DRIVEN BASE

微細藻類コッコミクサKJの新型コロナウイルスに対する殺ウイルス効果を確認

2022年3月23日

学校法人中部大学
学校法人東海大学
国立大学法人東北大学大学院医学系研究科
株式会社デンソー

学校法人中部大学、学校法人東海大学、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科、株式会社デンソーは、共同研究の中で、微細藻類コッコミクサKJ*1の葉緑体に含まれる成分、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)に、新型コロナウイルスに対する殺ウイルス効果*2があることを確認しました。

コッコミクサKJは、成長が早く、丈夫で培養しやすい微細藻類です。ビタミン類やアミノ酸など豊富な栄養素を含んでいること、歯周病の原因菌の増加を抑制することなど、さまざまな特徴を持っています。また、2019年には、コッコミクサKJのMGDGがヘルペスウイルスのエンベロープ膜*3を破壊すること、および、ヘルペスウイルスに対する殺ウイルス効果があることも明らかになっています。

このたび、3大学とデンソーは、コッコミクサKJのMGDGが、新型コロナウイルスに対しても、殺ウイルス効果があることを確認しました。今後は、ヘルペスウイルスや新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスやヒトコロナウイルスなど、さまざまなエンベロープ膜を持つウイルスに対する殺ウイルス効果を検証していきます。

本研究成果は、新型コロナウイルスなどに対して効果的に作用する製品の開発につながる可能性があります。今後も、3大学とデンソーは、本研究開発を継続し、感染症対策の可能性を広げ、社会に貢献することを目指します。

なお、本研究は、JST 研究成果展開事業研究成果最適展開支援プログラムA-STEP 産学共同JPMJTR204H の支援を受けて、実施しました。

<用語解説>

*1 コッコミクサKJは、デンソーの登録商標です。農林水産省委託事業において、国立大学法人京都大学とデンソーが共同開発しました。オウンドメディア「Stories」での紹介はこちらをご覧ください。
*2 殺ウイルス効果は、ウイルスが細胞に感染する機能を破壊する作用です。
*3 エンベロープ膜は、ウイルスの粒子に見られる膜です。

  • デンソーのコッコミクサKJ培養施設(熊本県天草市)

  • コッコミクサKJ

<新型コロナウイルスに対する殺ウイルス効果に関する論文>

 タイトル  Virucidal effect of monogalactosyl diacylglyceride from a green microalga, Coccomyxa sp. KJ, against clinical isolates of SARS-CoV-2 as assessed by a plaque assay
 著者名  Kyoko Hayashi, Satomi Asai, Kazuo Umezawa, Hidehumi Kakizoe, Hayato Miyachi, Masanobu Morita, Takaaki Akaike, Hitoshi Kuno, Satoko Komatsu, Takumi Watanabe, Toshio Kawahara
 掲載誌  Journal of Clinical Laboratory Analysis:WILEY
 DOI  10.1002/jcla.24146
 URL  https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcla.24146

<ヘルペスウイルスに対する殺ウイルス効果に関する論文>

 タイトル  In vitro and in vivo anti-herpes simplex virus activity of monogalactosyl diacylglyceride from Coccomyxa sp. KJ (IPOD FERM BP-22254), a green microalga
 著者名  Kyoko Hayashi, Jung-Bum Lee , Kinya Atsumi, Mana Kanazashi, Tamaki Shibayama, Kazumasa Okamoto, Toshio Kawahara, Toshimitsu Hayashi
 掲載誌  PLOS ONE
 DOI  10.1371/journal.pone.0219305
 URL  https://doi.org/10.1371/journal.pone.0219305