DRIVEN BASE

2022年度 ハイライト&ローライト(2022年4月~2023年3月)

【4月】

【Highlights:環境】

BluE Nexus初のeAxleなどがTOYOTA「bZ4X」に採用

BluE Nexus(以下BluE)と、アイシン、デンソーが共同で開発したeAxleが2022年5月にリース販売を開始するTOYOTA新型BEV「bZ4X」に搭載されます。
eAxleは、モータ、インバータ、トランスアクスルを全て一体化した電動駆動モジュールです。高い動力性能、小型化を実現し、車両の電費向上に貢献しています。
アイシン、デンソーの両者のトランスミッションやインバータに対する知見に加え、BluEの各コンポーネントの最適化やモジュール化に対する知見、車両への適合力を生かし、BluEとして初のeAxleを開発しました。
eAxleの他にも、電流を検知する電流センサ、充電・電力交換・電力分配の各機能を集約したESU(Electricity Supply Unit)、待機中の熱をエアコンの熱源とする高効率エコヒートポンプシステムなど、デンソーが開発した電動化製品が搭載されています。
カーボンニュートラルを実現するためには、クルマの電動化に貢献し、CO2を可能な限り削減することが重要です。デンソーは、電気自動車が社会やユーザーにとって新たな価値や選択肢となるよう、これからも電動化技術の開発を推進していきます。

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      eAxle

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      ESU (Electricity Supply Unit)

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      高効率エコヒートポンプシステム

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【5月】

【Highlights:環境】

デンソーとハネウェル共同開発製品が電動航空機に初採用

デンソーと、Honeywell International, Inc.(以下ハネウェル)は、電動モータを電動航空機向けに新規開発しました。本製品は、両社がアライアンス締結以降初めて共同で開発した製品であり、eVTOL(電動垂直離着陸機)を開発するドイツ企業、Lilium N.V.(以下リリウム)の機体に採用されることが決定しました。今後、実用化に向けて開発を加速します。
電動航空機は、静かで快適性に優れるだけでなく、CO2を排出しない環境に優しい次世代モビリティです。モビリティが多様化する中で、都心部での渋滞、それにより発生するCO2、過疎地の交通網確保といった課題を解決する空のモビリティとして注目されています。

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      電動モータの構成品(プロトタイプ・左からローター、ステーター)

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      電動モータのプロトタイプが搭載されるリリウムの機体

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【9月】

【Highlights:安心・安全】

トヨタ・モビリティ基金、デンソー、東京海上日動火災保険、東京大学、ドライブレコーダーAI解析技術を活用した高齢者安全運転支援の実証実験を豊田市で実施

一般財団法人トヨタ・モビリティ基金、デンソー、東京海上日動火災保険株式会社、東京大学大学院新領域創成科学研究科は、高齢者の安全運転支援を目的とした実証実験を愛知県豊田市で開始しました。ドライブレコーダーから収集した映像等をAIで分析し、安全運転のためのアドバイスを行うAI運転診断システムを活用して、高齢者の事故リスク低減を効果的に実現する方法を検証します。
本実証実験では、デンソーが開発を進めている、AIによる映像解析技術等を活用したAI運転診断システムを利用します。AIがドライバーの挙動から安全運転度を診断し、東京海上日動、東京大学の知見も活用しながら運転行動の改善につなげてもらう仕組みの構築を行います。トヨタ・モビリティ基金は、本実証実験を通じて得られた知見を公開、AI・データ分析技術が高齢者の移動課題解決へ活用されるよう促すとともに、産業界・学術界・医療界等との幅広い連携によって本取り組みの実効性を高めるなど、高齢ドライバーの交通安全促進に向けて積極的に取り組んでいきます。。

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    実証実験の全体像

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【10月】

【Highlights:環境/安心・安全】

電動車向けバッテリーの業界横断エコシステムの構築開始

NTTデータとデンソーは、秘匿データを保護しつつ必要なデータのみ相互流通できるセキュアなデータ連携プラットフォームの実現に向け、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステムの構築に着手しました。
現在、欧州において検討されている電池規制案では、バッテリーのライフサイクル全体におけるCO2 排出量や資源リサイクル率を欧州委員会に開示することが求められています。将来的には日本企業が電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)などの電動車をヨーロッパ市場で販売する場合には欧州電池規制をクリアすることが求められます。また、人権に配慮した原材料調達の一環として、人権デュー・ディリジェンスの状況を見える化することも求められています。それらに対応するためには、各企業が個別に対応するのではなく、バリューチェーンを構成するさまざまな取引先とデータをセキュアに共有するための共通プラットフォームの整備が必要となります。
そこで、NTTデータ、デンソーの両社は、共同事業検討のための基本合意書を締結し、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステムの実現に向けて、経済産業省の補助事業に共同で提案応募し、2022年9月に正式に事業者として採択されました。このエコシステムで活用されるプラットフォームは、電動車向けバッテリーにとどまらず、将来的にさまざまな産業における企業間でセキュアにデータを活用できる次世代の情報インフラを目指すものです。
両社は、2023年度中のサービス商用化を目指して、自動車業界・製造業向け共通プラットフォームの検討に着手しました。

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※CFP:カーボンフットプリント ライフルサイクル全体におけるCO2排出量を把握すること
 DD:デュー・ディリジェンス (人権に対する)企業としての適切で継続的な取り組み。リスクの特定、分析、評価を実施し、適切な対策を策定・実行するプロセスのこと。

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【12月】

【Highlights:環境】

第36回中日産業技術賞において最高位の経済産業大臣賞を受賞

優れた産業技術や製品開発を顕彰する第36回中日産業技術賞(中日新聞社主催、経済産業省後援)において、豊田中央研究所とデンソーが共同で開発した「リチウムイオン電池監視ICを小型化した高耐圧半導体素子」が最高位の「経済産業大臣賞」を受賞しました。
今回受賞した「高耐圧半導体素子」は、電池の残量を読み取る電池監視ICに搭載され、このICは電池電圧の高精度検出と多セル監視を両立させた世界初の製品として、車両の燃費向上や航続距離の延長に貢献しています。今回の受賞技術はICの高電圧駆動を実現し、多セル監視を可能とすることで電池ECUに搭載されるICや周辺部品点数を減らし、電池ECUの小型化、低コスト化を実現しました。

※中日産業技術賞について
1986年に創設された中日産業技術賞は、機械・金属、電子・情報、新素材・バイオテクノロジー・医療などの分野における最近の技術・製品の開発に対して与えられる顕彰です。

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    リチウムイオン電池監視IC / 電池ECUのコア部品。
    電動車両の動力源であるリチウムイオン電池の電圧を監視する重要な役割を担っています。

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【2023年3月】

【Highlights:環境】

水素を活用した「カーボンニュートラル工場」実現に向けた実証を開始

トヨタ自動車と共同で、デンソー福島にて工場内でのグリーン水素の製造、および製造した水素の工場での活用の実証を開始しました。この実証を通じて「水素地産地消」モデルの構築や、カーボンニュートラル工場の実現を目指しています。
水素を「つくる」技術では、トヨタが開発した、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を導入し、デンソー福島で自家発電した再生可能エネルギーを使用して水素製造を行います。この水電解装置は、システム内の水電解用スタックを燃料電池車「MIRAI」と共通化することで、高い信頼性・耐久性・初期導入コストの低減と、従来よりも安価な水素製造を目指します。
水素を「つかう」技術では、工場内で発生した排出ガスを無害化するアフターバーナー炉において従来使用しているLPガスを、製造した水素に置き換えます。水素を高温で燃焼するとNOxガスが発生しますが、バーナー構造の工夫により水素と空気を穏やかに混合し燃焼させることで燃焼温度を低減させるとともに、自動車部品開発で培った内燃機関での燃焼解析技術を応用し炉内の燃焼状況を把握することで、NOxガス排出の抑制と省エネ燃焼の両立を実現しました。
さらに、水素を「はこぶ」際の課題とされている輸送コストについても、自社内で製造した水素を自家消費する「水素地産地消」によりコスト低減が可能になります。

今回の実証を通じて、水素製造から利活用までのパッケージを構築し、そのパッケージを複数組み合わせることで工場の規模に応じて必要とする水素量を最適に導入できるモデルを構築していきます。そして、デンソー福島を起点に、福島地域で水素利活用を推進する仲間の輪を広げ、福島から全国へ「水素地産地消」モデルの展開を目指します。

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【Highlights:環境】

SiCパワー半導体を用いたインバータを開発

デンソーは、当社初となるSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体を用いたインバータを開発しました。シリコン(Si)と炭素(C)で構成され、電力損失を大幅に低減する半導体の材料でつくられています。BEVの動力源となるモータを駆動・制御する役割を持つインバータの駆動素子にSiCパワー半導体を採用することにより、従来のSiパワー半導体を用いたインバータと比べて、特定の走行条件において電力損失を半減以下にしました。この結果、BEVの電費が向上し、航続距離の延伸に貢献しています。
デンソーはこれまでも、当社のSiC技術を「REVOSIC® (レボシック)」と名付け、ウェハーから素子、パワーカードなどのモジュールに至る総合的な技術開発に取り組んできました。
今後は2022年に採択されたグリーンイノベーション基金(GI基金)の助成も活用しながら、車両のより効率的なエネルギーマネジメントを目指した開発を通して、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献します。

※グリーンイノベーション基金(GI基金):2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に造成された基金。当社は次世代パワー半導体デバイス製造技術開発(電動車向け)プロジェクトに助成を受けています。

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      インバータ

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      パワーカード

【ご参考】
REVOSIC® (レボシック)についてはこちらをご覧ください

SiCパワー半導体(REVOSIC)

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