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イリオモテヤマネコの交通事故削減を目指す 「西表島yuriCargo(ゆりかご)プロジェクト」を開始

~制限速度を心がけ、人にも野生動物にもやさしい運転を心がけましょう~

2023年5月17日

環境省西表自然保護官事務所(所在地:沖縄県八重山郡竹富町、以下「西表自然保護官事務所」)と、株式会社デンソー(所在地:愛知県刈谷市、社長:有馬浩二、以下「デンソー」)は、スマートフォンで安全運転意識を高め、イリオモテヤマネコの交通事故ゼロを目指す「西表島yuriCargo(ゆりかご)プロジェクト」を2023年5月17日 から開始します。

イリオモテヤマネコは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく「国内希少野生動植物種」や「文化財保護法」に基づく「特別天然記念物」に指定されています。現在、わずか100頭ほどの「絶滅危惧種」であり、クルマが最大の脅威です。イリオモテヤマネコの交通事故発生件数は依然として高く、西表島の車両走行速度は時速40km以下(集落内は時速30km以下)に規制されていることから、島民や来島者に遵守を呼びかけています。これまでも西表自然保護官事務所では「イリオモテヤマネコ運転注意マップ」の配布や、目撃情報が多い場所への看板設置など、ドライバーへの注意喚起を続けてきましたが、2022年は4件のイリオモテヤマネコの交通事故が発生し、より一層の注意喚起が必要となっています。

本プロジェクトでは、スマートフォンで運転をスコアリングし安全運転意識を高めるアプリケーション「yuriCargo」を活用し、西表島で運転をするドライバーの安全運転意識の向上を目指します。具体的には、運転中の急ブレーキや急加速、最高速度などを検出し、運転終了後に評価を行い運転スコアなどを表示します。毎月安全意識の高い運転をしたドライバーには、アプリケーション内で「優良ドライバー認定証」を発行し、特典を提供する予定です。また、「yuriCargo」で収集した運転データを活用し、島内の速度超過状況を可視化するとともに、情報発信も含め安全対策の検討を進めることで、交通事故の削減につなげていきます。

4月から8月にかけてはイリオモテヤマネコの繁殖・子育て時期にあたり、親子連れのイリオモテヤマネコや仔ネコが道路で頻繁に目撃されるようになり、事故に遭いやすくなります。これ以上イリオモテヤマネコの交通事故を起こさないためにも、本プロジェクトを通じて島内を運転するドライバーの安全運転への意識を高め、人にとってもイリオモテヤマネコにとっても安心で安全な西表島を目指していきます。

<西表島yuriCargoプロジェクト概要>
期間:2023年5月17日(水)から2024年3月31日(日)まで
目的:yuriCargoを活用して、西表島を運転するドライバーの安全運転意識を高め、制限速度遵守を心がけることで、イリオモテヤマネコの交通事故件数を削減すること
対象:西表島の島民、事業者、観光などで西表島を運転する機会があり、スマートフォンを所有している方
参加方法:
・ スマートフォンに「yuriCargo」をインストール
・ 「yuriCargo」アプリケーション内、マイページから「西表島」プロジェクトに「参加する」をタップし、プロジェクトに参加
・ 西表島内でスマートフォンを携行し、制限速度を守り、イリオモテヤマネコに配慮した運転を実施後、アプリケーションで各自の運転を振り返る
※インストールは、App StoreおよびGoogle Playで「yuriCargo」と検索、または下記のQRコード*を読み取ってください。

「優良ドライバー認定書」の発行条件:
① 前月の運転スコア(西表島yuriCargoプロジェクト参加者のみトップページに表示)が80点以上であること
(運転スコアとは、毎月初に持ち点100点からスタートし、制限速度を遵守することで加点され、速度超過することで減点されるしくみです)
② 前月にメダルを10個以上獲得していること

    運転スコアの画面イメージ

    メダル獲得状況の画面イメージ

プロジェクトへの参加および優良ドライバーへの特典内容:
・ スマートフォンに「yuriCargo」をインストールし、西表野生生物保護センターにてイリオモテヤマネコ検定(イリオモテヤマネコに関するクイズ)に挑戦するとともに、安全運転宣言を行うと、本プロジェクト記念認定証と特製マグネットを進呈
・ 「優良ドライバー」に認定されると、さらにすてきな特典を進呈
協力:竹富町役場、沖縄県自然保護課、八重山警察署、沖縄県建設業協会八重山支部、竹富町観光協会、竹富町商工会、西表財団、JTEF西表島支部やまねこパトロール、西表島エコツーリズム協会、 西表島交通 、Us 4 IRIOMOTE、世界自然遺産推進共同企業体ほか

* QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

<それぞれのコメント>
西表自然保護官事務所

西表島では野生動物に配慮した道路づくりや日常的なパトロールによる情報収集等、多様な関係者が協力してロードキル対策を実施しています。西表自然保護官事務所では、「イリオモテヤマネコ運転注意マップ」の配布や目撃頻度の高い箇所への看板設置による注意喚起を行っています。島内で運転される方々がご自身の運転をふり返り、見直すきっかけづくりがしたいという想いで、本プロジェクトを始動しました。島内で運転する際には、「よんな~(ゆっくり)」ドライブで、人にも野生動物にもやさしい安全運転の島づくりにご協力をお願いします。
西表野生生物保護センターHP https://iwcc.jp/

デンソー
デンソーはすべての人の安全で自由な移動を実現し、人々が安心して暮らせる社会づくりに貢献するため、技術や製品の開発に取り組んでいます。「西表島yuriCargoプロジェクト」では、イリオモテヤマネコの交通事故ゼロに向けて、西表島を走るドライバーの運転意識向上に貢献していきます。参加者から運転データを取得し、それらをもとに島内の速度超過状況を可視化し、安全対策の検討を進めることで、イリオモテヤマネコの交通事故ゼロを目指します。私たちは本プロジェクトを通じて、人も動物も安全に移動できる島づくりを広げていきます。「yuriCargo」の詳細についてはこちらをご覧ください。https://yuricargo.com/

デンソーは、事業活動を通じた社会的な課題の解決により、SDGsに貢献します。

【ご参考】
1.これまでのyuriCargoプロジェクト
現在「yuriCargoプロジェクト」は、愛知県刈谷市や大府市とも実施しており、取得したデータをもとに危険個所を特定し、交通安全施策の導入や効果検証を行っています。また注意喚起情報の発信なども行い、地域の交通安全に対する意識向上と交通事故の低減を目指しています。

2022年5月26日 交通安全総点検と高齢ドライバーの運転寿命延伸を行う「大府市yuriCargoプロジェクト」を開始
https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2022/20220526-01/
2021年6月23日 刈谷市、イーデザイン損保、デンソー、「刈谷市yuriCargoプロジェクト」を開始
https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2021/20210623-02/

2.イリオモテヤマネコ交通事故件数
イリオモテヤマネコの交通事故は、記録が残っている1978年から2023年4月までの間で101件発生し、うち93件でイリオモテヤマネコの死亡を確認しています。

3.交通事故対策

イリオモテヤマネコをはじめとする野生生物の交通事故をなくすため、西表島では道路の下へ動物用のトンネル(アンダーパスやネコボックスと呼ばれる)が数多く設置され、イリオモテヤマネコがよく路上に出てくる場所には、ゼブラゾーン(振音舗装)や道路標識も設置されています。道路際には幅広側溝・片勾配側溝など、小さな生きものたちが落ちてもはい上がれるような、そして道路には上がり難いような配慮などもなされています。

みなさまから寄せられた目撃情報をもとに、西表自然保護官事務所では「イリオモテヤマネコ運転注意マップ」を毎月作成しています。

イリオモテヤマネコ運転注意マップ一覧:https://iwcc.jp/iriomotecat/map/

4.傷病および死亡個体発見時の連絡先
イリオモテヤマネコを目撃した、衝突してしまった、死体を発見したなどの場合は、365日24時間いつでも西表野生生物保護センターのヤマネコ緊急ダイヤルに至急の通報をお願いします。万が一、交通事故の当事者となってしまっても、故意でない限り罪に問われることはありません。より迅速な救護と今後の対策に役立てるためにも情報をお寄せください。
Tel:0980-85-5581(環境省西表野生生物保護センター)24時間連絡可
※緊急でないイリオモテヤマネコの目撃情報は、西表野生生物センターの目撃情報投稿ページよりお知らせください。