
コミュニケーションに基づく相互信頼・相互責任
基本的な考え方
~長期安定雇用にむけて~
デンソーは、社員一人ひとりが誇りを持ち、高いモチベーションをもっていきいきと働きつづけることがデンソーグループの持続的な発展につながると考えています。その信念のもと、会社と社員との誠実な対話を通じて良好な関係を構築し、法令等を踏まえた労働時間、休日、賃金などの基本的労働条件の設定はもちろんのこと、生活賃金水準の維持、時間外労働時間の削減に向けた取り組みなど、労働条件のカイゼンを協議しています。
加えて、社員の働きやすさや組織の一体感・社員一人ひとりのモラル向上を通じて社員との相互信頼・相互責任の絆を深め、長期安定的な雇用の確保に努めます。
また、長期安定的な雇用に向けた考え方や取り組みはグローバルに共有され、各地域内や本社と情報交換を図りつつ、各国・地域の適用法令や慣行に則って対応しています。
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
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日本 | 75,068 | 74,677 | 79,304 | 76,935 | 76,462 |
アジア | 39,803 | 40,319 | 45,568 | 43,590 | 41,257 |
北米 | 20,634 | 21,328 | 22,722 | 24,480 | 23,553 |
欧州 | 13,122 | 12,700 | 14,142 | 14,178 | 13,632 |
その他 | 2,832 | 2,835 | 2,836 | 2,846 | 3,152 |
合計 | 151,459 | 151,859 | 164,572 | 162,029 | 158,056 |
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
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平均勤続年数 | 21.69年 男性:22.60年 女性:16.41年 |
21.75年 男性:22.59年 女性:17.01年 |
22.95年 男性:23.90年 女性:17.40年 |
23.12年 男性:24.03年 女性:17.96年 |
23.09年 男性:23.94年 女性:18.38年 |
離職率 【注1】 | 0.84% 男性:0.75% 女性:2.23% |
1.08% 男性:0.98% 女性:2.72% |
0.93% 男性:0.78% 女性:1.81% |
0.90% 男性:0.70% 女性:2.02% |
0.86% 男性:0.73% 女性:1.61% |
定着率 【注2】 | 88.79% 男性:88.34% 女性:90.23% |
85.02% 男性:85.71% 女性:84.81% |
90.13% 男性:90.92% 女性:87.61% |
94.45% 男性:95.62% 女性:89.08% |
93.04% 男性:93.90% 女性:89.55% |
【注1】離職率:自己都合退社
<参考>2023年度離職率(一般労働者・製造業)8.7%(厚生労働省「令和5年度雇用動向調査」)
【注2】定着率:入社3年目までの社員の離職率を引いた数字
具体的な取り組み
グローバルコミュニケーションチャネルの構築
デンソーでは、管理者と一般社員が積極的にコミュニケーションを図り、経営方針や経営に関する諸問題、および職場環境における問題を相互に共有・理解し、解決に向けて取り組んでいくことを基本としています。それを実現するために、定期的に全社・各職場単位で説明会や懇談会を開催するとともに、社長メッセージや社内掲示板など様々なコミュニケーションチャネルを準備し、タイムリーな情報共有に努めています。
「社員エンゲージメント」向上施策
デンソーの持続的な成長のためには、社員一人ひとりが働きがいを感じ、主体的に挑戦・成長し続けることが重要です。
そのためには、仕事や組織に対する高い社員エンゲージメントが重要であり、海外を含めグローバルな経営課題としてその向上に取り組んでいます。
(株)デンソーでの取り組み
毎年、全社員約5万人を対象に従業員サーベイ(調査名:職場力調査)を実施しています。サーベイは、組織力を可視化し、より良い組織づくりに向けた活動に役立てるため、組織開発の理論に基づき、”健全性・効果性・自己革新力”の3つの観点から作成した設問で構成されています。また、デンソーでは「エンゲージメント」を”働きがい、会社・職場との結びつき”と定義し、「仕事にやりがいを持っている」、「ポジティブ(意欲的)に仕事をしている」、「会社に愛着を感じている」、「総合的に良い職場だと思う」の4設問の肯定回答率*1. を測定しています。全社平均を下回る「若手・技能・女性」の向上を目指し、重点活動を推進し着実に向上しています。職場の結果は全員にフィードバックし、各職場では話し合いを通じて確実にPDCAサイクルを回すことで、より良い職場づくりに取り組むとともに、調査結果を人事諸施策の検討・改善にも活用しています。
なお、社員エンゲージメント調査は、グループ会社においても実施しています。
その他、労使が年間を通じて、「魅力的な働く環境整備」や「風通しの良い職場づくり」について継続的に対話・行動するための労使協議会・労使懇談会を実施しています。
*1.肯定回答率:回答尺度7段階のうち、ややそう思う・そう思う・非常にそう思うと回答した人の割合を算出
グローバルでの取り組み
エンゲージメント向上への取り組みは、日本地域だけでなくグローバルでも強化しています。2024年度には、各地域の人事リーダーが一堂に会し、各地域の社員エンゲージメントの実態を把握し、向上に取り組む重要性について議論をしました。そして、グローバル共通でエンゲージメントの実態を比較できるようにした上で、地域ごとに目標値を設定し、その向上のためのアクションとモニタリングを行っています。
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ワーク・エンゲージメント肯定回答率(%) [(株)デンソー]
<参考>2024年度 調査対象者47,862人、有効回答率94.5%
(※)肯定回答率:回答尺度7段階のうち、ややそう思う・そう思う・非常にそう思うと回答した人の割合を算出
社員のエンゲージメント向上につなげる評価・報酬制度や表彰制度
デンソーは「社会に新たな価値を提供し人と社会の幸せを具現化すること」に取組んでいますが、その原点は社員とチームの「実現力」にあると考え、2021年に「実現力のプロフェッショナル集団」を目指した人と組織のビジョン&アクション「PROGRESS」を策定しました。
PROGRESSの一環として、すべての社員について、個人の成果・業績と、各社員に与えられた役割に応じて報酬が変動する賃金制度へと刷新。マネジメント職は、一人ひとりが担う役割・職務の大きさをベースにした役割等級に基づき、成果に応じて大きなメリハリが付く報酬制度を導入しています。組合員は、従来の年功的な昇給要素を大きく減らし、成果・役割に応じて賃金が大きく変動する業績連動型の制度を導入しています。
組織目標・方針と連動した社員一人ひとりの「自己新記録」への挑戦を公正に評価し、場合によっては上位職位を超える賃金を支払える仕組みとすることで、社員のエンゲージメント向上を図り、新たな価値創造へつなげていきます。
また、企業価値向上に貢献した事業部門・グループ会社を表彰する「社長賞」など、グループ全体で社員のエンゲージメント向上にも繋がる制度も導入しています。
持株会を通じた社員の経営参画意識の向上、中長期的な資産形成
デンソーでは、福利厚生の充実と経営への参加意識の向上を目的として、社員、定年後再雇用者および常勤嘱託社員等、社員のすべて※を対象とした従業員持株会を設置しています。
また、資産形成を後押しするため、社員の自社株式の保有に奨励金を支給しています。このような制度を通じ、社員が会社の経営状況に高い関心を持つことで、社員と会社が一体となって更なる企業価値向上に取り組んでいきます。
※ 期間従業員、アルバイト、非常勤の雇用者を除く
【TOPIC】挑戦する力を引き出し、中長期の企業価値向上を実現する株式インセンティブ制度の導入
㈱デンソーは、企業成長の原動力である社員の挑戦する力を引き出す報酬制度として、株式インセンティブ制度を導入することを2025年5月に発表しました。
本制度は、2025年12月2日に支給条件を満たす㈱デンソーの正社員および定年後再雇用者全員を対象として、中長期の業績に対する責務に応じ、デンソーの普通株式を5年間の譲渡制限付株式として、デンソー持株会を通じて支給するものです。
従来経営役員以上を対象としていた株式を活用したインセンティブ制度を、これからの成長を支える約47,000人の社員に対象を広げ、社員がより一層ステークホルダーとの価値共有を進め、短期的な成果のみならず中長期視点を持って企業価値向上に取り組むことを促進します。また、社員の財産形成支援にもつなげます。
労働時間管理・労働に関する法令の遵守
デンソーでは、労働条件に関する方針をデンソーグループサステナビリティ方針およびデンソー人事理念で定め、グループ全体に展開しています。その上で、労働時間、賃金などの労働に関する各地域・国の法令に従った労務管理を推進するとともに、社員が働きがいをもっていきいきと働けるように、社員と対話をしながら労働条件の向上や職場環境づくりに努めています。
例えば、㈱デンソー、および国内グループ会社では働き方改革促進や社員の心身の健康維持に向けて、長時間労働抑制に向けた取り組みを実施しています。労使で合意した36協定の順守に加え、時間外労働時間に関する指標を定め、過重労働を未然に抑制するよう年間を通じたモニタリング・管理を行っています。
今後も社員との対話を大切にしながら働き方改革を推進し、長時間労働の抑制や、同一労働同一賃金の整備に伴う法改正や最低賃金の改定等の順守に向けて、有期雇用者の就業規則を改定する等、適切に対応し、社員の働きがいの向上に努めます。
福利厚生
デンソーでは、各国・地域の適用法令や慣行あるいは社員のニーズ等に応じ、デンソーグループ各社がそれぞれ、すべての社員の働きやすさ・モチベーションの向上や生活の充実を支援する福利厚生の充実を図っています。
たとえば(株)デンソーでは、多様化する福利厚生ニーズに応えるため、2001年から選択型福利厚生制度「デンソーカフェテリアプラン」を採用しています。他にも、寮や食堂・保養所などの施設、家賃補助制度や財産形成支援制度・グループ保険制度なども設けています。
【注】利用対象者(原則)は施設・制度ごとに異なります。
「デンソーカフェテリアプラン」「財産形成支援制度」「家賃補助制度」:社員
「寮」:社員
「食堂」:社員およびその他デンソー構内で働く労働者(グループ社員、外注常駐者、派遣社員など)
「保養所」:社員(家族を含む)※グループ社員、退職者が利用できる保養所あり。
「グループ保険制度」:社員、退職者
「退職金/年金」:社員
今後の取り組み
長期安定的な雇用を確保し続けるには、デンソーグループの持続的成長が不可欠です。
今後も社員とのコミュニケーションを大切にし、更に相互信頼・相互責任の絆を深め、会社・社員一丸となってデンソーグループの成長・発展に向けて努力してまいります。