外部からの評価

第三者意見(2016年度)

IIHOE【人と組織と地球のための国際研究所】
代表者 兼 ソシオ・マネジメント編集発行人
川北秀人 氏

※IIHOE:「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に1994年に設立されたNPO。主な活動は市民団体・社会事業家のマネジメント支援だが、大手企業のCSR支援も多く手がける。

http://blog.canpan.info/iihoe/(日本語のみ)

当意見は、デンソーグループのウェブサイト上のCSR関連ページの記述内容、および同社の環境、施設、調達、品質・アフターサービス、人事、健康推進、安全衛生、総務(社会貢献)、IR、CSRの各担当者へのヒアリングに基づいて執筆しています。
同社のCSRへの取り組みは、06年度策定の「デンソーグループ企業行動宣言」に基づき、その広範な項目すべてに数値目標を設け、実績や課題を定量的に管理する体制を国内外に展開・確立しており、グローバルなマネジメント・サイクルを適切に進めており、世界的にベンチマークされるべき水準にあると言えます。

高く評価すべき点

  • CSRマネジメントについて、「デンソーグループ2020年長期方針」における重点取り組み分野として「地球環境の維持」と「安心・安全な社会づくり」を掲げ、各部門・担当において多様かつ実務的な社会責任への取り組みが、リスク・マネジメントとステークホルダー満足の2つの観点から網羅的かつ定量的に管理しながら進められていること。この領域における世界最高水準にあると高く評価します。
  • コーポレート・ガバナンスについて、コーポレートガバナンス・コードを踏まえた体制の整備と実践ならびに情報の開示を進めていること、さらに15年6月制定の「基本方針」に「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」を明記し、実践に努めていること。
  • 環境経営について、製品と生産の環境負荷削減はもとより、世界最高水準の環境効率や資源生産性を追求するために、各部門・担当において詳細な項目に定量目標を設けるとともに、全社横断的に展開されていること。その基盤となる「ボトムアップで現場主導の取り組みを促す風土」と「やると決めたらやりきる文化」においても、同社は世界的に傑出しており、同社の持続可能な成長や社会責任への取り組みの進化の源泉であると言えます。特に、115項目に及ぶ「パーフェクトエネルギー工場(PEF)活動」や、生産部門と施設管理部門が「エネカンバン」により電力・ガスはもとより圧縮エア・空調、蒸気、水などすべての資源の需要情報を予め共有し供給を最小・最適化する「エネJIT」(エネルギーのジャスト・イン・タイム)は、世界中の製造業からベンチマークされるべきベストプラクティスです。さらに、16年度に発表された「エコビジョン2025」において、エネルギー1/2、クリーン2倍、グリーン2倍のターゲット3と、それを実現するアクション10を明示したこと。詳細に積み上げられた項目と工程を高く評価するとともに、早くも、水のマネジメントに地域性を加味して施策を拡充するとともに、自動車の使用段階における部品別の環境負荷算出方法を開発するなど、取り組みが進んでいること。今後は、サービス・ステーションなどヴァリューチェーン全体を視野に入れるとともに、排水を活用した小水力発電など、ターゲット3がより広く深く達成されることを期待します。
  • 持続可能な調達について、取引先におけるCSRマネジメントの基盤づくりのために「仕入先様向けCSRガイドライン」をウェブサイトで公開し、国内外のグループ会社の一次仕入先1,030社に対しては、同ガイドライン遵守に向けた手引きの配布、自己診断シートによる自己診断とフィードバックも終えていること。また、紛争鉱物のように自社のみでの取り組みが難しい場合には、業界団体としての取り組みを積極的に主導していること。グループ内はもとより、主要な取引先においてもCSRが現場の日常のマネジメントに落とし込まれるよう促していることは、世界的にもベンチマークされるべき水準であることを、重ねて高く評価します。今後は、取引先のベストプラクティスを共有するために、表彰制度や事例発表の機会などが設けられること、さらに、リスク評価にもとづき、具体的かつ効果的な改善を促すべき対象に対する働きかけを、引き続き強く期待します。

取り組みの進捗を評価しつつ、さらなる努力を求めたい点

  • 顧客満足の向上について、東南アジア諸国において独自のサービス拠点を相次いで開設し、各国の市場特性に応じた事業の在り方や人材の育成を進めつつあることを評価しつつ、今後は、特に途上国における整備サービスを通じて、自動車の使用段階における燃費改善、フロン回収など環境負荷削減や、安全の改善が進むことに期待します。
  • 社員の健康職場の安全づくりについて、「なんでも相談」を継続し、全社一斉禁煙タイムを設け、16年9月に宣言を行ったこと、外来工事業者で安全衛生協議会を組織し活動していること、海外拠点の安全責任者対象に研修を開催していることを評価しつつ、海外での取り組みを積極的に紹介されることを期待します。
  • 国際・地域社会への貢献活動について、役職員の半数近くが参加する「はあとふるポイント」、アジア車いす交流センター(WAFCA)などによる障碍者支援、さらに交通安全啓発をはじめとする多様かつ先駆的な取り組みを評価しつつ、今後は、世界のグループ従業員全員が「交通安全指導員」としてコミュニティで活躍するとともに、地図や人材育成カリキュラムの作成など自社のサービスや強みを最大限に発揮し、交通事故ゼロに向けた社会の基盤づくりを進められることを強く期待します。

グローバル企業として、取り組みの進展が期待される点

  • 社員尊重人的多様性について、多様なマネジメント人材を育てる基盤としてグローバル共通の人事評価項目の設定と人材登録制度が始動し、海外グループ会社の拠点長ポストを担う現地社員数が3割強に達し、障碍者雇用率も2%を上回り、従業員の健康増進にも積極的に取り組んでいる半面、育児・介護・看護のための休暇・短時間勤務制度の利用者は、まだ(株)デンソーの従業員の1.5%強にすぎず、男女の勤続年数差も残っていること。今後は、子育ても介護も看護も、家族を支えながら仕事し続ける環境の整備を進め、会議など意思決定や業務の在り方を定量的に見直して生産性向上を進めるとともに、世界各地で働くより多くの従業員が、自らの母語でデンソーの理念・価値観や実践を理解できるよう、上級管理職候補者層の交流や通達・広報物の多言語化がさらに進むことに引き続き強く期待します。
  • 社会と自社の持続可能な成長のために、現況のインフラや自動車の性能だけでなく、近未来の人口構成や社会経済状況を踏まえて、インフラや自動車がどうあるべきか、特に、日本をはじめ各国で急増する高齢者の近距離・低速移動(アクセシビリティの保障)と、化石燃料を使わないモビリティの実現に向けて、積極的に提案する姿勢を求めます。

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編集後記

川北様には、第三者意見のご執筆にあたり、各セクションの担当者との対話を実施いただきましたことを感謝申し上げます。いただいたご意見につきましては、社会からデンソーグループへの期待の1つと受け止め、今後の活動の参考にさせていただきたいと考えております。

各部門との対話におきましては、事業活動から環境経営・社会貢献などにいたるまで、さまざまなご意見をいただきました。たとえば事業そのものにつきましては、ご指摘いただいたように、モビリティ社会において、デンソーがその解決に貢献できる課題はまだまだ存在すると思います。将来の社会環境変化を先読みし、自動車業界の一員として持続可能なモビリティ社会の実現に向けて積極的に社会に働きかけていけるように努力していきたいと思います。

また「サービス店を通じた環境保全活動」「事業チャンスにつながる社会貢献活動」などについては、「活動の広がり」とともに部門間での連携(統合)も示唆頂いた、と捉えております。今後も、社内・社外ともに連携を深め、活動レベルを「社内活動」から 「社会と協働」のステージへレベルアップすることも視野に入れながら推進していきたいと思います。

デンソーでは、2006年より本格的にCSR活動を開始し10年たちました。100%満足できるレベルとはいえませんが、CSRが事業活動そして社員1人ひとりの中に少しずつ根付きつつあると感じています。更に前進するため、今後もこれまで以上に多くのステークホルダーとの対話・連携を深めながら、CSRマネジメントをレベルアップしていきたいと考えております。また情報発信につきましても、今年度から「CSRレポート」と「アニュアルレポート」を統合しました。今年は初年度ですので、さまざまなステークホルダー様からの意見を踏まえ、コミュニケーションツールとして更にブラッシュアップさせていきたいと考えております。
  (株)デンソー 経営企画部