DRIVEN BASE

自然環境調和プロダクト

基本的な考え方

デンソーでは、今まで培ってきた自動車分野の技術を応用し、再生可能で豊かな生活を支えるグリーン環境技術を開発し、事業化を通して社会に貢献しています。

具体的な取り組み

デンソーでは、資源採取に伴う環境破壊を抑制するため、植物由来樹脂などの材料による製品化(ラジエータタンクなど)、藻類を活用した事業やバイオ燃料の研究など、生物多様性に十分に配慮した生物資源を活用し、代替燃料・原材料の開発に注力しています。
また、自動車空調技術を応用し、農業支援事業や食品輸送システムの開発などを推進しています。

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    バイオ(微細藻類)

    藻の高効率な培養プロセスを通じたCO2の吸収固定と、バイオ燃料など脱化石燃料化による地球環境保全に貢献します。

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    農業支援

    ハウス環境制御システム・省エネ技術を通じ、効率的・安定的な野菜の栽培と、農業の競争力向上に貢献します。

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    コールドチェーン

    省エネ型の冷凍・冷蔵技術とトレーサビリティ管理を通じ、産地から消費地までの食の安心・安全な輸送・供給に貢献します。

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づいた情報開示

デンソーは、これまで、気候変動対応や環境汚染防止、資源枯渇防止・資源循環に向けた取り組みを通じて生態系保全に貢献するとともに、社員と地域が協働で、事業所地域固有の生態系保全・復元や希少生物の保護などの活動を推進してきました。
昨今、気候変動と同様に、生物多様性の損失に対し、世界的に関心が高まっています。生物多様性の損失は、自然資本の劣化に直結し、企業活動に多大な影響を及ぼすため、生物多様性と事業活動の関わりを正確に把握し、必要な対策を行うことが、事業活動の安定性を高めるために重要と考えています。
この度、国際的な生物多様性関連情報の開示フレームワーク(TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)を活用し、自然への依存・影響の分析やリスク・機会の特定を試行しましたので最新の進捗状況を報告します。

ガバナンス

自然への依存・影響、およびリスク・機会に関しての重要事項については全社安全衛生環境委員会で審議しています。自然関連課題への対応に関する定性目標と定量目標の進捗モニタリングおよび監督がなされ、事業機会やリスクを評価し、合理的判断のもと意思決定を行っていきます。

戦略

安全衛生環境部を中心に、外部有識者にもご協力いただきながら分析を進めました。TNFDで定める「LEAPアプローチ【注1】」を活用し、またWRI【注2】「Aqueduct」やIUCN【注3】「IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)」などの分析ツールを使って客観性をもって行いました。時間軸は特に長期(20年後)を重視しました。
現在の分析は以下の通りです。今後も引き続き分析を続け、その結果を踏まえて環境活動に関する方針・活動計画などへ反映していきます。

【注1】Locate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存関係と影響の診断)、Assess(重要なリスクと機会)、Prepare(リスク・機会への対応と開示の準備)の4つのフェーズで捉えた、TNFDが推奨するTNFD情報開示にむけたステップ。
【注2】World Resources Institute 世界資源研究所
【注3】International Union for Conservation of Nature 国際資源保護連合

 

直接操業

生産拠点を対象に分析を実施。その結果、操業国・地域の中では日本が生物多様性損失リスクの観点から最も接点が多く、最優先地域であることを把握しました。デンソーでは、自然保全に向け様々な活動を推進していますが、この結果を踏まえ、現状の取り組みの実効性や課題などについて、さらに分析を続けます。

代表的な創業国・地域 日本 メキシコ ハンガリー 中国 インド
IUCNレッドリスト 2,120 999 1,000 797 777
Protected Planet
(PA;保護区)
134 12 55 0 0
Key Biodiversity Area
(生物多様性の保全の鍵になる重要な地域;KBA)
11 2 9 4 6

 

バリューチェーン

バリューチェーンの上流のうち、特に海外の原材料調達先における生物多様性の損失リスクが高いと考え、デンソーの代表的製品(インバータ、HVACなど)に使用しているアルミニウムの原材料「ボーキサイト」採掘地について分析・評価を行いました。分析・評価の結果は下記のとおりです。

原材料「ボーキサイト」採掘地に関するリスク・機会等の分析・評価
  自然への影響/依存 主なリスク/機会の内容 対応策
リスク 自然 依存 ・資源採掘あるいは排水による生態系破壊 ・採掘事業者に対する生態系再生への支援
影響 ・陸運/海運に伴う外来種の移動<調査中> ・外来種の移動防止措置
物理 依存 ・採掘事故(土砂崩れなど)による操業停止(短期) ・採掘業者の災害復旧への支援
・代替鉱山/サプライヤーの多様化
依存 ・埋蔵量減少<調査中>(長期)
移行 依存 ・国際情勢による物価上昇 ・代替素材の検討
・代替鉱山/サプライヤーの多様化
影響 ・採掘規制強化による供給量低下/生産停止
機会 依存 ・鉱物資源の依存低減技術 ・アルミ代替製品開発/アルミ代替材料の開発
影響 ・環境低負荷採掘技術へのニーズの高まり ・今まで培った環境技術をいかした新採掘技術の共同研究開発

リスクとインパクトの管理

特定したリスクについて全社安全衛生環境委員会にて対応方針・活動計画などについて審議・報告します。特に重要と判断されたリスクについては、全社リスク管理の観点から、リスクマネジメント会議が特にリソーセスを投入して対策を推進する重点リスクへ組み込んで管理していきます。

測定指標とターゲット

グローバル社会が目指していくネイチャーポジティブ【注4】への貢献を視野に、引き続きTNFDを活用した自然関連リスク・機会の分析を継続して実施し、その結果を次期エコビジョンおよび環境行動計画(第8次環境行動計画)への反映ならびに指標・ターゲットの策定の検討を進めるとともに、環境マネジメントシステム(EMS)に組み込んでいきます。

【注4】ネイチャーポジティブ:生物多様性の損失を食い止め回復軌道へと転換させること