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デンソー、SiCパワー半導体で脱炭素社会に貢献 ~独自のSiC技術により、電動化製品の小型化と車両燃費の向上を実現~

2021年11月2日

株式会社デンソーは、独自の構造や加工技術を取り入れたSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体を開発し、車載製品に搭載することで、電動車の普及や航続距離の延長、クルマから発生するCO₂の削減に貢献しています。

パワー半導体とは、身体でいうと筋肉にあたるもので、ECU(脳)から指示を受けてインバーターやモーターといった製品(手足)を動かします。これまでも車載製品にはパワー半導体が使用されており、それらは、一般的にSi(シリコン)を材料としていました。一方で、SiCは、Siよりも高温、高周波、高電圧環境での性能が優れていることから、インバーターの電力損失低減や小型・軽量化に大きく貢献し、モビリティの電動化を加速させる素子として注目されています。

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    〈SiCパワーカード〉

例えば、デンソー製のSiCパワー半導体が搭載された昇圧用パワーモジュールは、従来のSiパワー半導体搭載製品と比較して、体積は約30%削減、電力損失は約70%低減されており、製品の小型化と車両燃費の向上を実現しています。

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    〈昇圧用パワーモジュール〉

デンソーは、これらSiC技術を、革新的な技術で社会に「変革」を促すことを目指して「REVOSIC (レボシック)」と名付け、ウエハからパワーモジュールまで総合的な技術開発を進めています。今後もデンソーは、SiC技術「REVOSIC」の研究開発を推進し、電動車への搭載を広げ、脱炭素社会の実現に向けて貢献していきます。

〈開発者の紹介〉

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    開発メンバーの皆さん

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    パワーモジュール技術部 第4開発室 森野友生

私は、パワーモジュール設計部署とSiCパワー半導体の仕様を取り交わし、それに基づく素子構造設計を担当しました。 SiCはSiと比較して、抵抗が低く、電流が流れやすい性質があります。開発当初、この性質ゆえに大電流が高速で流れて、SiC素子が壊れる課題に直面しました。SiCの低損失性能を最大限に生かし、市場で素子を壊さないための方法について関係部署と“総智・総力”で議論を重ねました。その結果、専用の駆動ICで電流を高速遮断するという、自部署だけでは生まれなかった解決策を見いだし、この課題を乗り越えました。
SiC搭載製品は、まだ少ないのが現状です。今後、電動車の普及が進む中で、SiC搭載製品を増やし、CO₂削減に貢献していきたいと思います。

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    パワーモジュール技術部 第4開発室 三村智博

私は、SiCパワー半導体デバイスを製造するための工程設計を担当しました。SiCはダイヤモンドに次ぐ硬い材料で、Siに比べて加工の難易度が高く、例えば1ミクロン以下の微細な構造を安定的に加工できる量産工程を設計することに非常に苦労しました。デンソーは長くSiCの研究開発に取り組んできたので社内に多くの先人、先輩がいます。SiC特有の課題を解決するために、諸先輩ともコミュニケーションを多くとり、経験やノウハウを聞き込み、これまでに積み上げられた技術を最大限に生かすことで今回の製品化につなげることができました。
今後は、より幅広い製品へのSiC搭載が実現できるよう、デバイス性能と品質のさらなる向上、そして低コスト化も進めていきたいと考えています。

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    パワーモジュール技術部 第2設計室 杉田悟

私が担当した実装設計は、SiCパワー半導体をパワーカードへ搭載するにあたり、必要な信頼性を確保するための要件(材料や寸法、加工条件など)を定める役割を担っています。設計の過程において、SiC材料の特徴である高いヤング率* (Siの約3倍)により、Siでは起こらなかった実装不具合が顕在化しました。これまでに事例のない現象であったため、解決するためには、今までの経験則にとらわれない柔軟な考え方を持つことが必要でした。そこで、事実を正確に把握するために社内専門部署や社外分析メーカーに広く声を掛け、多角的な視点取り入れつつ、現地現物で確認することで不具合解決と設計要件への落とし込みの加速につなげました。
今後はSiCパワー半導体を、多くのお客さま、そして多様な製品に搭載いただくことで、電動車の普及および、脱炭素社会に貢献したいと考えています。

*ヤング率:材料の硬さを数値化したもので弾性率ともいう

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