
社員とともに進める健康づくり
基本的な考え方
心身の健康は、いきいきと働くための源であり、社員とその家族の幸せに不可欠なものです。デンソーでは、社員の健康増進を経営課題の一つと位置づけ、「健康経営【注1】」を推進しています。
2016年9月に「健康宣言」を発表するとともに、健康増進に向けた社員の意識向上と職場単位の活動促進を図るため、心身両面の健康施策の充実に取り組んでいます。
【注1】健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標
デンソー 健康宣言
デンソーは、社員一人ひとりが健康で、個々の能力や個性を発揮することにより、会社がさらに活性化すると考えます。また、健康な心身からうまれる笑顔と情熱は人を惹きつけ、元気な会社づくりの推進力となります。これまで取り組んできた健康施策を進化させるとともに、経営理念にある『個性を尊重し 活力ある企業をつくる』ために、より社員が健康でいきいきと働くことのできる会社づくりに努めることを宣言します。
2016年9月23日
株式会社デンソー
取締役社長
また、国内外のデンソーグループ各社で健康経営を推進するため、「デンソーグループ健康経営基本方針」を策定しました(2019年2月)。この基本方針をグローバルに共有し、各国・各社の実情を踏まえた健康経営を実践することで、一人ひとりの健康意識(ヘルス・リテラシー)向上、より働きやすい環境づくりにグループ全体で努めていきます。
デンソーグループ健康経営基本方針
私たちデンソーグループでは、社員一人ひとりが健康で、個々の能力や個性を発揮することにより、会社がさらに活性化すると考えます。また、健康な心身からうまれる笑顔と情熱は人を惹きつけ、元気な会社づくりの推進力となります。デンソー基本理念にある『個性を尊重し 活力ある企業をつくる』ために、より社員が健康で、いつまでもイキイキと元気に働ける会社を目指します。
1.一人ひとりの健康のために
私たちは、社員一人ひとりが健康意識(ヘルス・リテラシー)を高めて、病気の治療や予防に向けて自律的な健康行動(適切な食事・運動習慣、禁煙など)がとれるよう、意識啓発のための情報提供や機会づくりに努めます。
2.より働きやすい環境に
私たちは、すべての社員が働きやすく多様な人材が輝く快適な職場環境づくりを行うと共に、職場マネジメントを通じてコミュニケーションの活性化を図り、仲間の健康を気づかい合える風土醸成に努めます。
3.グループ全体で活動推進
私たちは、健康を重要な経営課題に位置づけて活動することが、社会に共感いただける新たな価値を創造し続ける企業づくりの推進力となると考えます。デンソーグループは、この基本方針を共有し、各国・各地域の実情を踏まえた取り組みを実施していきます。
推進体制
健康推進部をはじめとした関連部門で「健康協議会」を組織し、全社的に健康施策を推進しています。
各職場に健康増進活動を推進する「健康リーダー」を設置し、職場単位で立案した年間計画(健康アクションプラン)に沿った健康づくりに取り組み、社員の健康意識とチームワークの醸成、職場の活性化を図っています。
また、国内外グループ会社に対しては、所在地の衛生状況や医療環境を踏まえて、心身の健康増進に向けた必要かつ適切な支援をしています。
具体的な取り組み
健康経営戦略マップを作成し、健康経営で解決したい経営課題を「心身ともに健全な状況でベストパフォーマンスを発揮できている」とし、最終的な目標指標を疾病休業の低減(アブセンティーズムの低減)・健康不調による能力発揮低下の抑制(プレゼンティーズムの低減)として活動しています。
2022年度からは、メンタルヘルス対策や生活習慣病対策を重点取り組み事項とし、従業員の意識・行動変容に関する指標を当社オリジナル指標「生活習慣スコア(後述)」、メタボ状態改善率、精密検査・医療機関受診率、がん検診受診率、高ストレス者比率等と定めて健康経営を推進しています。
健康経営に関する認定状況
(1) 健康経営優良法人 【注2】 (約40社)
【大規模法人 ホワイト500】
株式会社デンソー
デンソー健康保険組合
デンソー企業年金基金京三電機株式会社
株式会社SOKEN
株式会社デンソーFA山形
株式会社デンソーエレクトロニクス
株式会社デンソー九州
株式会社デンソーソリューション
株式会社デンソーテン
株式会社デンソーファシリティーズ
【大規模法人】
株式会社デンソーエアクール
ジェコー株式会社
シミズ工業株式会社
浜名湖電装株式会社
株式会社TDモバイル
株式会社デンソーウェーブ
株式会社デンソーエアシステムズ
株式会社デンソー勝山
株式会社デンソー三共
株式会社デンソーダイシン
デンソーテクノ株式会社
株式会社デンソートリム
株式会社デンソー福島
株式会社デンソー北海道
株式会社ニッパ
株式会社デンソー山形
株式会社デンソーワイズテック
株式会社デンソーワイパシステムズ
【中小規模法人 ブライト500】
株式会社デンソーエムテック
株式会社デンソーパワトレインテクノロジーズ
株式会社デンソー宮崎
【中小規模法人】
株式会社デンソーアイティーラボラトリ
株式会社アイピックス
株式会社スリーディー
株式会社EMCエンジニアリングサービス
株式会社デンソーエスアイ
株式会社デンソークリエイト
株式会社デンソープレステック
株式会社デンソーサービス沖縄
株式会社リマニ
株式会社デンソーロジテム
【注2】健康経営優良法人
保険者と連携して優良な健康経営を実践している法人を認定するもの。
「大規模法人(上場企業に限らない)」「中小規模法人」の分野がある。
健康経営優良法人(大規模法人部門)認定法人の中で、健康経営度調査結果の上位500法人のみを通称「ホワイト500」として認定される。
(株)デンソーでの取り組み
メンタルヘルス対策
メンタルヘルス不調者を早期発見し、早期にケアを開始するため、様々な施策を推進しています。
(1)「こころの相談室」の設置
常時、専任の医療スタッフが相談対応できる体制を整え、職場と密接に連携した支援をしています
(2)ストレスチェックの実施と事後対応
2013年度から「こころの健康チェック」を導入し、労働安全衛生法改正に先駆けて社員が毎年ストレスチェックを受けられる環境を整備しています。
個人への結果報告に加え、職場には集団分析結果をフィードバックして必要な支援をすることで、社員の心の健康づくりをサポートしています。また、高ストレス者には個別面談を実施し、早期にケアできるよう取り組んでいます。
2020年からは、心身の健康不調への影響が大きいと考えられる睡眠に着目し、こころの健康チェックに各自の睡眠状態が判定できる質問票も追加しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
受検者数(率) | 49,976名(96.5%) | 50,816名(97.1%) | 49,169名(97.0%) |
睡眠状態のチェック実施状況
睡眠状態のチェックを30,687名に実施。※21年度は社内メール保有者のみ実施
約96%は、睡眠に問題なし(閾値下)
(3)復職支援制度の整備(2006年度導入)
こころやからだの病気で長期休業をされた社員が円滑に職場復帰できるよう、産業医及び専任スタッフと職場(上司)が密接に連携して復職をサポートする体制を整えています。
(4)メンタルヘルス研修
産業医による管理者向けの事例研修や管理者の新任研修カリキュラムに組み入れて開催しています。
受講者数 | 489名 |
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研修回数 | 計2回(9月9日、9月16日) |
研修時間 | 1時間50分 |
受講者数 | 274名 |
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研修回数 | 計9回(6月~7月) |
研修時間 | 1時間30分 |
生活習慣病対策の推進
厚労省が定めるガイドライン該当者に対して、生活習慣病の予防対策として、社内専門スタッフによる特定保健指導を就業時間内に受講できる体制を整えています。また、さまざまな意識啓発活動や研修、制度充実化を実施しています。
(1)「健康を考える日」研修による推進(生活習慣病予防対策)
社員の健康意識を向上させるためには、社員が現在の体力や健康状態を知ったうえで自分の健康についてじっくり考えることが大切です。
デンソーでは、39歳到達者を対象に、健康診断、体力測定、保健指導、健康教育、食事指導、40代に向けた健康の目標設定など等を行う1日研修を実施しています。
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健康講義
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身体バランス測定
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体力測定
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腰痛体操
(2)社員食堂を活用した食育活動
社員食堂の場を通じた「食育」を実施することで、健康や栄養バランスに関する意識づけと食生活改善に向けたきっかけづくりを実施しています。
栄養バランスが考えられたヘルシーセットの提供や食物繊維、野菜をより多く摂取してもらうための工夫、特に女性が不足がちとなる栄養素の入ったデザートを用意するなど、美味しく、楽しく「食」について学んでいただくことを心掛けています。
(3)非喫煙者率の向上活動
喫煙による健康障害リスクの低減と受動喫煙防止を促進するため、2011年度以降、全社横断的な喫煙対策プロジェクトを立ち上げて取り組んでいます。
環境対策として建屋内全面禁煙化(2018年度完了)、健康リスク低減対策として就業時間内禁煙(禁煙タイム)の励行、禁煙セミナーの開催、禁煙外来の導入などの活動を展開しています。
また、受動喫煙対策として、2020年度から紙巻きタバコ喫煙の禁止を段階的に進めており、2021年4月に全社紙巻きタバコ喫煙禁止化を完了しております。
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非喫煙者率の推移
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紙巻きタバコ禁止啓発ポスター
紙巻きタバコ禁止啓発ポスター
(4)がん対策
がんは早期発見し治療を行うことで、治癒する可能性が高くなるといわれています。
少しでも早い段階で体の異変に気付くことができるよう、社内で様々ながん検診を行っています。今後も、がんによる健康リスクを低減する取り組みを進めていきます。
<1966年~>・肺がん[胸部X線]、 ・食道、胃がん等[胃バリウム]
<1985年~>・肝臓がん、腎臓がん等[腹部エコー]
<1995年~>・大腸がん[便潜血]
<2017年~>・乳がん、子宮頸がん[検診バス構内乗り入れ]
(5)健康フェスティバルの開催(デンソー労働組合と共同プロジェクト)
会社と労働組合が一体となり、社員が健康について考えるきっかけづくりを提供するとともに、家族と一緒に気軽に楽しく参加できる健康イベントを開催。また、地域の方々の健康増進にもつなげていただける機会として一般開放しました。
主な健康チェック項目は、1.簡易体力チェック、2.からだバランス、3.足裏健康測定、4.内臓脂肪測定、5.血管年齢、6.骨密度測定、7.肌年齢、8.脳年齢、9.肺年齢、10.口腔内カメラなど。
コンテンツ | ウォーキング | 講演会 | 健康チェック(14項目) |
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参加人数 | 867人 | 320人 | 延べ 6,000人 |
(6)健康増進月間の開催(2022年1月)
身体活動レベルが下がり、飲食機会が増える冬季に「運動習慣づくり」と健康意識を高めるため「健康増進月間」を開催。
21年度は、コロナ禍にあることを考慮しオンラインでも参加できる行事も準備し、展開しました。
健康セミナー(運動/メンタルヘルス)
お昼休憩を利用したオンラインフィットネス(社内スタッフ)
健康クイズ
コンテンツ | 健康セミナー (運動) |
お昼休憩を利用した オンラインフィットネス |
健康セミナー (メンタルヘルス) |
健康クイズ |
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参加人数 | 663名 | 436名 | 809名 | 543名 |
感染症対策
感染症流行時の対応については、感染予防の観点から関係部署で基本方針や対応マニュアルを策定しており、万が一発生した際は必要な予防および感染対策を推進していきます。
また、海外拠点を多く有する企業として、世界三大感染症(結核、マラリア、HIV / AIDS)などグローバルな健康課題へ対応することの重要性を認識し積極的に対応しています。海外赴任する社員とその家族には、感染症に対する情報の啓蒙、予防接種及び現地での医療支援を行っています。
【TOPICS】新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、出社前検温・体調確認、こまめな手洗いや咳エチケットの遵守、会議室や社員食堂などでの密集・密接の回避に加え、感染者や感染疑い者への対応要領を明確化するなど、感染予防行動と社内防疫ルールの周知徹底を実施しました。また、保健師や看護師による社内電話相談窓口を設置し、職場からの相談に迅速に対応するほか、社内診療所等で職場消毒キットを整え、より安心して働ける体制整備を行いました。
加えて、国内外グループ会社にもマニュアルやチェックシートを展開するなど、グループ全体で感染拡大防止策を推進しています。更に、政府からの要請を受け、新型コロナワクチンの職域接種を全10会場で実施。
新型コロナウイルス感染症に関する状況は日々変化しています。今後も状況に応じた防止策をタイムリーに検討・実施していきます。
<主な感染拡大防止策:2022年6月時点>
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勤務について
フレックス制度の活用による時差通勤の推奨
在宅勤務の推奨 出張・会議・イベントについて
《国内出張》
感染防止対策を講じた上で慎重に判断《海外出張》
外務省の危険/感染症危険度レベルが2以下の国/地域への出張は可
但し、オンライン会議活用等により、出張回数/人数を最小化
出張時は感染防止対策を講じた上で慎重に行動《会議・イベント》
面着・オンライン双方のメリット・デメリットを考慮の上、最適な方法を選択
面着で会議・研修を行う際は、マスク・消毒・換気等の感染対策を実施の上で開催し、2m・30分のガイドを順守
社外イベントの参加は、必要性を慎重に判断し、感染防止策を講じた上で対応-
感染拡大予防の徹底
出社前に毎日検温する
上司の方は、毎日メンバーの健康状態を確認する
こまめな手洗い等の実施(出社後・外出後・食事前等)
人混みを避ける、咳エチケットを守る(マスク着用し、うつらない・うつさない)
密集環境をつくらない、部屋の換気をする
健康経営指標「生活習慣スコア」の設定
「健康日本21【注3】」で目標値が設定されている「健康行動」と「健康データ」に該当する、個々人の健診データより点数化した当社オリジナル指標「生活習慣スコア【注4】」を設定し、全社平均値を会社経営目標としています。
【注3】健康日本21:厚生労働省が策定している生活習慣病の未然防止とともに健康寿命を延ばすことを目標に国民の健康増進を促進するための方針
【注4】生活習慣スコアの算出方法
「健康行動」が80点満点、「健康データ」が20点満点で構成される合計100点満点のスコア。
年に1回の健康診断の結果に基づき計算しています。
職場の健康リーダーには職場別集計値を通知し、効果的な健康アクションプランを立案できるようにしています。
個人には強み・弱み・同年代の比較・今後取り組むべきアドバイスを記載した通知書を配布し、意識啓発を行っています。
健康的な生活習慣実施率の底上げによって、2022年度2017年比10%アップを目指して活動を推進しています。
また、自社開発した健康アプリ「デンソー健康ステーション(DKS)」には生活習慣スコアのみならず、健康診断データ、社員食堂での喫食データ(カロリー・塩分量など)の確認、体重・歩数・血圧なども登録できる仕組みとなっており、日々の健康管理に活用してもらっています。
生活習慣スコア
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
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目標値 | 73.0点 | 74.5点 | 76.0点 |
実績値 | 71.4点 | 72.5点 | 74.0点 |
デンソー健康ステーション(DKS)
地域や関係会社に対する貢献
地域社会や関係会社の健康への取り組みに貢献するため、以下の活動を推進しています。
(1)献血活動
病気やけがなどで輸血を必要としている方の治療に役立てていただくため、1966年より日本赤十字社の献血活動に賛同し、献血(献血車構内乗り入れ)に協力しています。
(2)健康講話・パネル展示・測定会(仕入先総会にて)
パートナーである仕入先様に、健康への取り組みを知っていただき元気な会社づくりの一助としていただくため、当社総括産業医による健康講話、パネル展示、職場活動の事例紹介、体組成計測定会を実施。
今後の活動
社員がいつまでもいきいきと元気に働き続けられる会社づくりに貢献するため、健康的なライフスタイルの形成に向けた支援を継続するとともに、安心安全で働きがいのある職場環境づくりに努めていきます。
また、国内外グループ会社と方針を共有し、グループ健康経営を強化していくための取り組みを推進していくとともに、データにもとづく最適な健康施策の推進や健康づくりを後押しする風土醸成を図っていきます。