~カーボンニュートラル実現に向けた取り組み~

デンソーは、社会課題の解決と持続可能な事業の両立を目指し、「環境」を大義の1つとして取り組んでいます。
その環境分野の中での最重要課題の1つが気候変動の抑制、いわゆるカーボンニュートラルです。デンソーは、カーボンニュートラル社会実現に貢献するべく、最重要テーマとして全社一丸となって取り組んでいます。

基本的な考え方

自動車をはじめとする製品は、利便性を高める一方で、温室効果ガス排出など環境負荷との関係も持ち合わせています。
そのため、デンソーは、自らの事業が気候変動と密接に関わっていると捉え、モノづくり、製品およびサプライチェーンの領域において、環境負荷低減に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

目標設定の考え

デンソーは、「パリ協定(COP21)」以降に示された、産業革命以前からの気温上昇を1.5℃以下に抑制する、いわゆる「1.5℃シナリオ※」を基本としつつ、さまざまなステークホルダーのニーズや自らの挑戦も考え、以下のとおりCO2削減およびカーボンニュートラルの目標を設定しています。

※1.5℃シナリオ: 2050年前後までに世界全体でCO2排出を実質ゼロとし、地球温暖化を産業革命前比1.5℃以内に抑えるための科学的に示された排出経路(IPCC)

    • 気候変動(CO2排出量削減)に関する目標
      (基準年:2020年度)

      気候変動に関する目標

* WB2℃:“Well Below2℃”の略。気温上昇を2℃より十分低く抑える目標であり、1.5℃基準におけるScope3の目標


デンソーは、2021年にモノづくり(Scope1・2)について、2025年および2035年のカーボンニュートラル目標を公表しています。さらに、モノづくり(Scope1・2)の目標に加えて、デンソーは2023年に、バリューチェーン全体を対象としたCO2削減目標として、部品調達(Scope3上流)および製品使用(Scope3下流)における2030年目標を公表しています。この目標は、様々な取引先様と協働していくことが重要と考え、SBT※1の考え方を基本に設定しました。※2

※1 SBT:Science Based Targets、1.5℃シナリオと整合した5~15年先を見据えて設定する科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標(環境省)
※2 2023年8月にSBTiによるSBT認定取得(デンソー、温室効果ガス削減に向けてScope3を新たに目標設定し、SBT認定を取得)

具体的な取り組み

Scope1,2(モノづくり)におけるカーボンニュートラル

2025年目標に向けて、従来から取り組んできた徹底的な省エネ化を基盤とし、自社内での太陽光発電の設置をグローバルに拡大させるとともに、社外から調達する電力を再生可能エネルギー電力へ転換を進めてきました。さらに、燃料由来のCO2に対しては、カーボンクレジット活用によりオフセットし、カーボンニュートラル達成に向けた取組みを進めてきました。
これらの取り組みは国内および海外のグループ会社(約190社)と連携しながら推進してきました。
また、2035年に向けては、これまでの活動の推進に加え、脱化石燃料化が重要な課題となってきます。しかし、脱化石燃料化は、自社技術開発はもちろんのこと、社会インフラの整備等では社会との協調も重要な課題です。デンソーはさまざまなパートナーとも連携しながら、脱化石燃料化の実現を目指していきます。

  • Scope1・2
    カーボンニュートラルに向けたロードマップ

    • カーボンニュートラルに向けたロードマップ

これまでの実績

従来の強みである省エネ活動を徹底的にやり切り、再生可能エネルギーの導入やクレジットの活用などにより、2025年度はScope1・2において、グローバルでカーボンニュートラル達成の見込みとなっています。※1

※1 削減を優先的に実施したうえで、環境価値を調達・償却し、残余についてはカーボンクレジットの償却により補償することで、Scope1・2合計としてCO2排出量を実質ゼロとしています。

    • これまでの実績

徹底的な工場の省エネルギー活動やりきり

カーボンニュートラル達成に向け、「生産技術開発」と「全員参加で進める現場改善」を両輪に、まず省エネを第一優先として取り組んでいます。省エネは、一部の専門部署だけで完結する活動ではありません。現場の一人ひとりがエネルギーを「自分ごと」として捉え、日々の仕事の中で改善を積み上げる——その積み重ねが、継続的な成果につながると考えています。
デンソーが大切にしているのは、将来のビジョン・目標を明確にし、開発・改善に挑戦し続けることで、次の改善へつながる「改善マインド」を引き出す運営です。改善の努力を正しく評価し、前向きな挑戦が続く仕掛けを整えることで、30年以上にわたる省エネ活動を進化させてきました。
今後も、より高い目標に向けて、現場起点の改善と技術開発を掛け合わせながら、省エネ活動を継続・進化させていきます。

  • 2025年度省エネ大賞16年連続受賞

【TOPIC】2025年度省エネ大賞16年連続受賞

2025年度省エネ大賞において、デンソーグループは、デンソーによる「工場インフラ規格緩和による省エネ改善」と、デンソートリムによる「徹底した地下水活用による省エネ推進」の取り組みが評価され、2025年度省エネ大賞において共に「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。
これにより当社は、省エネ大賞において2009年から16年連続の受賞となり、デンソートリムは今回が初めての受賞となります。
「省エネ大賞」は、一般財団法人省エネルギーセンターが主催し、企業や自治体などにおける優れた省エネ活動や技術開発などによる先進型省エネ製品などを表彰しています。

デンソーグループ、2025年度省エネ大賞にて 2案件が資源エネルギー庁長官賞を受賞


サプライヤーとの協働で取り組むサプライチェーン全体でのCO2削減活動(Scope3上流)

カーボンニュートラルに向けた課題は業種や取引先様によって異なるため、サプライヤーとの対話を通じて相互理解を深めながら、パートナーとして共同で取り組みを推進しています。
具体的には、調達金額の70%超を占める主要サプライヤー約300社の排出量の把握を行い、中期目標「CO2排出量を2030年度までに2020年度比25%削減(年平均2.5%)」、および長期目標「2050年度 カーボンニュートラル実現」を共有し、削減活動の推進を図っています。また、当社工場の改善事例を現認いただくカーボンニュートラル工場見学会の開催や、省エネ診断・エネルギー計測器の貸し出しといった実行面での支援に加え、省エネ設備導入に向けた補助金申請の支援や当社による設備投資の一部負担など、実務に踏み込んだ伴走支援を通じ、サプライヤーの活動を後押ししています。
さらに、こうした取り組みを通じて把握した現場の困りごとや要望を取りまとめ、政府・業界団体・学識者などへ提言へと繋げることで、サプライチェーン全体における活動環境の整備を牽引しております

    • ロードマップ
    • carbon_neutral_factory_tour

    カーボンニュートラル工場見学会
    サプライヤーにデンソーの取り組みを現認頂き、CO2削減活動に役立てていただいています。

これまでの実績

サプライヤーでの省エネ活動や再生可能エネルギーの導入により、2020年度の1,073万tを基準として、2024年度は963万t(▲10.3%)となりました※1。サプライヤーの削減活動を通じて、2030年目標の達成に向け、着実な削減を進めています。
今後は、サプライヤーにおける課題やニーズへの対応を一層強化するとともに、製品への低CO2材料の採用やサプライチェーンへの再生エネルギー導入を推進していきます。また、製品に内在するCO2削減価値を、お客様および社会に対する付加価値として適切に提供するため、業界団体・学識者と連携しながら、業界ルールの整備に取り組んでいきます。

※1 検証機関指摘により過年度分の値を遡及計算しています。なお2025度実績は2026年末ごろ当社ホームページで公表予定です。

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政府・業界団体等との協働

デンソーは日本自動車部品工業会(JAPIA)や一般社団法人経済団体連合会(経団連)にメンバーとして参加しており、それらの諮問会議等の意思決定のプロセスに委員として参画しています。
JAPIA・経団連いずれの団体においても、気候変動に深刻な懸念事項と捉えており、パリ協定、日本政府の見解・政策がめざす「カーボンニュートラル」を支持しています。デンソーは国際社会や日本政府あるいは業界団体が目指す方向性を支持するとともに、「カーボンニュートラル」を環境戦略の目標として折り込み、自動車部品・システムの観点から電動化に取り組み、製造過程での脱炭素に向けてのカーボンニュートラルの確立をめざしていきます。またクルマで培ってきた熱マネジメント技術と材料技術を応用して、水素から電気を作るSOFCと、電気から水素を作るSOECの実証実験を開始。自社CO2削減だけでなく、社会全体のCO2削減を通じて社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。
特にJAPIAにおいては、環境対応委員会のメンバーとして、業界におけるカーボンニュートラル推進の中心的役割を担っています。例えば会員に対する勉強会やアンケート調査、推進の手引書の作成・共有などを通して自動車部品業界全体でのカーボンニュートラル達成に向けて積極的にサポートするとともに、政府あるいは自動車工業会(JAMA)をはじめとする他の業界団体と気候変動緩和策について科学的に議論・提言あるいは協働で実証実験、技術展示会などを開催するなど、あらゆる方面から、国や産業界あるいは業界団体と協力してカーボンニュートラル達成に向けた活動を積極的に推進していきます。

製品使用におけるカーボンニュートラル活動

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、モビリティに対するニーズは国や地域、用途によって大きく異なります。デンソーは、こうした多様な社会ニーズに応えるため、カーボンニュートラル燃料に対応した内燃機関から電動車まで、幅広い選択肢を提供する技術開発に取り組んでいます。基盤技術から統合システムまでを幅広く開発することで、多様なモビリティの進化を支えていきます。

エネルギー利用におけるCO2 排出量削減

場所や時間の制約なく、エネルギーを高効率に利活用する技術を確立し、世の中に広く普及させることで、エネルギー循環社会の実現に貢献します。
例えば、クルマで培ってきた熱マネジメント技術と材料技術を応用して、水素から電気を作るSOFC*1. と、電気から水素を作るSOEC*2. の実証実験を開始しました。今後さまざまな実証を通じてグリーン水素エネルギーを無駄なく使える効率性と、システムを安全に長期間使用できる耐久性を探求し、環境と経済合理性の両立を目指した開発に挑戦していきます。*3

*1. SOFC : Solid Oxide Fuel Cell (固体酸化物形燃料電池)
*2. SOEC : Solid Oxide Electrolysis Cell (固体酸化物形水電解用セル)
*3. 本事例は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「水素社会構築技術開発事業」の支援を得て推進しています。

    • SOEC

      SOEC実証施設

目標達成にむけた事業戦略

インターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入

工場におけるカーボンニュートラルの達成に向け、2021年より、投資判断の指標となる事業性評価にICPの導入を開始しました。当制度の導入は、CO2排出増減を伴う設備投資検討の際に、CO2排出量を仮想的に損益換算して事業性評価に反映することで、省エネルギーや再生可能エネルギー発電などの設備投資を加速させることを狙いとしています。
ICPの価格設定は、排出権価格などの市場価格や、自社の将来削減目標などを総合的に加味して地域別に設定しており、毎年更新していきます。

温室効果ガス排出に係るコストの評価に用いている内部炭素価格
2025年度

1,600~2,600 円/t₋CO2

成長に向けた事業基盤の強化

デンソーは、「事業を通じて社会課題の解決に貢献すること」を経営の基礎としています。カーボンニュートラルへの貢献は環境課題の解決のみならず、将来にわたる競争力の強化にもつながると考えています。そのため、2021年度から各事業分野の状況を定期的に評価し、経営資源の最適な配分を検討する仕組みを導入しました。
各事業分野のCO2排出量、収益性、成長性を可視化し、各製品群の位置づけや今後の方向性について、全経営役員が参加する戦略審議会で議論しています。

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献するべく、引き続き最重要テーマとして、全社一丸となって取り組んでいきます。なお、デンソーのカーボンニュートラルに関する取り組みは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に則り、リスクと機会の両面を踏まえて推進しています。