DRIVEN BASE

2021年度 ハイライト&ローライト(2021年4月~2022年3月)

【4月】

【Highlights:環境】

安城製作所電動開発センターでCO2循環プラントの実証実験を開始

工場から排出される二酸化炭素(CO2)ゼロを目指し、CO2を回収して循環利用する実証施設「CO2循環プラント」を安城製作所 電動開発センター内に建設し、実証実験を開始しました。
当プラントは、主に工場で発生するCO2を回収し、エネルギー源や他の材料に循環利用することを想定した設備です。ここでは、ガスを使用する機器の排気から回収したCO2と、再生可能エネルギー電力を用いて生成した水素から、メタンを合成してエネルギー源として再利用するプロセスを実証しています。
実証設備で構築したCO2循環サイクルは、デンソーの生産設備に導入するだけではなく、世界中の様々なモノづくりの現場でのカーボンニュートラルへ貢献していきます。

※本取り組みの技術は(株)豊田中央研究所と共同で開発しました。

    • system

      システム概要

    • co2plant

      プラント内の様子

  • sdgs-img-sdgs7-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja
  • sdgs-img-sdgs13-ja

【4月】

【Highlights:安心】

「トレーラーブレーキ温度監視システム」を開発

トレーラのブレーキの異常な温度上昇を検知してドライバーに警告する「トレーラブレーキ温度監視システム」を日通商事株式会社と共同で開発しました。日常点検では気づくことが難しいブレーキの異常を温度推移から検知し、ドライバーの安全確保、物流の停滞回避など社会インフラの維持に貢献する製品です。本製品は日通商事株式会社および日本トレクス株式会社から販売されました。
この「トレーラブレーキ温度監視システム」は、トレーラ火災の原因の多くが、ブレーキの異常な温度上昇であることに着目して開発されました。本製品は、各車輪のブレーキに温度センサーを設置し、3つの異常な温度変化、①異常な高温、②急激な温度上昇、③他のブレーキとの温度差を検知し、ドライバーに警告する製品です。ブレーキの温度推移を常時監視し、早い段階で異常を検知することで、火災などの危険なトラブル発生前にドライバーへ警告します。
デンソーは、今後も乗用車だけではなく商用車の安心・安全な運行に貢献する技術開発を推進し、ドライバー、歩行者をはじめとする、世界中のすべての人にとって安全で自由な移動の実現に取り組んでいきます。

  • hi-low-img

    システム概要

  • sdgs-img-sdgs3-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs11-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja

【5月】

【Highlights:環境】

ハネウェルとアライアンス契約を締結

デンソーは、Honeywell International, Inc.(本社:アメリカ合衆国ニュージャージー州、以下ハネウェル)と、電動航空機用推進システムの事業においてアライアンス契約を締結し、共同事業を開始しました。共同事業の対象は、電動航空機用推進システム製品の開発・設計、生産、販売、およびアフターサービスです。両社は、まずエアタクシーや貨物機などの都市型エアモビリティ分野に注力します。すでにお客さまとのプロジェクトを進めており、2022年に電動航空機用推進システムの試験飛行を実施する予定です。
昨今、MaaSの進展によりモビリティが多様化する中で、都市部での渋滞や、それにより発生するCO2、過疎地での交通網の確保といった課題の解決策として、新たな空のモビリティである電動航空機が注目されています。電動航空機は、静かで快適性に優れるだけでなく、CO2を排出しない環境に優しい次世代モビリティです。
今回、2019年より共同開発を続けていたハネウェルとアライアンスを強化し、電動航空機用推進システムの共同事業を開始します。ハネウェルの航空機向け技術開発での100年以上の実績と、デンソーの約70年にわたり自動車向け技術開発で培った高い技術力を融合し、両社で電動航空機用推進システム製品であるEPUを開発します。
その中でデンソーは、航空機において最も重要な軽量化を実現し、空のモビリティの価値向上に貢献するため、独自の磁気回路を用いた高出力モーターや、内製SiC(シリコンカーバイド)を用いた高効率・高駆動周波数インバーターを開発します。

※EPU:Electric Propulsion Unitの略、モーターとインバーターを組み合わせた電動推進ユニット

    • hi-low-img
    • hi-low-img
  • sdgs-img-sdgs7-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja
  • sdgs-img-sdgs13-ja

【9月】

【Highlights:企業基盤】

初のサステナビリティボンドを発行

サステナビリティ経営のさらなる推進に向けて、デンソーグループとして初めて、サステナビリティボンドを発行しました。サステナビリティボンドとは、資金の使途を環境・社会双方の持続可能性に貢献する事業に限定して発行される債券であり、今回デンソーは、米ドル建てにて発行しました。
サステナビリティボンドで調達した資金は、電動化事業や先進安全・自動運転事業における、幅広い投資資金への充当を想定しています。また、デンソーとして初めて米ドル建て普通社債で資金を調達することにより、資金調達手段の多様化・増強も同時に図ります。

【10月】

【Highlights:安心】

新型コロナウィルスを検出するバイオセンサーを開発

学校法人東海大学、国立大学法人豊橋技術科学大学、学校法人中部大学、株式会社デンソーは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援のもと、新型コロナウイルス検査機器の開発に取り組んでおり、新しい仕組みのバイオセンサーを開発し、新型コロナウイルスの検出に成功しました。今後は、感染症の早期診断に貢献することを目指し、実用化に向けた開発を加速していきます。
共同開発を進めているバイオセンサーは、「ウイルスの感染性」を高感度かつ迅速に定量検出する臨床検査機器としての活用を目指したものです。PCR検査や抗原検査とは異なり、感染のきっかけとなるウイルス表面のスパイクタンパク質 ※1 を、半導体センサーとアプタマー ※2 で検出することが可能です。今回、世界で初めて ※3 本手法を用いて新型コロナウイルスを高感度にて検出することに成功しました。
半導体センサーは、ウイルス量を電気信号で定量的に計測することができるため、高い精度での感染状況の把握や、治療の有効性の確認などへの活用が期待できます。また、アプタマーはサイズが小さく、さまざまなタンパク質と選択的に結合する性質を持つとともに、設計が容易であり短期間での量産も可能であることから、未知のウイルスの検出に応用することも可能です。

※1 スパイクタンパク質
  ウイルスの表面に複数存在するタンパク質、ヒト細胞の受容体と結合する機能を持ち、感染のきっかけになる
※2 アプタマー
  人工的に合成した核酸分子、特定の物質に結合する性質がある
※3 世界で初めて
  半導体センサーとアプタマーで、スパイクタンパク質を検出する技術は世界で初めて

    • hi-low-img

      新型コロナウイルス検出イメージ

    • hi-low-img

      半導体センサー

  • sdgs-img-sdgs3-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs11-ja

【10月】

【Highlights:環境】

緑化優良工場等表彰において安城製作所が中部経済産業局長賞を受賞

安城製作所は、工場緑化への取り組みが認められ、緑化優良工場等表彰制度(通称:全国みどりの工場大賞)において、中部経済産業局長賞を受賞しました。この制度は、工場緑化を積極的に推進し、工場内外の環境向上に顕著な功績が認められた工場や団体および個人を表彰する制度です。取り組み状況によって、日本緑化センター会長賞、中部経済産業局長賞、経済産業大臣賞と段階的に表彰されます。
安城製作所は、2020年6月に電動化製品の開発製造強化を目的に電動開発センターを稼働させました。環境に配慮した工場で生産する電動化製品を世界各地域へ幅広く普及させ、加えて積極的に工場緑化へ取り組むことで、CO2排出量を削減し、持続可能な社会の実現に貢献します。

  • hi-low-img

    地域への開放緑地となっている「ふれあいの里」

  • sdgs-img-sdgs11-ja
  • sdgs-img-sdgs13-ja
  • 15

【11月】

【Highlights:環境】

脱炭素社会に貢献するSiCパワー半導体の開発

独自の構造や加工技術を取り入れたSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体を開発し、車載製品に搭載することで、電動車の普及や航続距離の延長、クルマから発生するCO2の削減に貢献しています。
これまでも車載製品にはパワー半導体が使用されており、それらは、一般的にSi(シリコン)を材料としていました。一方で、SiCは、Siよりも高温、高周波、高電圧環境での性能が優れていることから、インバーターの電力損失低減や小型・軽量化に大きく貢献し、モビリティの電動化を加速させる素子として注目されています。 例えば、デンソー製のSiCパワー半導体が搭載された昇圧用パワーモジュールは、従来のSiパワー半導体搭載製品と比較して、体積は約30%削減、電力損失は約70%低減されており、製品の小型化と車両燃費の向上を実現しています。
デンソーは、これらSiC技術を、革新的な技術で社会に「変革」を促すことを目指して「REVOSIC (レボシック)」と名付け、ウエハからパワーモジュールまで総合的な技術開発を進めています。今後もデンソーは、SiC技術「REVOSIC」の研究開発を推進し、電動車への搭載を広げ、脱炭素社会の実現に向けて貢献していきます。

    • hi-low-img

      〈SiCパワーカード〉

  • sdgs-img-sdgs7-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja
  • sdgs-img-sdgs13-ja

【12月】

【Highlights:安心】

世界最小ステレオ画像センサーの性能向上と機能拡大を実現

デンソーは、軽自動車の安全性向上に貢献する小型のステレオ画像センサーについて、性能の向上と機能の拡大を実現しました。小型ステレオ画像センサーは2016年に初めて製品化され、ダイハツ軽乗用車「タント」に採用されて以来改良を重ねて、今回で2世代目の製品となります。軽自動車にも安全製品を普及させるためには、低価格かつコンパクトな製品であることを前提に開発していく必要があります。
当製品は、従来品と同等の世界最小サイズと価格を維持しながら、性能の向上と機能の拡大を実現しました。識別能力が高い単眼認識ICを追加採用し、イメージャーをより高感度なものに変更することで、衝突回避支援ブレーキ機能の対応速度や夜間の歩行者検知の性能を向上し、標識認識支援などの機能が拡大しました。

  • hi-low-img

    夜間の歩行者検知

  • sdgs-img-sdgs3-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs11-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja

【12月】

【Highlights:環境】

省エネ大賞で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞

2021年度省エネ大賞 省エネ事例部門において、幸田製作所セミコンダクタ製造2部による「工場廃熱の再利用による純水加温蒸気量1/2への挑戦」が、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
「省エネ大賞」は、一般財団法人省エネルギーセンターが主催し、企業や自治体などにおける優れた省エネ活動や、技術開発などによる先進型省エネ製品などを表彰しています。今年度の省エネ大賞では、「省エネ事例部門」で、幸田製作所セミコンダクタ製造2部が、工場廃熱の再利用により、半導体洗浄に使用される純水加温用の蒸気量67%削減、および原油換算量491.5kL/年削減を達成したことが評価され、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
なお、省エネ大賞の受賞は、今回で12年連続となります。

  • sdgs-img-sdgs7-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja
  • sdgs-img-sdgs13-ja

【12月】

【Highlights:安心】

「Global Safety Package 3」を開発

車両の周辺環境を認識し、安全性能向上に貢献する「Global Safety Package 3」 ※1 を開発しました。「Global Safety Package」は、車両や道路などの形状を検知する「ミリ波レーダー」と、カメラで自車の前方環境を検知する「画像センサー」を組み合わせることで、ドライバーの運転を支援するシステムです。デンソーは今回3世代目となる製品を、予防安全・運転支援シーンの拡大と小型・低コストの両立をコンセプトに開発しました。
ミリ波レーダは、右折時に前方からくる対向直進車や、右左折時に前方から接近する横断歩行者との衝突回避支援など、交差点での衝突事故回避に貢献するため、検知角度と距離を拡大し、かつ速度分解能 ※2 を向上しています。また、さまざまな車種への搭載を目指し、検知性能の改善とレーダーの小型軽量化を両立し、車両への搭載制約を軽減しています。 画像センサは、交差点での衝突事故回避支援に貢献するため、水平画角を拡大しています。また、より広い速度域での車間制御クルージング、レーンチェンジ支援の実現に貢献するため、車両の検知距離も拡大しています。さらに、車間維持支援、交通標識認識支援などの機能拡大に貢献するため、AI技術を活用し認識性能を向上しています。

※1 Global Safety Package 3のソフトウェア開発は株式会社J-QuAD DYNAMICSの協力を得ています
※2 速度分解能:二つのものを分離して検知できる速度差

    • hi-low-img

      ミリ波レーダー

    • hi-low-img

      画像センサー(日野自動車向け)

    • hi-low-img

      画像センサー(トヨタ自動車向け)

  • sdgs-img-sdgs3-ja
  • sdgs-img-sdgs9-ja
  • sdgs-img-sdgs11-ja
  • sdgs-img-sdgs12-ja

【2022年3月】

【Highlights:企業基盤】

6年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定

株式会社デンソーは、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人~ホワイト500~」に6年連続で認定されました。また、デンソーグループの8社が「健康経営優良法人~ホワイト500~」に、3社が「健康経営優良法人~ブライト500~」に認定されました。
併せて、社員の健康増進のために、スポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行っている企業としてスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー」にも3年連続で認定されました。健康経営優良法人の認定と同じく、コロナ禍における社員の運動促進に向けた取り組みが評価されました。

    • 健康経営優良法人
  • sdgs-img-sdgs3-ja

【2022年3月】

【Lowlights:企業基盤】

ドイツのグループ会社にて、ネットワークへの第三者による不正アクセスを受けたことを確認

2022年3月10日に、ドイツの弊社グループ会社において、第三者による不正アクセスを受けました。不正アクセスの被害を受けた機器のネットワーク接続を速やかに遮断し、他拠点への影響は出ませんでした。
今回の件を踏まえ、デンソーグループとして、改めてセキュリティ対策を強化し、再発防止に取り組んでまいります。従業員が基本動作を徹底するための再教育・訓練の徹底、AI等最新技術の活用によるグローバル検知・監視システムの強化、重要サーバや機器の総点検に加え、外部機関によるダブルチェックを確実に実施することで再発防止に努めています。