン本体や周辺部品(コンプレッサー、ハーネス、接続配管など)が適切に架装(注1)され初めて、エアコン本来の性能・品質を発揮できます。海外では、多くのバスは元々エアコンを車両に設置しておらず、エアコンはオプションとして後付けされることが多いです。そのため、エアコンを取り付ける場所のみならず、バスの使用環境・使用年数、地域ごとの気温・天候やバスを管理するお客さまの整備状況などを考慮した上で、デンソー担当者の目利き・経験を生かし、品質最優先で快適の価値を届けるための設計を行う必要があります。
架装にはコンプレッサー搭載設計やハーネス設計といった長年の経験が必要で多くの固有技術が求められます。例えば、コンプレッサーの架装では狭いエンジンルームの中でコンプレッサーの置き場所を探し、多くの部品がひしめく間を針の穴を通すように配管の通り道を見つけ、絶対に不具合が発生しない架装を行います。さらに、海外では車両メーカーから車両図面をもらえないケースも多く、自分たちでお客さまのもとへ足を運び、採寸しながら、車両ごと最適設計を行っています。このように、架装設計は担当者の経験や目利きを生かす部分が多いため、事業拡大に伴う品質のばらつきに対してどのようにデンソーの品質を担保するのかが課題でした。私が所属する商用サーマルシステム事業部では、長年培ったノウハウをマニュアル化し、架装設計から架装後の品質確認まで一連の作業を標準化することで、実際にバスエアコンをお使いいただくエンドユーザーさまに満足いただけるような品質の安定を達成しています。

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北米地域でバスエアコンを普及させよ 技術代表として北米バスプロジェクトに参画
「北米地域でバスエアコン事業を拡大せよ」というミッションを背負い、2017年、北米バスプロジェクトに私は技術代表として抜てきされました。当時、北米のバスエアコンは、アメリカ・メキシコにおけるお客さまのコネクションやビジネスは、ほとんどゼロ。補修サービスも全くない状態でした。そんな中、デンソーバスエアコンの快適性と高品質を北米に届けるべく、DENSO Products and Services Americas, Inc. で、アメリカ人3人、メキシコ人2人、日本人2人による、営業・技術・サービスなど部署の垣根を超えた北米バスプロジェクトチームを結成しました。チーム一体になった地道なお客さまへの訪問活動の結果、バス会社をはじめとするお客さまの車両に実際にデンソーのバスエアコンを搭載し、性能を評価するチャンスを獲得しました。

国境を越えたチーム連携 ユーザ目線を第一に徹底的に守り抜く品質 
デンソーのバスエアコンをお客さまに100%満足いただける品質でお届けするため、架装品質の担保と人材育成に取り組みました。そこで、まず活用したのが商用サーマルシステム事業部で脈々と受け継がれてきた、先輩たちのノウハウが詰まった架装設計要領書や実車性能評価シートなどのマニュアルです。これらのマニュアルには仕事を進めるにおいて守るべきことが書かれており、失敗や見落としがないよう架装設計から架装後の品質確認まで手順が標準化されているので、ローカルスタッフの教育に大いに役立ちました。このような標準作業があるため、誰が行っても間違いのない仕事ができ、きちんと品質がつくり込まれることを改めて実感しました。また、課題が見つかった際には、本社の支援を得ながら拠点のチームメンバーと一緒に車両に何日も張り付き、納得いくまで架装品質のつくり込みをやり切りました。バスエアコンビジネスは、お客さまとの信頼関係なくして成り立たないため、チーム全員で汗と埃、オイルに塗れ、何度も試行錯誤し、徹底的に問題解決に取り組みます。
頻繁にお客さまの元へ足を運んだり、急なトラブルにすぐ対応したり、常にお客さまに寄り添い、何度も改善を図っていくことで、現地のお客さまからは「さすがデンソー!」とお褒めの言葉をいただきました。

全世界に安全で快適な空間を 商用サーマル事業世界一に向けた挑戦 
商用サーマルシステム事業部は、世界中の人々に共感される省燃費、安全・ 快適なバスエアコンを届けるべく、25年に商用サーマル事業で世界一になることを目標に掲げ、グローバル拠点を含めた全員が全力で仕事に取り組んでいます。コロナ禍の中でも、Webを活用した遠隔地からの架装支援など新たな仕組みを取り入れ、さらなる品質の向上を実現しています。
現在私は、これから市場の大幅な拡大が見込まれる世界の電動バス市場で、電動バスエアコン事業を拡大するミッションに取り組んでいます。ここでも、北米出向で得た経験を生かし、常にお客さまを第一に、お客さまの困りごとに寄り添い、ソリューションを提案できるパートナーであり続けることを目指します。

Motto:「感謝の気持ちを大切に」
自分一人でできることは限られている。自分の仕事の成果は、携わった全ての人たちの協力があっての物。自分が携わる全ての人に、常に感謝の気持ちを持って関わるように心がけています。

関係者へのインタビュー

商用サーマルシステム技術部 上司の大森佳之にインタビューしました。

太田さんは温和で優しい「柔」な面と、冷静沈着そして芯が強い「剛」な面の両方を兼ね備えています。そして、業務に向かう姿勢は常にポジティブ。どんなに難しいミッションでも、笑顔で前向きに引き受けて、期待以上のアウトプットを出してくれますし、常に部下に寄り添い、解決を図ろうと動いてくれるので、兄貴分としてチームメンバーからの信頼も絶大です。
デンソーのバスエアコンが知られていなかった北米地域での開拓は、壮大なミッションでしたが、現場での泥臭い仕事も厭わずにお客さまに寄り添う姿勢と行動を身に付け、さらに英語でのコミュニケーションにも果敢に挑んでくれました。グローバルに活躍できる技術者として、一回りも二回りも成長して帰って来てくれたと思います。
お客さま目線をいつも大切にしながらチームを一つにまとめ上げ、いかなる状況でも前を向いて走り続ける太田さんは、走・攻・守3拍子そろったまさにオールラウンダー。私の部下として、またチームリーダーとして、そしてメンバーの一員として、無くてはならない、非常に頼もしい存在です。

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    上司の大森(左)と太田(右)

注1 架装
自動車メーカーの生産車に、特殊部品や装置を取り付けること
以上