DRIVEN BASE
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リスクマネジメント

基本的な考え方

デンソーは多様化するリスクを最小化すべく、内部統制の一環としてリスクマネジメントの強化に取り組んでいます。
具体的には、経営被害をもたらす恐れのある事柄を「リスク(まだ現実化していない状況)」と「クライシス(現実化した緊急事態)」に区分し、事前にリスクの芽を摘む未然防止、クライシスが発生した場合に被害を最小化する迅速かつ的確な初動・復旧対応に注力しています。

昨今、デンソーでは、今までに経験したことのない様々なリスクに直面しています。特に2020年3月以降カーメーカ各社からリコール届け出されている当社製燃料ポンプに関する品質問題においては、お客様の信頼と、デンソーの経営基盤を揺るがしかねない事態に直面しました。ほかにも、新型コロナウイルス感染症や生産部材の需給逼迫、サイバー攻撃など、外部環境に起因するリスクが数多く顕在化しています。
これらの状況から、リスクマネジメントが経営の最重要課題の一つであることを再認識し、リスク対応力をより強靭なものとするため、リスクマネジメントの抜本的な改革を推進しています。

推進体制

デンソーでは、グループ全体のリスクマネジメント統括責任者「チーフ・リスク・オフィサー(CRO)」を議長とする「リスクマネジメント会議」を設置し、グループ全体のリスクマネジメント体制・仕組みの改善状況の確認、社内外の環境・動向を踏まえた重点活動の審議・方向付けなどを推進しています。
なお、グループ全体として、事業部、地域統括会社、グループ会社それぞれにリスクマネジメント責任者である「リスクオフィサー」、「リスクマネージャー」を任命し、平時における経営被害の未然防止と有事における被害最小化に向けた対応力強化を推進しています。また、クライシス発生時(有事)に迅速かつ的確に対応できるよう「緊急事態初動対応マニュアル」を制定し、事態判断、報告基準、報告ルート、社内外対応の基本等を明確にしています。さらには事態の大きさや緊急度によって専門の「対策組織」を編成し、責任機能部が対策リーダーとなり、被害の最小化に向けて機動的に対応できるようにしています。

リスクマネジメント体制

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クライシス発生時(有事)の対策組織

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リスクの把握と対応の明確化

デンソーでは自社にとってのリスクを能動的に把握しながら、未然防止と被害の最小化の両面からリスクマネジメントを行っており、年1回機能部、事業部、地域統括会社、および国内外グループ会社によるリスクアセスメントを実施しています。
2023年度は、取り巻く事業環境を踏まえて、デンソーの生命・環境・信用・財産・生産を毀損する可能性のあるリスクを抽出し、各リスク責任機能部にてその発生原因と発生後の被害拡大要因を洗い出し、それらを防ぐための未然防止策と初動・復旧対応策を明確にしました。その対策の実施状況を踏まえて、各リスクの残存リスクの大きさを影響度と発生頻度の観点から査定しました。

その中で、特に残存リスクが大きく、リソースを投入し対策を推進するリスクを「重点リスク」に選定し、リスクマネジメントのさらなる強化に向けた2024年度の活動計画・目標を設定、リスクマネジメント会議にて決定しました。なお重点リスクそれぞれに会社目標として定量的な業績評価指標(KPI)を設定し、取締役会においてもその進捗状況を確認しています。さらに、これらのリスクマネジメントプロセスは、内部監査・外部機関による監査対象として、点検を実施しています。
2024年度の主要リスク項目は37項目、そのうち、重点リスクは8項目です。主要リスク項目および重点リスク項目はリスクアセスメント結果に基づいて今後も適宜見直しを行います。
また、2023年度のリスクアセスメント活動を通じて、各リスクの発生要因を分析しリスク管理項目間の関連を整理しました。その結果、特にコンプライアンス関連リスクの根本的な発生原因には企業風土が共通課題としてあることを再認識しました。2024年度は風通しの良い職場風土作りに向けて、職場力診断と社員意識調査による高リスク職場の把握・対処と、コンプライアンス啓蒙活動の強化に取り組んでいます。

 

主要リスク項目

    • 主要なリスク項目

具体的な取り組み

リスクの未然防止および有事の初動対応強化

企業を取り巻くリスクは近年増大しています。例えば、地球温暖化の進行とともに、気候変動による自然災害の頻発・深刻化が懸念されています。このような中、万が一、有事が発生した場合には、人命第一の考えのもと、迅速に事業復旧を図り、経営被害を最小化することが重要です。デンソーでは、事業継続マネジメントの観点から、有事行動マニュアルの策定や減災対応などにも取り組んでいます。
特に自然災害や地政学リスク、遭遇事変など、多くのリスク要因でサプライチェーン上の部材供給問題が生じるため、この問題への対処方法を明確にすることはBCP*(事業継続計画)上においても非常に重要です。サプライヤーからの部材供給が遅延もしくは停止し、デンソーの生産およびお客様への納入が遅延・停止するリスクを最小にすべく、サプライヤーとの連携を密にして、先手のリスクマネジメントを実施しています。例えば、リスク在庫の持ち方として、1カ所で持つのではなく、生産地や需要地ごとに分散して確保しています。また、内製に加え、発注先を複数持ち、有事の際に切り替えられる体制を整えています。さらにリスク在庫のDX化による内外在庫情報一元化(見える化)による初動迅速化に取り組み、サプライヤーと一枚岩になり、つなぐ力を徹底的に強化しています。

    • 具体的な取り組み

BCP*:Business Continuity Plan。地震等の大規模災害により事業が中断した場合に、目標とする時間内に事業復旧を図り、経営被害を最小化するための計画

社員への浸透・啓発活動

自然災害だけでなく、交通事故、情報セキュリティなど、さまざまなリスクが存在しています。
有事において被害を最小化するためには、社員が日頃からいかにリスクを意識し未然防止に努めるか、そしてクライシス発生時に適切な行動がとれるかが重要です。
(株)デンソーおよび国内グループ会社では、巨大地震等の大規模災害発生を想定した避難訓練の実施(派遣社員・請負社員含む)のほか、社員のリスクの理解促進・意識向上に向け、さまざまな啓発活動を実施しています。

主な浸透・啓発活動
2004年度~ 「リスク対応ポケットガイド」
[(株)デンソー]
地震・火災・交通事故発生時の行動を明示
全社員に常時携帯を義務付け
2006年度~ デンソー管理職向け「リスクマネジメント研修」
[(株)デンソー]
新任の部長・工場長・事業グループ等の室長を対象にリスクマネジメント研修を実施
2006年度~ 「安否確認システム」訓練
[(株)デンソー、国内グループ会社]
大規模災害時の社員の安否確認の迅速化にむけ、「安否確認システム」への登録訓練を実施。
家族間で安否を確認しあえる掲示板機能も導入
2023年度~ 「リスクマネジメント研修」
[デンソー]
「リスク感度向上研修」
[デンソー]
2006年度から実施してきた(株)デンソーの部門長を対象とした緊急事態初動対応に関するリスクマネジメント研修を2023年度より国内外のグループ会社のリスクマネージャーにも拡大して実施
また、リスク感度向上に関する研修を(株)デンソーの各職場のライン長(リーダー)、および国内外のグループ会社のリスクマネージャーに実施

今後の取り組み

デンソーでは、国内外情勢の変化や事業環境の変化など、環境変化に永続して対応しうるグループリスクマネジメント体制の確立を目指し取り組んできました。引き続き、今後想定されるリスクに備えて、システム・人・ガバナンスの観点からの「未然防止対策」を徹底し、経営への影響を最小化できるようにリスク対応力を強化していきます。